アップルのティム・クックCEO。
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- ヒュンダイの一部の役員はアップルとの電気自動車製造に関する提携に慎重な姿勢を示していると、ロイターが報じた。
- ヒュンダイは1月初旬、電気自動車に関してアップルと協議の初期段階にあると認めていた。
- 「我々は、他社のために自動車を作るメーカーではない」と、ある役員は述べた。
ロイターによると、韓国の大手自動車メーカー、ヒュンダイ(Hyundai:現代自動車)では、電気自動車製造に関してアップルと提携するべきか、社内で意見が分かれているという。
ヒュンダイは1月初旬、アップルの電気自動車製造について、協議の初期段階にあると認めた。だが、アメリカのテック大手であるアップルの契約メーカーになることについて、一部の役員は慎重になっていると、内部事情に詳しい役員がロイターに語った。
「我々は、他社のために自動車を製造する企業ではない。アップルとの提携が、必ずしもよい結果になるとは限らない」
アップルは、製品の製造に契約メーカーを利用している。例えば、iPhoneは台湾のフォックスコン(Foxconn)が製造している。
韓国のメディアが1月10日、アップルの電気自動車について、2022年のベータ版製造と2024年の本格生産開始という内容で、ヒュンダイとアップルが2021年3月までに契約を締結する予定だと報じた。
アップルはヒュンダイとの協議に関して一切認めておらず、ロイターの最新の記事でもコメントを拒否している。
生産能力に余力があるヒュンダイは、過去3年間での最高益と発表した1月26日の四半期収支報告の中で、アップルとの協議に関する進捗については言及しなかった。Business Insiderはヒュンダイにコメントを求めている。
もし協議で合意した場合には、現代自動車グループ傘下の起亜(Kia)が、アップルが設計、販売およびブランディングを行う電気自動車を製造することになると、この件に詳しい人物がロイターに語っている。
ヒュンダイではなく起亜が製造
ヒュンダイの別の役員はロイターに、「グーグルやアップルなどのテック企業は、当社を(iPhoneの契約製造メーカーである)フォックスコンのようにしたがっている」と語った。
「提携は、最初はヒュンダイや起亜のブランドイメージ向上になるかもしれない。だが、中長期的にみれば、我々はただ車の外側だけを提供し、アップルが中心になるだろう」
現代自動車グループは、もし協議が進んだ場合、ヒュンダイではなく起亜を暫定的にアップルの契約メーカーにするだろうと、ヒュンダイ関係者がロイターに語った。
「現代自動車グループは、ヒュンダイが単なるアップルのためのメーカーになれば、ジェネシスでブランドイメージを構築しようとしている取り組みの妨げになると懸念している」
ジェネシスは、先日リリースしたジェネシス・G90を含む、ヒュンダイの最高級自動車ブランドだ。
起亜にはアメリカのジョージア州にある工場での生産余力があると、その人物は語っている。
(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)