KDDIの髙橋誠社長。
提供:KDDI
KDDIの髙橋誠社長は1月29日、同社の2021年3月期第3四半期決算説明会の席上で、同時発表された楽天モバイルの新料金プランに対してコメント。
「これぐらいはくるだろうと想定していた」と冷静な受け止めで、povoなどの新料金プランで対抗していく考えを示した。
楽天新プランには「povo」で対抗する意向
楽天モバイルの新料金プラン。
出典:楽天
楽天モバイルが発表した新プランは、データ利用量が20GB以上だと従来通り2980円(税別、以下同)だが、0~1GBの場合は月額料金が0円、1~3GBまでなら980円、3~20GBまでなら1980円という段階制のプラン。
特に1GBまでは0円(ユニバーサルサービス料があるため、厳密には数円がかかる)で利用できるという点が大きい。
KDDIの新料金プラン。
出典:KDDI
一方、KDDIは新料金プランの「povo」で月額2480円、5分間の音声定額を付けても月額2980円というプランを発表。それ以上だとデータ使い放題で月額6580円のau向けのプランも発表している。
小中容量向けには、UQモバイルで月間3GB・1480円、15GB・2480円、25GB・3480円といったプランも用意。
楽天モバイルの発表は決算説明会の直前だったため、感想を聞かれた髙橋社長は「感想は難しい」と前置きしつつ、「1月13日に発表したプランがあるので、その中でしっかりと対抗していかなければならない」と話す。
KDDIのマルチブランド戦略
出典:KDDI
1GB以下なら無料、3GB以下でも980円にとどまる楽天モバイルの新プラン。一方、auではUQモバイルから移行してデータ使い放題を契約するユーザー数が対前年費3.7倍に拡大している。
このことを前提に髙橋社長は「決して小容量だけが重要なのではない」とし、大容量を求めるユーザーに向けた無制限プランのネットワーク品質やサービスなどで対抗していく構えだ。
とはいえ、「1GB以下無料という点は、ユーザーの捉え方を観察して、新プランで競争のモメンタムを高めていきたい」と、動向を見守る姿勢も示した。
ahamoの“新仕様”対抗にも意欲、3月には追加発表も
店頭でのpovoの扱いについて3月に公開するとした髙橋誠社長。
提供:KDDI
NTTドコモはKDDIのpovo発表後、「ahamo」を複数回線割引のカウント対象にするなど、当初発表されていなかった仕様を公開した。
povoは家族割プラスの対象回線にならないため、家族内で1人がpovoに移行すると、家族全体が値上がりしてしまう。
この対抗について聞かれた髙橋社長は、「市場環境を踏まえて、適切に前向きに対応していきたい」とコメント。
同時に、オンライン専用のpovoとはいえ、店頭での取扱いに関しても何らかの対応を予定しており、「3月には詳細の内容を伝えていけるよう詳細を詰めている最中」と言う。
総務相「紛らわしい」発言に「反論はない」
武田良太総務大臣。
出典:総務省
povoに関しては、発表時に武田良太総務大臣が記者会見で「紛らわしい」という感想を述べていたが、それに対して髙橋社長は「反論はない」と冷静な反応をした。
他社には付随する5分間の通話定額がない代わりに月額料金が他社より500円安く、必要なら500円で機能を追加できる点を「分かりやすく説明する義務がある」とコメントした。
楽天の新プラン発表で、4キャリアの料金プランが出そろった。髙橋社長は、全体として他社の料金に対してはユーザーの動きを見ながら対抗策を検討していく方針で、3月までは随時アップデートが続きそうだ。
(文・小山安博)
小山安博:ネットニュース編集部で編集者兼記者、デスクを経て2005年6月から独立して現在に至る。専門はセキュリティ、デジカメ、携帯電話など。発表会取材、インタビュー取材、海外取材、製品レビューまで幅広く手がける。