意外な結末? 夢の「豪華キャンピングカー」で冬の週末を過ごしてみた

キャンピングカー

キャンピングカーで週末を過ごしてみた。

Frank Olito/Insider

ここ数年、ぼくは仕事を辞めて、家を解約し、キャンピングカーで目的のない、終わりのないロードトリップに出かける夢を抱いてきた。

海岸沿いを旅し、海のすぐそばに車を止めて、絵のように美しい景色に向かってバックドアを開ける自分の姿が目に浮かんでいた。コロナ禍で多くの人々がやっているように、キャンピングカーで世界を見て回ることを夢見ていたのだ。

キャンピングカー生活が自分に合っているかどうかを確かめようと、ぼくはエアビーアンドビーのRV車版のようなサイト「Outdoorsy」で、ラグジュアリーなキャンピングカーに生まれ変わったメルセデス・ベンツ「スプリンター」を見つけた。ぼくはこの車を週末用に1770ドル(約18万5000円)で借りて、キャンピングカー生活を試す小旅行に出かけることにした。


ニューヨーク、ブルックリンのぼくの自宅にキャンピングカーが到着したのは、金曜日の朝だった。すぐにその大きさに怖気づいた。

キャンピングカー

Frank Olito/ Insider

キャンピングカーのオーナーがマンションの外に車を止めると、ぼくはそのあまりの大きさに唖然とした。キャンピングカーは"極小住宅"のはずなのに、なんて皮肉だろうと思ったのを覚えている。普通車の大きさに比べたら、まるで小さくなかった。

全長24フィート(約7.3メートル)のこのキャンピングカーを駐車できる場所なんてブルックリンにはまずないだろう。その車高も全ての街路樹の枝を落としそうなほどだった。


中に入ってみると、思った以上に豪華だ。

キッチン

キッチン。

Frank Olito/ Insider

ステンレスの電化製品、十分なカウンタースペース…… 自宅のキッチンが見劣りする。


キッチンのすぐ隣がバスルームだ。そのサイズが怖い。

トイレ

トイレ。

Frank Olito/ Insider

バスルームを見た瞬間、これは問題になりそうだと思った。中に入って立っていることも難しい。コンポストトイレはぼくにとって未知の領域だ。バスルーム…… 特にトイレはできるだけ使わないようにしようと心に誓った。


キャンピングカーの後部座席は、折り畳み式ベッドになっている。

座席

ベンチがベッドに変わる。

Frank Olito/ Insider

この車のオーナーがベンチを大きなベッドに変える方法を教えてくれた。ぼくはそれを頭の中にメモしたが、彼はその後、30分間にわたってこのキャンピングカーの仕組みを説明した。

数えきれないほどのボタンについて、それぞれがどう機能するかを彼は教えてくれたのだが、水圧を上げたい時はこのボタン、お湯が必要な時はこのボタン…… ぼくはほとんど覚えられなかった。

彼は発電機の使い方やキャンプサイトでのプラグの接続の仕方も教えてくれた —— しかし、キャンピングカーにはすでにソーラーパネルから電気が来ているのに、そもそもなぜこれらが必要なのかは説明がなかった。暖房の入れ方も簡単に実演してくれたが、同じボタンを5回押したら暖房が"オン"になるかのように見えた。

キャンプをしたことも極小住宅に住んだこともないぼくは、短時間でこの車を"生活できる家"にするために必要なシステムを学ぶには準備不足だった。

全て理解したと自分に言い聞かせたけれど、これがぼくの失敗の原因だった。


金曜日の夜、ぼくたちはついにフィラデルフィアに向かって出発した。

運転

運転をする友人。

Frank Olito/ Insider

運転があまり上手くないぼくは、友人の助けを借りることにした。彼女もキャンピングカーの大きさには圧倒されていた。これほど大きな車を彼女も運転したことがなかったからだ。


ひどい渋滞で1時間ほど遅れて、ぼくたちは1日目の夜を過ごすクラッカー・バレルの駐車場に到着した。

キャンピングカー

クラッカー・バレルに到着。

Frank Olito/ Insider

ウォルマートやクラッカー・バレルといった大手ブランドでは、RV車が一晩駐車することを許している。夏になると、こうした駐車場はRV車やキャンピングカーでにぎわっている。

ただ、ぼくたちが利用した日は空いていた。ぼくたちの他にクラッカー・バレルに車を止めている人はいなかったので、周りを気にすることなく作業ができた。


ほどなくして、ぼくと友人はこの小さなスペースで動き回るのがいかに難しいかを悟った。

車内

Frank Olito/ Insider

たった数時間前まで、ぼくたちはこの車がいかに大きいかに驚嘆していたのに、今や全てが覆されていた。ぼくたちはそれぞれの荷を解こうと、ものすごく狭い空間を動き回る2人の人間だった。ぼくたちは互いにぶつかり合い続け、自分がどう動くか口に出して伝えなければならなかった。

「後ろにあるぼくのバッグから本を取り出したいんだ」とぼくは言った。つまり「キッチンを出てくれ。そうすればぼくが通れるから」ということだ。

ぼくたちは次第に学んでいった。すれ違わなければならない時には、できるだけ自分のからだを小さくする方法を覚えた。相手が自分の近くにあるものを必要としている時は、取ってあげた方が話が早いことも分かった。


車の中でしばらく格闘した後、ぼくは夜ごはんを外で食べることにした。その方が広々としているからだ。

筆者

夜ごはんは外で。

Frank Olito/ Insider

ぼくは1年以上にわたってキャンピングカー生活や極小住宅の流行を報じてきた。そして、ほぼ全ての人が、狭くても大半の時間は外にいるのだから問題ないと話していた。

彼らの教えに従い、ぼくは外で食事を取ろうとした。でも、それを冬にやるのは厳しいとは誰もぼくに教えてくれなかった。ウェンディーズのチキンナゲットを食べながら、ぼくは震えた。


ベッドメイクという骨の折れる作業を終えた後、ぼくたちは初めて大きな問題に直面した。

テレビ

『バチェラー』を見ていたのだが……。

Frank Olito/ Insider

ぼくたちはノートパソコンで『バチェラー』を見始めたのだが、電池切れを起こしかけていることに気付いた。コンセントにつなごうとしたが、どれもうまくいかない。同時に、暖房も入っていないことに友人が気付いた。

とはいえ、もう夜も遅いし、これらを心配するには2人とも疲れ過ぎていた。ぼくたちはたくさんの毛布にくるまって寝ることにした。

不幸なことに、ぼくはこの日の夜、寒くて何度も目が覚めた。気温が大幅に下がったからだ。暖を取ろうと、ぼくは膝を抱えて丸くなった。やっと暖かくなってきて再び眠りについた頃、今度はクラッカー・バレルのゴミを回収するために駐車場にゴミ収集車が入ってきて、ぼくはびっくりしてまた目が覚めてしまった。


過酷な夜を過ごしたぼくは、クラッカー・バレルで素敵な朝食を注文した。

朝食

クラッカー・バレルの朝食。

Frank Olito/ Insider

朝食はキッチンの真ん中に立って食べた。美味しかったけれど、からだの中に残っている寒さを追い出し、目を覚ますには十分とはいえなかった。

ぼくはキャンピングカーのオーナーに電話をかけた。コンセントを復活させるために、彼はFaceTimeでひと通り説明してくれた。暖房の直し方については、また折り返すと彼は言った。ネタバレ注意:折り返しはなかった。


ぼくたちはその後、ニュージャージー州フィラデルフィアの郊外にあるキャンプ場へと向かった。

キャンプ場

キャンプ場。

Frank Olito/ Insider

「フィラデルフィア サウス/クラークスボロ KOA」はニュージャージー州クラークスボロにある、RV車が止められる広大なキャンプ場だ。プールや子どもの遊び場、湖、いくつかの小さな小屋もある。冬のためかなり空いていた。

ぼくたちはフィラデルフィアで1日過ごすことにした。このキャンピングカーで街へ行くかどうか話し合ったものの、都会でこの巨大な車を運転し、駐車スペースを見つけるのは難しいだろうと分かっていた。そこでこの車をキャンプ場に残し、ウーバーで街へ行くことにした。どこへでも行ける自由を与えてくれるはずのバンで生活しているのに、なんと皮肉なことだろうと思ったのを覚えている。


街にいる間、ぼくは狭いキャンピングカーから離れた時間を満喫した。

フィラデルフィア

フィラデルフィア。

Frank Olito/ Insider

ぼくたちはフィラデルフィアでホテルに滞在していたもう1人の友人と会った。キャンピングカーのバスルームを使いたくなかったぼくは、この友人にトイレとシャワーを使わせてくれるよう頼んだ。友人はOKしてくれた。


フィラデルフィアでショッピングや食事を楽しんだ後、キャンピングカーに戻ると、さらなる問題が待っていた。

筆者

寒過ぎた。

Frank Olito/ Insider

夜遅くにキャンピングカーに戻ると、暖房に限らず電気が一切使えないことに気付いた。発電機を使おうかと考えたが、発電機はベッドの下だ。探し出そうにも、発電機に書かれた使い方を読もうにも照明がない。携帯電話は電池切れになっていて、キャンピングカーに戻ったら充電するつもりだった。つまり、携帯電話を照明代わりにすることもできなかった。

何も見えない。寒さに震えながら、ぼくはキャンピングカーの中を手探りで動き回った。

暗闇の中、クッキーで自分の顔を突いた後、なんとかベッドにたどり着いた。負けた。どうにかして眠ろうとしたものの、眠れない。寒過ぎた。ぼくはセーター、トレーナー、ファスナー付きのトレーナー、ウィンタージャケットを着て、マフラー、手袋を付けた。そして毛布にくるまった。それでもキャンピングカーの中の寒さには勝てなかった。バックドアは2重になっているのに、冷たい空気が入ってくるのが分かった。

結局、ぼくはベッドの端に腰かけ、日が昇るのを震えながら待った。


一睡もできずに迎えた朝、ぼくは再び車のオーナーに電話をかけた。すると、彼はガスコンロの火をつければ暖かくなると言った。

コンロ

Frank Olito/ Insider

バカな指示だと思ったけれど、やってみた。すると、すぐにキャンピングカーの中が暖かくなった。手足も温かくなってきて、ぼくは泣きそうになった。


コンロの火をつけたことで、ここで料理をしようという考えが生まれた。この日の夜、ぼくたちはタコボウルを作った。

調理

Frank Olito/ Insider

狭いスペースで料理をするのは、驚くほど簡単だった。友人がコンロを担当し、ぼくがシンクを担当して野菜を切った。お互いを邪魔することもなく、完璧に機能した。


食事の後、いよいよ初めてバスルームを使うことに。

筆者

バスルームにはうまく入れなかった。

Frank Olito/ Insider

バスルームにどうにかして入ろうとしたが、ここはクローゼット以外の何物でもなく、トイレに座るのは不可能だった。角度をいろいろ調整してどうにかぼくのお尻は便座にたどり着いたが、ぼくは笑ってしまった。全然フィットしない。巨人が小さな子どもの椅子に座っているような気分だった。

ものすごく落ち着かないトイレ経験を経て、ぼくは「人生でもう二度とコンポストトイレは使わない」と心に誓った。


その後、ぼくは再び服を"5枚重ね"し、凍える夜に備えた。

ベッド

Frank Olito/ Insider

車の中を暖めるため、ぼくは寝る前に10分間コンロに火をつけた。この日の夜も寒さで2、3度目が覚めたものの、前日と前々日の夜に比べればかなりましだった。


翌朝、ぼくたちはこのキャンピングカーから自由になるため、家路を急いだ。

キャンプ場

Frank Olito/ Insider

この週末中、ぼくはキャンピングカー生活が大好きだという人々のことを考えていた。この生活スタイルがいかに旅をするのに素晴らしい方法で、経済的な自由へとつながる道だと考えられているかは分かっている。ぼくよりも忍耐力のある人々が壊れた暖房や電気を直すのを楽しんでいることも分かる。しかし、ぼくはそういうタイプでないことに気付いた。

休まることのない3泊4日の旅を経て、ぼくはブルックリンの暖かいマンションに帰る準備ができていた。


ぼくはこの4日間、キャンピングカー生活の目的は車ではなく、それが与える自由なのだと自分に言い聞かせようとした。しかし「どれだけの犠牲を払って?」というのがぼくの反論だ。

車内の様子

Frank Olito/ Insider

こうしたキャンピングカーは、あくまでも仮住まいのできる車だ。暖房、水道、電気はいずれも普通の家のように使えるようには作られていないため、途中で問題が起こり得ることを意味している。

ぼくが取材したキャンピングカー生活を送る人々は皆、常にどこかしら壊れていると言い、その狭さがイヤになることもあるけれど、その価値はあると語っていた。世界を見て回れるし、どこでも行きたい場所に行けるからだ、と。

ぼくはその自由とあの犠牲が見合うとは思わない。確かに、ぼくがキャンピングカーで生活したのは週末の間だけで、もしフルタイムで住めば、さまざまなトラブルをもっと簡単に見つけ、解決できるかもしれない。だが、それが自分にとって現実的な暮らしだとは思わない。

暖房を入れたら、その日の夜は暖房が効いていてほしい。コンセントを使えるようにするために45分間格闘することなく、携帯電話を充電したい。歯を磨くために水を使い過ぎていないか、心配したくない。


キャンピングカー生活が自分に向いていないことが分かって、ぼくはがっかりしたけれど、新しいライフスタイルに踏み出す前にこの教訓を得られたのは良かった。

キャンプ場

キャンピングカーからの眺め。

Frank Olito/ Insider

多くの人々が楽しんでいるように、ぼくもキャンピングカーを自分の家と呼び、ロードトリップをしながら生活することをずっと夢見てきた。しかし今、自分にはそれが向いていないことが分かり、ある意味、失敗したような気分だ。思っていたより自分は冒険心のあるタイプでも、柔軟なタイプでもなかったようだ。

ただ、ぼくの夢の最も重要なポイントはキャンピングカーではない。世界を見て回り、あらゆる経験をすることだ。キャンピングカーを使わないからといって、その夢が完全に打ち砕かれたわけではない。

ぼくはいつか世界を見て回る。ただ、それはキャンピングカーの窓からではないというだけだ。

[原文:I tried living in a luxury camper van for a weekend during the winter, and I'll never do it again

(翻訳、編集:山口佳美)

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