いわゆる「アップルカー」の動向に世界が注目している。
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- 電気自動車(EV)の委託生産に関して、アップルと韓国・現代自動車が契約合意に近づいていると米CNBCテレビが報じている。
- いわゆる「アップルカー」は、米ジョージア州にある同社傘下の起亜自動車(KIA)工場で組み立てられることになるという。
- CNBCの取材源によれば、契約は合意前で、他の自動車メーカーとの提携もまだ可能性はある。
米CNBCテレビのフィル・ルボーとメーガン・リーダー(いずれも自動車産業担当)は2月3日、「アップルカー」プロジェクトに詳しい複数の関係者の話として、アップルと現代自動車(ヒュンダイ)がEVの委託生産契約について合意間近だと伝えた。
同報道によれば、このまま最終合意に至った場合、アップル初の自社ブランドEVは米ジョージア州ウェストポイントにある現代自動車傘下の起亜自動車(KIA)工場で組み立てられることになる。
CNBCに情報提供した関係者らによると、契約は現時点では合意に至っておらず、アップルは現代自動車の代わりに(あるいは現代自動車に加えて)他の自動車メーカーをパートナーに選ぶことも可能な状況だという。
アップルは(本拠のある)北米に生産拠点を置き、なおかつソフトウェアおよびハードウェア部分については自社でコントロールできるよう、生産工程のみを専門の自動車メーカーに委託する方向で検討を進めている。
アップルカーの具体的な仕様について、CNBCの取材源の1人によれば、運転席の設置は想定されておらず(=完全自動運転を意味する)、ラストワンマイル向けに最適化されており、それを踏まえると配達などの商業利用を意図したものになりそうだ。
なお生産開始は2024年を計画しているが、延期される可能性もある。
上記のCNBC報道の影響により、アップルの株価は時間外取引で2%以上上昇した。
「グーグルとの競合は回避」との見方
アップルのEV生産計画についてはここ数年、さまざまな噂(うわさ)が流れ、とくに最近数カ月は推測記事やSNS投稿が集中していた。
例えば、ロイター通信は12月、事情に詳しい匿名の関係者の話として、アップルが早ければ2024年にも自動運転EVをデビューさせる計画と報じている。
ただし同報道では、アップルカーは商用車あるいは(自動運転)ロボットタクシーではなく、一般向けの乗用車になるとされた。グーグル傘下のウェイモ(Waymo)など自動運転ビジネスとの競合を回避し、テスラ(Tesla)やリビアン(Rivian)といったEVメーカーに対峙する道を選んだというわけだ。
ロイター報道はさらに、アップルカーには同社の先進的な電池技術が搭載され、「劇的に」充電時間が減り、航続距離が伸びる可能性があるという関係者の指摘を紹介している。
現代自動車はコメントを拒否。アップルの広報担当からは返答がなかった。[原文:Apple is reportedly nearing a deal to build its autonomous electric car with Hyundai]
(翻訳・編集:川村力)