左はソフトバンクロボティクスグループの富澤文秀社長、右がアイリスオーヤマの大山晃弘社長。ジョイントベンチャーの社長には大山氏が就任する。
提供:アイリスオーヤマ
アイリスオーヤマとソフトバンクロボティクスグループは、ジョイントベンチャーを設立。「アイリスロボティクス」を2月1日に発足させる。
資本金は1000万円で、出資比率はアイリスオーヤマ51%、ソフトバンクロボティクスグループ49%。代表にはアイリスオーヤマ社長の大山晃弘氏が就任する。
狙うは「施設の床面に付着したコロナウィルスの除菌」需要
オンライン会見より
1月27日に開いたオンライン会見では、アイリスオーヤマの大山社長、ソフトバンクロボティクスグループの富澤文秀社長が登壇。合弁会社設立の経緯を語った。
会見によると、アイリスオーヤマでは2020年1月から、商用バキューム型自律清掃ロボットの販売数で世界トップシェア(※)のソフトバンクロボティクスの除菌清掃ロボット「Whiz i」を販売し、その規模は世界販売の約半数という水準だった。 ※2020年6月26日現在、Grand View Research調べ
アイリスオーヤマは「Whiz iの需要の要因」として、米CDCの調査結果や国内のコロナ感染軽症者受け入れ施設での調査結果から、床面のコロナウィルスの付着が多いことを挙げた。こうした結果をうけて、感染防止の観点から床面清掃に注目が集まったためだ、と説明する。
オンライン会見より
今回のJV設立にあたり発表した製品「Whiz i アイリスエディション」は、2020年に販売した除菌清掃ロボットWhiz iに、アイリスオーヤマのカスタムを加えたものになっている。
「Whiz i アイリスエディション」の外観。自律走行して施設内を掃除する、いわゆる法人向けお掃除ロボットだ。
提供:アイリスオーヤマ
オンライン会見より
清掃機能などの強化、除菌のための外付けUVライト(検討中の機能、紫外線の波長は不明)の装着のほか、ソリューションとして本体に内蔵するHEPAフィルターに吸い込んだコロナウィルスが付着することを応用した「床面PCR検査」も提供する。
この床面PCR検査については、2020年のWhiz販売のなかで、導入顧客側からどの程度の付着があったのかの要望が非常に多かったため、サービス化した経緯がある。
(※ただし、WHOは新型コロナウイルスの主な感染経路は「飛沫感染」としている。手すりなど、手が触れる部位を介した接触感染も一部あるとしているものの、床に飛び散ったウィルスを介した感染がどの程度あるのかはよく分かっていない。)
このほか配膳ロボット1機種と合わせて、初年度の売り上げ目標は50億円、2025年には「累計で1000億円の売り上げを目指す」(大山社長)とする。
現時点ではまず法人向けロボットからの参入だが、今後のコンシューマー向け展開については、「検討はしております」(アイリスオーヤマ執行役員 吉田豊氏)と回答している。
(文・伊藤有)