東京都庁
撮影:三ツ村崇志
2月4日、東京都では新型コロナウイルスの新規の陽性者が734人確認された。
同日、東京都は緊急事態宣言の延長が決まった後初めてとなる新型コロナウイルス感染症モニタリング会議を開催。
あらためて、東京都の感染状況に関する現状を、データで確認しておこう。
※モニタリング会議の全データはこちら。
新規陽性者は引き続き減少も、依然として高水準
新規陽性者数はピーク時に比べてかなり減少してきたが、依然として多い状況だ。
出典:第31回東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料
冒頭、国立国際医療研究センターの大曲貴夫センター長から、現在の感染状況については「引き続き、感染が拡大している状況」との評価があった。
新規陽性者数の7日間平均は、ピークとなった1月11日の1767人と比べると、2月3日の段階では約684人(先週は1015人)と大きく減少した。
とはいえ、この数値は陽性者数の増加が加速してきた12月中旬以降と同水準であり、依然として高いことに変わりはない。引き続き、感染対策が求められる。
なお、新規陽性者数の増加比は67%(先週は69%)とほぼ横ばい。
このペースを4週間維持できた場合、新規陽性者の7日間平均は約138人にまで低下する計算となる。なお、もし増加比を50%まで減少させて4週間維持できれば、同約43人となる。
モニタリング会議の大曲貴夫国際感染症センター長は、
「ここまで(40人程度まで)減少させることができれば、保健所の積極的疫学調査や、医療提供体制が大きく改善されることが期待できます」
と今後の展開を語った。
陽性者に占める10代〜20代の割合は継続的に減少している。その分、高齢者の陽性者の割合が増えている。
出典:第31回東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料
新規陽性者の年代別構成比は、10代〜20代で若干ではあるものの継続的に低下している様子が見られた。その分、医療施設や高齢者施設などでのクラスターの発生の影響もあり、70代以上の陽性者が全体の20%を越えた。
高リスクとされる65歳以上にまで広げて考えると、全体の25%と高い水準となっている。1月26日〜2月1日までの間に確認された65歳以上の新規陽性者の数は1409人(1月19日〜25日の間は1663人)と、高齢者の陽性者も減少傾向にあるとはいえ、依然として警戒水域を出ていない状況だ
また、新規陽性者のうち、接触歴等不明者数の7日間平均は約332人(新規陽性者は683人)。前週は約540人(同1015人)であったことを考えると、感染経路が追える人の割合は若干増えてきてはいる。
ただし、未だ半数近くは経路がよく分かっていない。特に20代では陽性者の60%以上が、30〜50代でも、半数以上が感染経路が追えていない状況だ。
なお、把握できている範囲での感染経路は、49%(前週から4%減)が家庭内。それに次いで多かったのが施設内での感染で、34%(前週から7%増)だった。
大曲センター長は、同居者からの感染が多い理由として、職場、施設、会食などを介した感染の広がりがあるのではないかと指摘し、引き続き、基本的な感染対策の徹底を求めた。
なお、会食を通じた感染は2.6%(前週から0.7%減)だった。
すぐには戻らない医療提供体制
入院者数はしばらく横ばいが続いている。
出典:第31回東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料
東京都医師会の猪口正孝副会長から、医療提供体制の状況も報告された。
新規陽性者数は減少傾向にあるものの、2月3日時点での入院者数は2876人(先週は2871人)と横ばいに推移している。感染者数が減っても、簡単に医療体制が回復してこない現状が如実にあらわれている。
なお、2月3被時点での全療養者数は9854人。
療養者の内訳
入院患者数:2876人、宿泊療養:607人、自宅療養:3264人、入院療養等調整中:3107人
PCR検査の陽性割合は陽性者の減少に伴い、微減している。
出典:第31回東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料
PCR検査数は先週にくらべて若干減っているものの、陽性者数自体の減少の影響が大きく、陽性率は6.2%(先週は8.4%)に低下している。
また、猪口副会長は、今後のPCR検査の利用について次のような考えも示した。
「東京都は通常時で1日あたり3万7000件、最大稼働時は1日あたり6万8000件のPCR検査能力を確保しています。感染を抑え込む観点から、陽性率の高い特定の地域や(リスクの高い)対象に対してPCR検査の受診を積極的に実施することや、無症状者を含めた集中的なPCR検査を行うなどの戦略を検討する必要があります」(猪口副会長)
なお、東京ルールの適用件数は約109件(先週は約122件)と高い値が続いている。この適用件数の高さは、救急医療の受け入れが難しい現状が続いていることを意味している。
依然として医療提供体制の逼迫度が高いことに変わりはない。陽性者数が減ってきたとはいえ、医療体制が安定を取り戻すまで、もうしばらく強い感染対策の継続が必要だ。
年代問わず、約8割が後遺症に
母数は少ないが、年代を問わず、感染者の多くが後遺症に悩まされている現状が報告された。
出典:第31回東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料
モニタリング会議では、大曲センター長から国際医療研究センターで行われた、後遺症に関する報告が行われ、年代を問わず感染者の約8割が後遺症に悩まされている現状が明らかにされた。
後遺症に関する疫学研究は、2020年2〜6月に国際医療研究センターを退院した78名の新型コロナウイルス感染症回復者を対象に、電話での聞き取りによって行われた。
回答があったのは、78人中63人。
このうち、発症後2カ月後まで何らかの後遺症が残った人の割合は48%。4カ月後でも、27%の患者に何かしらの後遺症が認められたという。
呼吸困難、倦怠感、嗅覚障害といったよく耳にする後遺症は、回復から4カ月経過した後でも約10%の患者に確認された。また、脱毛においては24%の患者で確認され、その64%は聞き取り調査を行った段階でも症状が続いていたという。
また、20代では特に嗅覚・味覚の障害が多かった。
(文・三ツ村崇志)