総合金融サービス大手SBIホールディングスが、2021年3月期第3四半期の決算を発表した。
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ネット証券など総合金融サービスを展開するSBIホールディングスが1月29日、2021年3月期第3四半期(2020年4〜12月)の決算を発表した。
売上高にあたる収益は前年同期比「27.0%増」の3622億円、純利益は同「62.3%増」の608億円。
2021年3月期第3四半期(2020年4月1日~12月31日)の累計業績。
出所:SBIホールディングス 2021年3月期第3四半期 決算短信
売上高(収益)、純利益ともに第3四半期累計で過去最高の数字が並んだ(数字は上の決算短信と同じ内容)。
出所:2021年3月期第3四半期SBIホールディングス決算説明会資料より抜粋
同社は現時点で業績予想を開示していないが、通期の売上高は前年度(3680億円)を上回り、過去最高を記録することがほぼ確実になった。
セグメントごとの業績は、証券・銀行・保険事業を核とする「金融サービス」の売上高が前年同期比「30.0%増」(515億円増)、税引前利益が同「61.2%増」(235億円増)と、全体の好調をけん引した。
「金融サービス」事業が好調をけん引。金額規模としては及ばないが、多岐にわたるベンチャー投資など「アセットマネジメント」事業の堅調な成長ぶりにも注目だ。
出所:SBIホールディングス 2021年3月期第3四半期 決算短信
従来から続く世界的な低金利状態に加え、コロナ禍による各国の大規模な財政出動と金融緩和が低金利を固定化。「定期的にインカム(=投資収入)を生む金融資産はもはや株式配当くらいしかない」(みずほ銀行チーフマーケットエコノミストの唐鎌大輔氏)ため、ほかに行き場のない資金が株式市場に流れ込み、金融関連の企業はSBIホールディングスに限らず軒並み好調だ。
ただし、そのなかでも戦略に応じて優劣ははっきりしてきている。
直接的に指標を比較することはできないものの、対面証券国内2位の大和証券グループの同期決算は、売上高にあたる純営業収益が「20.1%減」の4088億円、純利益が「17.7%増」の578億円。SBIホールディングスが大和証券グループを全面的に上回る日が近づいているように見える。
対面証券国内2位の大和証券を傘下に置く大和証券グループ本社の2021年3月期第3四半期決算。売上高はしばらく減少傾向が続いており、SBIホールディングスが迫ってきている。
出所:大和証券グループ本社 2021年3月期第3四半期 決算短信
また、証券取引の口座数については、すでにSBI証券(2020年9月末時点で約596万口座)が対面国内首位の野村證券(9月末時点で532万口座)を追い抜いており、対面証券の苦境が決定的になっている。
主要ネット証券5社の口座数と預り資産残高の推移。
出所:2021年3月期第3四半期SBIホールディングス決算説明会資料より抜粋
なお、1月29日の決算説明会では口座数に関する情報がアップデートされ、2020年12月末時点の口座数は639万口座、ネット証券として初めて600万口座を超えた。
(文:川村力)