ファストリ・柳井会長が吠えた!「世界はつながっていないフリをしてる」「地球は今の世代で終わりかも」

柳井正

2月2日、「新サステナビリティレポート」記者会見に登壇したファストリ会長の柳井正氏。

出典:ファーストリテイリング 新サステナビリティレポート メディア説明会より

ユニクロなどを展開するファーストリテイリング(以下、ファストリ)は2月2日、「サステナビリティレポート2021」を発表した。メディアに向けた記者会見には柳井正会長が登場し、コロナ禍における企業と社会のあり方について所感を述べた。

「世界はつながっていないフリをしている」

ユニクロ

地球環境問題について「今まで警告は何度もあった」とも指摘。

撮影:今村拓馬

5分あまりのスピーチで、柳井氏はコロナ禍でビジネスが大きな打撃を受けていることを率直に「まさに危機的な現状だ」と述べた。

「今の現状は、全員が目先の利害だけ考えて行動している。殻に閉じこもっている。世界はつながっているのに、つながっていないフリをしている。とても残念な状況です。このままでは地球は今の世代で終わりになってしまうかもしれない」

また、質疑応答では「地球そのものが有限であることをもう一回自覚すべきだ」と指摘。

「過去に何回も警告はあったが、今回のパンデミックでとんでもないことになった。これで世界各国が別々の行動を取るようになってはいけない」

こうした危機意識から、ファストリはサステナビリティレポートを大幅に刷新。「サステナブルであることは全ての前提だ」とあらためて強調した。

「一番大切なことは、気に入った服を長く愛用すること。今年買った服が、去年買った服にも、その前の年にも、今後の服にも合う。ファッション産業も、そういう活動をより大きくしていくべきではと」

アジアの人権労働問題にも取り組む

発表の中で「当社の取り組みの中で最大のチャレンジ」(グループ執行役員の新田幸弘氏)と掲げられたのは、パリ協定で定められた「2050年までの温室効果ガス排出量の実質ゼロ」という目標だ。

具体的には、2021年中にはサプライチェーンを含めた長期削減目標を公表するほか、すでにユニクロの欧州60店舗で完了している、再生可能エネルギーへの切り替えを今後も推進していくという。

我々のサプライチェーンはアジアを中心としています。地球環境問題、人権労働問題に、業界のリーダーとして率先して改善に取り組んで参ります」(新田氏)

「戦略とか、小手先のことではない」

ファストリ

記者会見はGoogle Meetでオンライン配信された。

出典:ファーストリテイリング 新サステナビリティレポート メディア説明会より

コロナ禍で多くのアパレル企業が打撃を受ける中、ファストリはいち早く危機から脱出し、業績好調だ。

1月14日に発表した2020年9~11月期の連結決算では、売上高こそ前年同期比0.6%減の6197億円とわずかに減ったものの、営業利益は同23.3%増の1130億円と、大幅な増益となった。新型コロナウイルス感染拡大前と比較しても、遜色のない水準にまで戻った。国内を含む東アジアのユニクロ・ジーユー事業が下支えした。

一方で、アメリカや欧州などの海外店舗においては、いまだに不透明な状況が続く。

質疑応答では、歯に衣着せぬことで知られる柳井氏特有の「柳井節」も飛び出した。

コロナ禍において、どのような戦略で業界をリードしていくのか?との質問には、「戦略とか小手先のことでは(やっていけ)ない」と回答。

「地球環境だけではない。地球に住んでいる人が全て幸福になるように、企業として何ができるのか。会社自体のあり方や方針を考えて実行する。表面的なことではない」

(文・西山里緒)


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