三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が海外金融大手からの人材登用を進めている。同グループの業績はコロナ禍にもかかわらず、2020年度通期で1兆1500億円の業務純益(営業利益に相当)を見込む。
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- コロナ禍でも業績好調の国内金融最大手・三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が、アメリカ債券市場における事業拡大戦略の一環として、新たに幹部人材を採用した。
- MUFGは1月第4週(17〜23日)、カナダロイヤル銀行(RBC)の投資銀行部門からトッド・ボンディを引き抜き、ハイイールド債券部門のトップに据えた。
- MUFGは2020年夏にもフロー商品トレーディング部門のトップ2人を他社から引き抜いている。
アメリカ債券市場での事業拡大を目指して投資を続ける三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が、次の一手をくり出した。
業界に詳しい関係者によると、MUFGは投資銀行RBCキャピタル・マーケッツからトッド・ボンディを引き抜き、ハイイールド(ジャンク)債部門のトップに据えた。
ボンディは1990年代から2000年代にかけて、ゴールドマン・サックスに通算5年、メリルリンチに4年、シタデルでおよそ1年など金融大手で活躍。その後、RBCキャピタル・マーケッツで4年、ハイイールド債券のシニアトレーダーを務め、1月22日に退社した(米金融業規制機構[FINRA]データによる)。
MUFGの広報担当はボンディを採用した事実は認め、RBC広報担当はコメントを拒否した。
ドイツ銀行とモルガン・スタンレーからも
カナダ・トロント市内にて。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、カナダロイヤル銀行の運営本部とに同じオフィスビル入居している。
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MUFGはアメリカの債券市場ではまだマイナーなプレーヤーで、近年プレゼンス強化に力を入れている。人材補強策として、2020年夏にはフロー商品部門の共同トップとして他社から幹部人材2人を採用している。
1人は、ドイツ銀行から引き抜いたスティーブン・ファインバーグ。
18年間務めたクレディ・スイスから2019年7月にドイツ銀行に移籍。その1年後にはMUFGに移り、クレジットトレーディング(=社債取引やクレジットデリバティブ、証券化などを通じた商品組成)部門のトップに就任している。
もう1人は、モルガン・スタンレーで10年活躍したベテランで、レーツトレーディング(=商品の金利に注目した取引)のプロフェッショナル。MUFGではマクロトレーディング(=経済指標を見ながら株価指数などを対象とする取引)部門のトップを務める。
MUFGアメリカ部門の総資産は3390億ドル(約36兆円)。うち、100%出資の商業銀行MUFGユニオンバンクなどを含む金融持株会社・米州MUFGホールディングスコーポレーション(通称MUAH)の総資産は1640億ドル(約17兆円、いずれも2020年9月30日時点)。
[原文:Senior RBC junk-bond trader Todd Bondy has left to join MUFG, which is revamping its credit business]
(翻訳・編集:川村力)