イギリスでは、コロナ禍でアルコール関連死が急増している —— 最新データ

アルコール

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  • イギリスの国家統計局(ONS)のデータによると、イングランドとウェールズで2020年、アルコールの乱用に関連した死亡者の数が16%増えた。
  • 原因は明らかになっていないが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによるストレスが関係している可能性がある。
  • 専門家は、アルコール依存症を抱える人々へのサポートを強化する必要があると話している。

新型コロナウイルスのパンデミックとそれに伴うロックダウン(都市封鎖)が各地で実施される中、イギリスでは2020年、大半の地域でアルコールの乱用に関連した死亡者の数が急増したことが最新のデータから分かった。

イギリスの国家統計局(ONS)がまとめたこのデータはイングランドとウェールズに関するもので、その人口はイギリス全体の人口の約90%を占める。

そのデータによると、2020年のアルコール関連死は2019年より16.4%増えた。これは2001年に統計を取り始めて以来、最も急激な増加だ。

専門家たちは、コロナ禍における人々のアルコール消費の変化が、アルコール使用障害(AUD)の影響を受けやすい人々にとって問題になる恐れがあると警鐘を鳴らしている

医学雑誌『BMJ Open』に掲載された、83カ国を対象としたある調査では、36%の人々がCOVID-19の感染防止策を取る一方で、アルコールの摂取量が増えたことが分かった。

ONSのHealth Analysis and Life Eventsの責任者ベン・ハンバーストーン(Ben Humberstone)氏は、どうしてアルコール関連死が急増したのか、その原因ははっきりとは分からないと述べた。

エディンバラ大学のリンダ・ボールド(Linda Bauld)教授は、考えられる原因をいくつか挙げている。

Science Media Centreへのコメントで、ボールド教授はパンデミックのストレスに関連した飲酒量の増加によって、持病が悪化し、それが結果的に死亡者数の増加につながる可能性があると指摘した。

また、コロナ禍での受診控えや医療サービスの減少によって、AUDを抱える人々が適切な医療を受けていない可能性もあるという。

そして、今後はがんといったアルコールの乱用による長期的な影響も増えてくる可能性があるとボールド教授は見ている。

英国王立精神科医学会のジュリア・シンクレア(Julia Sinclair)教授は、アルコール関連死の多さは「回避できる悲劇」だとScience Media Centerに語った。

イギリスの国民保健サービス(NHS)は、危険なほど飲酒する人々の増加に十分な備えをしておくべきだと、シンクレア教授は主張している。

アルコール関連死は、ONSが2001年に統計を取り始めて以来、着実に増加してきた。2019年の死亡者数は、これまでで2番目に多かった。

専門家たちは、アルコール依存症を抱える人々への支援を強化するため、医療サービスにかかる費用の削減を撤回するよう求めている。

「(アルコール関連死は)防ぐことのできる死であり、COVID-19の健康や命に対する差し迫った脅威を超えて、このパンデミックが間接的な害を及ぼしていることを示している。公衆衛生は感染症対策だけではないと記憶しておくことが必要不可欠になるだろう」とボールド教授はScience Media Centerに語った。

[原文:Deaths from alcohol abuse spiked during COVID-19 lockdowns, according to data from the UK

(翻訳、編集:山口佳美)

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