外食に明暗、日本マクドナルドは「全店過去最高売上」で最終益20%増、内訳にはコロナ影響も

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Tupungato / Shutterstock

2度にわたる緊急事態宣言、都市部を中心とした来客減少、営業時間短縮などで大きな打撃を受けている外食産業。しかし、その実像はまさに「明暗分かれた」状態といえる。

日本マクドナルドホールディングスは2月9日に発表した通期決算で、2020年12月期の全店売上高が創業以来「最高売上」となったことを報告した。これは2019年に引き続き、2年連続の更新だ。

コロナ影響を受けても「純利益2割増」のカラクリ

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出典:日本マクドナルドホールディングス

直営店舗とフランチャイズ店舗の合計売上高は、5892億円(前年比7.3%増)、ホールディングスとしての売上高は2883億円(前年比2.3%増)、本業のもうけにあたる営業利益は312億円(同11.7%増)、純利益では201億円(同19.6%増)と、営利・純利ともに2桁成長。コロナ下の外食産業のなかでは「勝ち組」の一社と言える。

コロナ下の好業績といえるが、その内訳からは、世相の影響を大きく受けていることがよく分かる。

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好決算のなかでも、既存店客数は1割近く減少している。

出典:日本マクドナルドホールディングス

例えば、緊急事態宣言をはじめとする自粛ムードのなかで、既存店の客数は1割近く減少している。その一方、客単価は16.7%も増えている。

これは、デリバリーやテイクアウトなどの需要による「複数人分まとめ買い」が増えた結果の一端と見ることができる。

マクドナルドは、決算説明資料のなかでも、デリバリーを「今後も大きく成長が期待される、ポテンシャルの高いマーケット」だと言及している。2019年12月時点では710店舗にすぎなかったデリバリー対応店舗は、この1年で倍増(1518店舗)した。

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この1年でデリバリー対応店舗は倍増。独自のMcDeliveryのほか、ウーバーイーツ、出前館といったパートナーのチャネルも広げている。

出典:日本マクドナルドホールディングス

コロナの流行がビジネスのあり方を変え、その世界の変化に猛烈なスピードで適応した……日本マクドナルドの純利益19.6%増という結果は、単にファストフードという業態だからできたわけではないことを感じさせる。

もちろん、こうした順応力は、コロナ以前からデリバリーやモバイルオーダーへの先行投資をしてきたからこそでもある。

(文・伊藤有)

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