第二次世界大戦中、ノルマンディーの海岸に到着したアメリカの増援部隊(1944年6月23日、フランス)。
US COAST GUARD/AP
- アメリカの退役軍人省によると、第二次世界大戦における米軍の死亡者数は40万5399人だった。
- この数字をアメリカの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡者数が上回った。
- 1月21日正午(日本時間)の時点で、アメリカでは40万6001人がCOVID-19で死亡したと報告されている。
アメリカでは、COVID-19による死亡者数が第二次世界大戦で死亡した米軍の死亡者数を上回った。第二次世界大戦は人類史上、最も多くの血が流れた戦争だ。
退役軍人省によると、第二次世界大戦における米軍の死亡者数は40万5399人だった。ジョンズ・ホプキンス大学のデータによると、1月21日正午(日本時間)の時点で、アメリカでは40万6001人がCOVID-19で死亡したと報告されている。
新型コロナウイルスのパンデミックは、4月下旬までにベトナム戦争よりも多くのアメリカ人の命を奪った。そして、5月半ば頃までにその死亡者数は、1945年以降の主な戦争で死亡したアメリカ人の数 —— 合計約8万7000人 —— をも上回った。
なお、アメリカ史上最も犠牲者を多く出した戦争は南北戦争で、その死亡者数は約62万人だ。
アメリカはCOVID-19の感染者数と死亡者数が世界で最も多く、その記録を更新し続けている。ジョンズ・ホプキンス大学によると、21日正午(日本時間)の時点でアメリカではこれまでに約2443万人が新型コロナウイルスに感染している。
ナンシー・ペロシ下院議長は2020年12月、アメリカのCOVID-19の死亡者数が第二次世界大戦の戦闘による死亡者数を上回る見込みだと指摘した。
ペロシ下院議長は当時、第二次世界大戦は国を団結させたが、トランプ大統領(当時)は「結束させる」大統領ではないと語った。
「わたしたちの大統領は、アメリカを結束させる大統領ではない」とペロシ下院議長は語った。
「否定し、遅滞させ、歪曲し、作り話だと主張する大統領だ。そのせいで多くの人々が命を落とした」
トランプ大統領はその新型コロナウイルスへの対応で大いに批判されてきた。世論調査でもアメリカ人の多くは、トランプ大統領の対応をよしとしなかった。
COVID-19の脅威を繰り返し軽視し —— 10月上旬に自らも感染し、入院したのだが —— トップクラスの公衆衛生の専門家からの助言にも大統領は従わなかった。
1月20日(現地時間)に就任したバイデン大統領はその就任演説の中で、ウイルスに勝つために国として団結するよう呼びかけた。
「わたしたちは、ウイルスの最も厳しい命がけの時期に入ろうとしているのかもしれない。政治を脇に置いて、1つの国としていよいよこのパンデミックに直面しなければならない」とバイデン大統領は語った。
その後、バイデン大統領は数々の大統領令に署名した。この中には、アメリカの新型コロナウイルス対策を強化するためのものも複数含まれていた。
連邦庁舎内でのマスク着用を義務化し、国際保健機関(WHO)からの脱退を取りやめた。また、大統領に直接報告をする新型コロナウイルス対策の調整役の新設や、国家安全保障会議のグローバルな保健・安全保障・バイオ防衛担当の再設置も決めた。この担当部署はトランプ大統領が潰したもので、感染症の専門家でアメリカ国立アレルギー感染症研究所(NIAID)の所長アンソニー・ファウチ博士はこれを批判していた。
[原文:More Americans have now died from COVID-19 than the number of US troops killed during World War II]
(翻訳、編集:山口佳美)