ワシントンD.C.にあるトランプ・インターナショナルの北口。
Mark Tenally/AP
- 陰謀論を宣伝する集団「Qアノン」の支持者らは、トランプ元大統領が2021年3月4日にアメリカ大統領に就任すると信じている。
- これは1871年以降の大統領は皆、正統でないとする陰謀論に根差した考えだ。
- 首都ワシントンD.C.にあるトランプ元大統領のホテルは、3月4日の宿泊料を値上げしているこの地域で唯一のホテルだとフォーブスが報じた。
Qアノンの最も熱烈な支持者らは今でも、2020年のアメリカ大統領選挙で敗北したトランプ元大統領がこれから大統領に就任すると信じている。
彼らは2021年3月4日をトランプ元大統領が首都ワシントンD.C.でアメリカ大統領に就任し、政権に復帰する日として、カレンダーに印を付けている。
そして、フォーブスによると、ホワイトハウスからわずか数ブロックの距離にあるトランプ・インターナショナル・ホテルは一部の部屋の3月3日と4日の宿泊料を約3倍に値上げしているという。
「ソブリン・シチズン運動」
Qアノンの支持者らが3月4日をこれほど重視するのは、「ソブリン・シチズン運動(sovereign citizen movement)」という突拍子もない考えに根差しているからだ。
これは、1871年に制定されたある法律が密かにアメリカを国家ではなく企業に変えたと信じ、それをもとにアメリカ人は一連の連邦法の支配下にはないとする考えだ。
その結果、彼らはそれ以降に就任した大統領は全員、正統でないと見なしている。ソブリン・シチズン運動のメンバーたちは、ユリシーズ・グラント元大統領が最後の正統なアメリカ大統領だと信じている。
そして、グラント元大統領が19世紀の他の大統領と同じく3月4日に就任したことから、ソブリン・シチズン運動では2021年3月4日に共和制が復活し、トランプ元大統領がアメリカ第19代大統領になると信じている。
Viceによると、この幻想が、1月にバイデン大統領が就任したことを理解しようとするQアノンの熱烈な信奉者の間で勢いを増しているという。
こうした中、3月4日はトランプ元大統領のワシントンD.C.のホテルにとって、マーケティングのチャンスとなっているようだ。
フォーブスによると、3月のデラックスキングルームの宿泊料は通常、476~596ドル(約5万~6万3000円)だという。ところが今年は同じタイプの客室の宿泊料がほぼ3倍に値上がりしていて、3月3日と4日は1泊1331ドルだと同誌は報じた。
1100 Pennsylvania newsletterによると、こうした宿泊料の値上がりはトランプ・インターナショナル・ホテルだけに見られるものだという。
ホワイトハウス周辺の他の高級ホテルでは、3日と4日の宿泊料は通常通りのようだと、同メディアは伝えている。
Insiderではこの件についてトランプ・インターナショナル・ホテルにコメントを求めたが、回答は得られなかった。
同ホテルの宿泊料の値上げが政治イベントと重なるのは、これが初めてではない。
トランプ・インターナショナル・ホテルは1月5日と6日の宿泊料も大幅に値上げしていた。フォーブスによると、死亡者も出た連邦議会議事堂への乱入事件が起きた6日の夜は、一番安い部屋でも1泊8000ドルだったという。
同ホテルの責任者は1月7日、連邦議会議事堂への乱入事件が起きた週の売り上げは「記録的」だったとツイートした。
(翻訳、編集:山口佳美)