【アマゾンCEO交代】べソスの後任、アンディ・ジャシー。AWSを400億ドルの事業に成長させた男の経営手腕

アンディ・ジャシー

Mike Blake/Reuters; Joshua Roberts/Reuters; Skye Gould/Insider

[2021年7月6日 10:00 更新]

アマゾンの創業記念日である7月5日、同社を創業以来牽引してきたジェフ・ベゾスに代わり、アンディ・ジャシーがCEOに正式に就任した。

Amazon Web Services(AWS)を400億ドル規模のビジネスに成長させたジャシーとはどんな人物なのか。Insiderは十数人に及ぶ現役社員と元社員に取材を敢行。ジャシーのリーダーシップ像について聞いた。それらを総合すると、ジャシーは積極的に攻めの姿勢を貫く、顧客を中心とした考え方の持ち主だという。

※この記事は2021年2月5日7:00初出です。


Amazon Web Services(AWS)のアンディ・ジャシーCEOが大きな決断をするときは、たいてい「Chop(チョップ)」で決められる。

Chopとは、もともとはジャシーが大学時代に読んだ本『Charterhouse of Parma(邦訳:パルムの僧院)』の略からとった、アマゾンのシアトル本社の彼のオフィス横にある会議室の名前だった。しかし、そのうちジャシーが主催する重要なブレスト会議や事業計画を決めるための会議がChopと呼ばれるようになった。

Chopは大きな提案や、時には社員が小さく切り刻まれる場所でもある。

「アンディとChop会議をするなら、よく準備しておいた方がいい」と、ある元アマゾン幹部はInsiderに語った。

「彼は自分のチームに多大な信頼を寄せていますが、彼とのミーティングには最大限の注意と準備をしなければなりません。もし準備が不十分なら、彼は100マイル先から血の一滴の匂いを嗅ぎつけてくるサメのような存在になるでしょうから」

コロナ禍のため、オンラインで開催された最近のChop会議で行われた大きな決定は、アマゾンのクラウドホスティングサービスからソーシャルメディアアプリのParler(パーラー)を切り離すよう呼びかけたことだった。

アマゾンは最終的にParlerを禁止することを決定した。コンテンツ管理ポリシーの緩さにより極右の過激派から多大な支持を集めているこのアプリが、暴力的なコンテンツを制限するのに十分なことをしていなかったからだ。

Parlerを禁止することで、アマゾンは、言論に対するテック業界の力と影響力をめぐる議論に火をつけた。このことで、ジャシーのインターネットへの絶大な影響力が明らかになったと同時に、社歴24年のベテラン社員であり、AWSのトップとしてアマゾンの中でも屈指の有力幹部という存在が、新たに人々の関心を集めることとなった。

「AWSとジャシー、彼らはゲートキーパーです」と、ウェドブッシュ証券のアナリストであるダン・アイブスはInsider に語る。「ジャシーは、クラウドやテック業界だけでなく、ビジネス界でも最も強力なリーダーの一人なのです」

アマゾンの最古参幹部の一人であり、CEO のジェフ・ベゾスの側近でもあるジャシーだが、テック業界以外ではまだあまり知られていない。

2021年1月に53歳になったばかりのジャシーと一緒に仕事をしたことがある人たちは、彼のことを「本当にいい人で、部下に大きな期待を寄せ、彼らが次々と挑戦することを望んでいる人だ」と評価する。

ジャシーは、インターネット経済の多くの原動力となっているAWSの役割と、AWSがクラウド市場でトップに立ち続けるための自分の役割についてとても真剣に考えている。

彼の控えめな態度は、彼のすばらしい業績の数々からは想像するのは難しい。アマゾンが上場を果たした1997年に入社したジャシーは、すぐに出世し、一時はベゾスの最初の「影」のアドバイザーを務めたこともあった。彼は、過去3年間で2000万ドル以上の報酬を得ており、この水準はアマゾンでもトップクラスだ。

400億ドルの収益を生み出すAWS

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