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GoodMorning代表・酒向萌実氏が聞く、「普通の人が生活困窮者になる」現実への向き合い方

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コロナ禍では誰もが多大な我慢と変化を強いられている。しかし、これまで当たり前に仕事をして生活してきた人たちが、明日の食費もままならない貧困に陥っていることに、どれだけの人が気づき、自分事として向き合えているだろうか。

その状況は、明日の自分かもしれないのだ。

2001年から国内の貧困問題に取り組む認定NPO法人 自立生活サポートセンター・もやいは今、新型コロナで住まいや収入を失った人を支える支援プロジェクトをクラウドファンディングで行っている

その背景や想い、プロジェクトを通して実現したいことを語ってもらうため、もやい理事長でプロジェクト起案者である大西連氏と、社会問題と向き合う人のクラウドファンディングプラットフォームGoodMorning代表で、MASHING UPコミッティーメンバーの酒向萌実氏との対談を行った。

「普通の人」が生活困窮者に陥っている

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もやいでは、生活に困っている人からの相談・支援や賃貸物件の連帯保証・緊急連絡先の提供など、住まいの確保や居場所づくりを中心とした活動を行ってきた。だが、2020年4月以降のコロナ禍ではその一部の事業を停止し、緊急の相談体制を構築している。これまで年間で約4000件ほどだった相談件数が、コロナ禍で例年の1.5倍以上に増えているからだ。件数だけでなく、相談者自体も変化しているという。

「これまで働いていた人たちが失業や収入の減少を経験したり、家族からの暴力に遭っていたりという事例が増えています。メールでの相談が多いのも特徴的で、そうしたデバイスも当たり前に使えて、支援など無関係だと思っていた、いわゆる『普通の人』たちが、突然、明日どうやって生活したらいいのかわからない状態に陥り、戸惑っているケースが多く見られます」(大西氏)

リーマンショックでは、30代、40代の製造業者が中心に大きな打撃を受けていた。だが今回は、若年も含め、飲食、販売、宿泊業、建築など、あらゆる分野で甚大な影響を受けている、と大西氏。相談者に多いのは、非正規で働いていた人たちだ。背景には、減らない非正規雇用の状況と賃金格差というコロナ禍以前からの問題がある。

コロナ禍で高まった社会の「分断」

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「もやいに相談する人は、ネットで知って連絡してくるのでしょうか?」という酒向氏の質問に、「そうですね。これを機に、もやいの活動がいろんなメディアでも紹介されているので、そうした記事を見たり検索されたりという方が多いようです」と大西氏。「もちろん、国や自治体の支援が前提なのですが、役所の窓口は混んでいるし、申請の書類や方法に不安を感じて、先に相談をしてくる方もいらっしゃいます

これに対し、「私の周りでも、友人が生活に困って、自治体の支援を受けたという話も聞きました。でも、そういう人がいることに、気づいていない人も多いですよね」と酒向氏は指摘する。

ステイホームによってますます同業者や友人、家族という狭いコミュニティの人とのみ交流し、それ以外の人の状態が見えにくくなっている。コロナ禍以前から問題になっていた社会の分断が、ますます深刻になっているのだ

「だからこそ、クラウドファンディングを始めたのです」と大西氏。

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zoom取材に応じる認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい理事長 大西連氏(左)と、株式会社GoodMorning代表取締役社長 酒向萌実氏(右)。

「もちろん、金銭的な支援をするという意味合いもあります。今、年末年始の緊急支援も募っていますが、年末年始は役所が閉まることで、公的な支援を利用できずに困ってしまう方も多くなることが予想されます。そうしたときには我々の一時的な支援が役立つはずです。ただ、前提として、公的な支援がなければ全員を救うことは不可能です。それでもクラウドファンディングを行うのは、支援を通して、より多くの人にこの問題を知ってほしいからです」(大西氏)

問題を知り、始めの一歩を踏み出すために

酒向氏が代表を務めるGoodMorningで、このクラウドファウンディングを行っている。「支援してくださっている方からも、『知らなかった』、『この問題を知り、自分にもできることがあってよかった』という声が寄せられていますね」と酒向氏。

「そうですね。実は、クラウドファンディングを行うことには、我々の中でも葛藤があったのです。最終的には、公的支援がないと意味がないですから。でも、今回、初めて参加してくださった大勢の支援者の方に、出会うことができたのはよかったです。問題を知り、実際にアクションを起こすというのは、大きな一歩だと思います」(大西氏)

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コロナ禍で「変わらない」ことへのバイアスが外れた

初めて支援に参加する人が増えたのは、ステイホームで時間ができたことで、今、自分にできることは何かを考える時間が増えたことも影響しているかもしれない。

「日本には以前から貧困問題がありました。しかし、働くことができない人に対しての差別が強く、皆が見ないようにしていたり、ときには激しくバッシングされたりしてきました」と大西氏。

「そういう意味では、コロナ禍では、いつ自分の仕事がなくなるかわからない。いつ新たな困難で世の中が変わってしまうかわからないということを、リアリティをもって感じられたことは大きいですね」と酒向氏は言う。

不満や憤慨を、社会を変えるエネルギーに

また、安倍政権下でのマスク配布に批判が集まるなど、自分の税金という個人的なことが直接的に政治につながることを強く実感した人も多い。

マスク配布の500億円は、日本の子どもの貧困問題の5年分近くに値します。僕は日本の政治に絶望して、冗談ですが海外に移住したくなりましたよ」と大西氏。

「今回は同じ問題に各国の政府が対応していたので、姿勢の違いが明らかになりましたよね。ニュージーランド政府の対応は国民に称賛されていましたし、韓国は政府への国民の目が厳しいということがよくわかりました。その中で、日本の危機管理の低さは目立っていたと思います。でも、それに対する疑問や憤慨を、社会をよくしたいというエネルギーに変えられるといいですよね。あまりに酷かったから、一人ひとりがコミットしないと社会は変わらないということを痛感した人は多いと思うのです」(酒向氏)

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支援活動中の大西連氏。

「本当にそうですね。僕もあきらめずにロビイング(政策提言の活動)を続けています。少しでも支援の輪を広げられたらと思っています」(大西氏)

今回のもやいのプロジェクトは、生活困窮者への資金援助とともに、ひとりでも多くの人にコミットしてもらい、社会を変えていくための一歩でもある。もやいではこれまでにも生活困窮者を救うための政策提言を行っているため、この結果は小さくない一歩となるはずだ。

来年に向け、雇用も絞られることが予測される中、コロナ禍はまだ継続中だ。コロナ後の社会をよりよいものに変えていくための一歩を踏み出したい人は、プロジェクトへの参加を検討してほしい。

【NPO法人もやいによる支援プロジェクトはこちら】
【新型コロナ】住まいや収入を失った人を支援したい!(終了)
【新型コロナ】住まいや収入を失った人を支えたい!年末年始の緊急支援プロジェクト(終了)

MASHING UPより転載2020年12月28日公開


(文・中島理恵)

中島理恵:ライター・エディター。埼玉県出身、広島県在住。編集プロダクション、出版社勤務を経てフリーランスへ。旅、食、建築、インテリア、ビジネス、育児、動物など多岐にわたる記事の執筆・編集、翻訳などを手がける。3児の母。

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