レイ・ダリオ氏。
Reuters/ Ruben Sprich
- ヘッジファンド世界最大手ブリッジウォーター・アソシエイツの創業者で著名投資家のレイ・ダリオ氏は、アメリカがその政治、経済の課題に対処しなければ「悲惨な」内戦に陥る恐れがあると、1月24日(現地時間)にツイートした。
- 「わたしたちの国は今もなおひどい経済状態にあり、恐ろしいほど分断されている」とダリオ氏は書いた。
- ダリオ氏は民主党と共和党に対し、ともに力を合わせ、経済格差や国債、政治の党派性に取り組むよう呼びかけた。
ブリッジウォーター・アソシエイツの創業者で著名投資家のレイ・ダリオ氏は、アメリカがその政治、経済、社会的分断に対処しなければ「悲惨な内戦」に陥る恐れがあると考えている。
「わたしたちは今、悲惨な内戦の一歩手前にいるとわたしは考えている」とダリオ氏は一連のツイートで語った。
ダリオ氏は「地獄のような戦いに突入するのか、平和と繁栄のために力を合わせるべく引き返すのか、わたしたちは転換点を迎えている」とした上で、「わたしたちの国は今もなおひどい経済状態にあり、恐ろしいほど分断されている」と指摘した。
アメリカは今、新型コロナウイルスのパンデミックが引き起こした経済危機や所得の不均衡、深刻な政治的分断、巨額の国債といった非常に大きな問題に直面している。1月上旬には、2020年の大統領選で不正があったとする根拠のない主張に煽られ、トランプ前大統領の支持者らが連邦議会議事堂に乱入し、5人が死亡、多くの逮捕者が出た。
ダリオ氏は20日に就任したばかりのバイデン大統領について、「就任式でのバイデン大統領の言葉に興奮した。歴史はこの国が歩み寄る必要があると示していて、その方向性とも一致する」と述べて称賛した。
大統領選の結果を覆そうとするかつてない試みや議事堂への乱入事件を受け、バイデン大統領はその就任演説でアメリカ人の団結を呼びかけ、「民主主義が勝った」と語った。
ダリオ氏が政治、経済格差に対処しなければ、アメリカは内戦状態に陥る恐れがあると警鐘を鳴らしたのは、これが初めてではない。
同氏はしばしば、チャンスの少なさや所得格差、教育への不十分な投資が取り返しのつかないダメージをもたらしかねないと警告してきた。
「わたしは過去500年の歴史とサイクルを学んできた。大きな経済格差と大きな価値観の隔たりがあるところに多くの債務、経済の悪化が生じると衝突や脆弱性が生まれる」とダリオ氏は12月に放送されたCNNのインタビューで語った。
同氏はまた、ニューヨークやサンフランシスコといったビジネス拠点から最近、企業やそのCEOたちがフロリダ州やテキサス州へと大量流出していることをある種の「内戦」になぞらえてもいる。
「わたしたちはある種の内戦を目の当たりにしている。人々がある場所から別の場所へと移っているのは、税金のためでもあるが、他の理由のためでもある」とダリオ氏は12月に指摘した。
「最悪の可能性は、どちらかが『これはもう自分たちの国じゃない。自分たちの仲間じゃない』と言い出すことだ」
1月24日のツイートで、ダリオ氏は民主党と共和党がともに変化をもたらす必要があると語った。
「善良な言葉と心だけでは足りない」とダリオ氏は言う。
「パイをどう育て、それをどう上手に分けるかの両方で、人々は合意しなければならない。そのためには革命的な変化が必要だ」
(翻訳、編集:山口佳美)