2度目のワクチン接種を受けるイスラエルのネタニヤフ首相(2021年1月9日)。
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- イスラエルの新型コロナウイルスの責任者は、ファイザーの1度目のワクチン接種は思ったよりも「効果が小さい」と警鐘を鳴らした。
- これは、1度目のワクチン接種を広く実施することを優先しているイギリスやアメリカに懸念をもたらす可能性がある。
- イスラエルは人口あたりのワクチン接種が世界で最も進んでいる国だ。
イスラエルの新型コロナウイルス対策を率いる責任者は、ファイザーの1度目のワクチン接種は思ったよりも「効果が小さい」と警鐘を鳴らした。
イスラエルは人口あたりのワクチン接種が世界で最も進んでいる国だ。Our World in Dataによると、1月19日(現地時間)の時点で人口の25.6%がファイザー/バイオンテックの1度目のワクチン接種を受けている。
ただ、ガーディアンによると、イスラエルの新型コロナ対策の責任者ナフマン・アッシュ(Nachman Ash)氏は、1度のワクチン接種では「思ったよりも効果が小さい」ようだとイスラエルのラジオ局Army Radioに語ったという。
この新型コロナウイルスのワクチンは、間隔を3週間あけて2度接種することになっている。イスラエルもこの方法でワクチン接種を進めている。
しかし、1度目のワクチン接種をまず優先させる戦略を取っているイギリスにとって、今回の警鐘は懸念をもたらす可能性がある。
イギリスでは、2度目の接種を最大12週間後に遅らせることで、できるだけ多くの人に1度目の接種を行うことを目指している。限られた人々にのみ十分な免疫があるより、多くの人々に多少なりとも免疫がある方が良いだろうと考えてのことだ。
これはアメリカも同じだ。バイデン大統領はできるだけ多くの人々にワクチンを接種するため、手元にあるほぼ全てのワクチンを放出する計画だ。アメリカはワクチン接種をスケジュール通りに進める方針だが、結果的に2度目の接種が遅れる可能性がある。
ワクチン接種を受ける患者(2020年12月8日、ロンドン)。
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ファイザーはワクチンの有効性について、2度の接種で約95%、1度の接種では約52%としている。
だが、イスラエル側は1度の接種での有効性は33%前後だと思われるとしている。
イギリス政府の首席科学顧問パトリック・ヴァランス (Patrick Vallance)氏は20日、人々が獲得している感染防御レベルを「極めて慎重に」見ていくとイギリスのSky Newsに語った。
ヴァランス氏はイギリスがその戦略を変えるべきだとは言わなかったが、人々へのワクチン接種が進む中で、政府は「数字を測定し続ける必要がある」とした。
ファイザー/バイオンテックの1度目のワクチン接種を受ける人(2020年12月、カリフォルニア州)。
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その上で、現実世界でのワクチンの有効性は想定よりも低くなりがちだとしつつも、イスラエルが報告しているほど「低く」はならないだろうと、ヴァランス氏は語った。
(翻訳、編集:山口佳美)