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「出前館」が進める“雇用シェア”の実情…ある明太子メーカーでは社員をデリバリー担当に

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フードデリバリー大手「出前館」では、業種を問わず他社の社員に配達業務を委託する「雇用シェア」を進めている。(写真はイメージです)

REUTERS/Issei Kato

新型コロナによる業績悪化で、余剰人員を抱えている企業の社員を、業種問わずフードデリバリーの配達員として雇う取り組みを「出前館」が2021年1月から始めている。

もともとの会社で社員としての籍を置きながら、出前館から業務委託を受け、出前館から会社に報酬が支払われる仕組み。

出前館ではこれまでも、飲食業や運送業の企業に対し、空いた時間に宅配員をしてもらう業務委託をしていた。しかし、新型コロナの影響で業務委託を希望する企業が増加。2021年1月からは、すべての業種の企業を対象とした。

すでに食品メーカーやWeb制作会社などから問い合わせがあり、出前館の担当者は「コロナで苦しい状況に置かれている企業の雇用維持に役立ちたい」と話している。

コロナで赤字、社員2人を配達員に

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出前館だけでなく、UberEatsなど多くフードデリバリーサービスが活況だ。(写真はイメージです)

REUTERS/Issei Kato

「これまで食品卸の業務をしていた30代の男性社員に、1月から出前館の配達業務をしてもらうことにしました。全く違う業務ではありますが、社員みんながコロナ後の苦境を知っているので、むしろ率先して新しい取り組みに協力してくれています

福岡市博多区で明太子の生産や、食品卸業をしている「鳴海屋」の北島将三社長(49)はそう話す。

鳴海屋は昭和3年(1928年)に創業した社員数約50人の企業だが、新型コロナで深刻な影響を受けた。

「4月から6月の売り上げは前年の6割に落ち込み、もちろん赤字でした。コロナ前までは福岡県内に数店の販売店を構えていましたが、一部は閉店せざるを得ませんでした」

鳴海屋では新たな収益源を生むため、2020年12月から明太子の自社宅配サービスを始めるなど新規事業に着手した。ただ、自社宅配サービスは始めたばかりで、まだ多くの注文があるわけではない。

そこで目を付けたのが、出前館の配達員として社員に働いてもらうことだった。

出前館で働くことになったのは、30代の男性社員2人。社員としての雇用は続け、収入は変えないまま、配達員の業務に就いてもらう。

配達1件ごとに報酬が発生するので、給与を補うだけの収入を出前館から受け取ることは、最初は難しいと考えています。

ただ、今回の取り組みは新規事業の開拓という意味が大きい。今後は自社製品だけでなく、他店の商品も自宅に配送する事業を考えているので、その布石として、今回まず出前館と組んでデリバリー事業をすることで学べるものは大きいと考えています」

出前館のオーダー、前年比1.8倍に急伸

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「雇用シェア」の仕組み。個人または法人として業務委託を受ける。

出典:出前館プレスリース

出前館ではこれまでも、配達員業務を他社に委託していたが、主に運送業や飲食業の企業が対象だった。

コロナ禍で飲食店が営業自粛や時間短縮等を余儀なくされたことを受け、2020年4月からは、飲食店の社員らを、出前館のスタッフとして受け入れる「飲食店雇用シェア」の取り組みを開始。

そして2021年1月からは、飲食店以外にも「雇用シェア」の対象を広げた。

コロナが長期化するなかで、飲食業だけでなく、販売業であったり宿泊業、サービス業からも従業員雇用シェアについての問い合わせも増えてきました。

そこで1月からは業種の垣根を超えて、配達員の委託ができるようにしました」

出前館広報担当の濱本愛さんはそう話す。

出前館にとっても、配達員の確保は、サービスを拡大する上で不可欠だ。

「2回目の緊急事態宣言後の3連休(1月9日から11日)のオーダー数は、前年同期比で1.8倍に伸び、フードデリバリーが日常に浸透してきています。今後もデリバリーの需要は増えると見込んでいますが、一方で、コロナの影響で売り上げが苦しい企業もあります。

一時的であっても、出前館の配達員として働いていただくことで、雇用を守る意味でも、互いにメリットがあると考えています」(濱本さん)

(文・横山耕太郎

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