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「ある日突然、失業」の危機でも低迷する女性の転職求人、今必要な支援とは?

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2020年のコロナ禍以来、転職市場の求人倍率は低迷している。

Shutterstock

コロナ禍で女性の転職求人倍率(求職者1人に対し何件の求人があるか)が、2020年5月時点で前年比55%(※)と、一時期は前年比の半分程度にまで大きく落ち込んでいたことが、正社員で働きたい女性向け転職サイト「女の転職type」を運営する、キャリアデザインセンターの調べで明らかになった。

さらに応募時の就業状況を見ると「就職していない」状態で応募する人が4〜7月で4割に達しており、その後も高めで推移している。コロナ禍で退職を余儀なくされた人や、経済的な事情から働く必要の出てきた人が増えたとみられる。

2020年9月以降の転職求人倍率は右肩上がりに転じ、2020年12月時点では前年比で76%にまで持ち直しているものの、前年をはっきりと割り込んでいることには変わりはない

その後、2021年1月には緊急事態宣言が11都道府県に発令されるなど、経済の先行きは依然、不透明だ。

IT業界のエンジニアなど、求人が強く専門性の高い職種では未経験OK求人が減少しており、サービス業や小売業などが業界全体でダメージを受けていても、異業種への転職が進んでいないのが現状だ

※小数点以下切り捨て。「女の転職type」は開設から15年の女性に特化した正社員求人サイト。公式発表によると2020年10月時点で会員数140万人。

前年を引き続き下回る転職求人倍率

2020年4月の最初の緊急事態宣言の発令直後、企業は採用を大きく抑制した。

キャリアデザインセンター調査のグラフからも、転職求人倍率が最初の緊急事態宣言後に大きく低下したことが見て取れる。その後は回復トレンドにあるものの、2019年の求人倍率を下回って推移している。

年間通した求人倍率を比較すると、2019年を1とすれば2020年は0.66で大きく落ち込んでいる

求人倍率

注視すべきなのは、就業していない状態で求人に応募する人が増えて、4〜7月の間では4割に達したこと

コロナ禍で退職を余儀なくされた人は少なくない。

都内の広告関連会社に勤務していた女性(40代)も2020年4月時点で経営悪化を理由とする希望退職に追い込まれた。

「自分が人員整理する側だったのがある日突然、上司からの電話で自分も希望退職対象になったと知りました。コロナで社会不安も高まっていて、失業保険をもらいながらのんびりしようという気持ちにはなれず、人生で初めて無職になったことへの焦りがありました」

と、振り返る。その後、2020年秋にはベンチャー企業への再就職を決めたが、いまだ求職中の元同僚もいる。

エンジニア・IT・システム系の求人は強いけど……

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職種別に転職求人倍率を比較すると、エンジニア・技術者・IT・システム系は前年比で80%と、落ち込んでいることは変わらないにしても比較的、減少幅は小さい。

サービス・販売系の転職求人倍率は前年比50%、介護・医療・福祉系同51%で下落幅が目立ち、業界によって落差が大きいことが分かる。

さらに、求人の強いエンジニアなど専門的な領域では、未経験者のハードルは上がっているのも事実だ

エンジニア・技術者・IT・システム系では「未経験OK」が2019年の27%から2020年は19%に減少。デザインやWebディレクターなどのクリエイティブ系も2019年の43%から32%に減っている

比較的、求人が減っていない職種があっても、専門分野ではとくに異業種からの転職が例年より難しくなっていることが分かる。

男女で雇用への影響はっきり違う

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コロナ禍で表れた、男女別の雇用への影響(内閣府男女共同参画局の資料より)。

経済環境が悪化すると、雇用の契約更新をしない「雇い止め」の動きに出る企業が増えることから、非正規雇用者は職を失いやすい。

さらに非正規雇用に占める女性の割合は55%(2017年)と、男性21%に比べて非常に高いことから、女性がより職を失う傾向ははっきりしている。

実際、内閣府の調査では、2020年4月時点の雇用者数の前月比が、男性で32万人減、女性で74万人減と男女で大きな開きがあることが明らかになっている(上記グラフ)。

そこに加え、今回のキャリアデザインセンターの調査は、正規雇用の女性求人が8割を占める転職サイトのもの。コロナ禍を受けて、正社員市場でも転職や再就職が前年より厳しくなったことが見て取れる。

母集団の違いから単純比較はできないものの、性別に特化しないホワイトカラー向けの転職サービスで、パーソルキャリア運営の「doda」では、コロナ禍の影響が色濃く出た2020年5月の転職求人倍率は2.03、前年同月比で80%相当。同時期に「女の転職type」で前年同月比55%に落ち込んだのとは様相が違う。

雇用支援の切り替えのタイミング

女性の働き手が多いサービス業や小売業は、コロナ禍で打撃を受けている。

これまで休業に追い込まれた企業は、国の雇用調整助成金により、働き手の雇用を維持してきた。しかし、特例的な措置である「休業」への手当では、将来的な生活を維持していくことに働き手も当然、不安がある

コロナ禍での転職のハードルが上がっている女性への支援、そして異業種への転職支援は今後、雇用を守る政策の大きなカギになる。

休業中の手当を支援する緊急措置から、業界をまたいだ再就職や転職支援という中長期的な支援策への切り替えが、必要な局面が来ている。

(文・滝川麻衣子)

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