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テレワークは「サボる」より「バーンアウト(働きすぎ)」にこそ注意が必要

2020年からのコロナ禍対策として多くの会社がテレワークをせざるをえなくなり、壮大な社会実験とでも言えるような状況になりました。しかし、そこで分かったのは、コロナという不可抗力の中で、いやいや

やった実施にもかかわらず、やってみると意外なほど問題なくテレワークは「できる」ということでした。

社員同士は離れていても、チームを組んでプロジェクトを進行させることは、Zoomや、テキストチャットツールなどを用いればおおよその仕事はできるということです。

しかし、全く問題がないわけではない

もちろん、職場に出社して対面で仕事をすることを完全に再現できているわけではありません。テレワークの問題として挙がってきているのは、「新人や若手の育成」、「評価」(特に成果よりも行動面での評価)のしにくさ、「チームの一体感の喪失」、「それによる離職率の増加の不安」などなど、いろいろな残課題があります。

ただ、これらはすべて中長期的なじわじわやってくる課題ということで、各社の経営や人事は対策を検討できる猶予はありそうです。

最も早く顕在化した重要課題はメンタルヘルスか

鬱診断結果

出典:ジャパンイノベーション

鬱病判定結果

出典:ジャパンイノベーション

このようなテレワークの副作用の中で、今、最も早く問題として生じているのは、もしかするとメンタルヘルスの問題かもしれません。「コロナうつ」というような言葉もあるように、自粛生活やテレワークのストレスによって、精神的に病んでしまう人が増加している、という声が上がっています。

2020年に7589人を対象に実施されたジャパンイノベーション社の調査のように、うつ病の可能性がある人は5割以上にもなるというデータもあります。

物理的に離れているために発見しにくい

多くの経営者やマネージャーは口々に「テレワークは問題なくできる」と言います。このデータは、その裏で、苦しみながら仕事を孤独に遂行している人々がいるかもしれないということです。

仕事自体は納期通りに上がってくるので「問題ない」と思ってしまうのかもしれませんが、上記のようにコロナうつが急増している可能性があることを踏まえると、放置しておいてはいけません。いくら仕事が順調でも、従業員がどのような健康状態で働いているのかを把握し、問題があれば対策を打つのは必須です。

最初にできることは労務管理

そうは言っても、コロナ感染や景気の先行きへの不安などの社会的なことに関しては、経営者や人事のみなさんでもどうしようもないことで、やれることは限られています。が、最初にすべきこと、できることは、「丁寧な労務管理の実施」でしょう。

いつから働いて、いつ仕事を終えているか。労働時間はどうなっているか。テレワーク時と出勤時で変化はないか、深夜や早朝など異常な時間での業務遂行がないか(一概にNGということではありませんが)などのデータをまず収集して調べましょう。また、わかりにくいのですが、「オンライン会議での顔色」や、「テキストチャットでの発言量」なども参考になるかもしれません。

気にするのは「サボり」より「バーンアウト」

リモートワークで不安に感じること

出典:カオナビ

情報を集めた上でチェックするべきは、各社員がちゃんと働いているか、さぼっていないかというよりは、働きすぎていないか、頑張りすぎていないかです。20〜60代の組織所属の社会人300名に実施したカオナビの調査では、テレワークに7割の人が不安を感じています。

しかも、内容をみると、「自分がさぼっていると、周りに思われている」が22.3%と3番目に多くなっています。これを見ても、やはり気をつけるべきはバーンアウト(頑張りすぎて燃え尽きてしまい、うつなどになってしまう)ことであることがわかります。

「大丈夫か」ではなく業務量の調整を

上司から声掛けしているイメージ

shutterstock/ Morakot Kawinchan

テレワークだから社員の様子は気にかけている、という人でも、せいぜい定期的に「大丈夫か」と声かけをするぐらいの場合が多いのではないでしょうか。

しかし、「大丈夫か」と聞かれれば、「(今のところ)大丈夫です」と言うしかありません。それでもやらないよりはマシですが、そういう気の問題ではなく、もっと個別具体的な業務量を把握して、従業員間に偏りが生じていたり、急に業務量が増えた人がいたり、そういう事態がないかの確認が必要です。

私の会社でもマネジャーが全員集まって、プロジェクトの管理と担当者の業務量の調整を毎週行っています。

自分から声を上げる人は少ない

詳細な確認をお勧めする理由は、「自分からギブアップを言える人は少ない」からです。上記のカオナビ調査などでも、ただでさえ、サボっていると思われていると感じているわけです。ですから、ギブアップなどと自分から言おうものなら、この不景気の最中で放り出されてしまうのではないかと思うのも分かります。

経営や人事やマネジャーの側から、「君は働きすぎだから、業務量の調整をしよう」「この仕事は優先順位を下げてもいい」「これはあの人にやってもらうことにしよう」とアプローチしていかなければならないのです。

(文・曽和利光

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