ペットのいる生活は素晴らしいけれど……
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ペットに最良の生活を送ってもらうのは、簡単ではない。
わたしたち人間が知らないうちに、彼らの生活を困難にしたり、健康に関わる重大なサインを見逃してしまうこともある。
獣医師に聞いた、ペットの飼い主がやりがちなミスとその改善策を紹介しよう。
耳からはみ出したもじゃもじゃした毛を切ってはダメ
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毛の長い犬や猫が定期的にグルーミングしていないと、耳の毛がもじゃもじゃ絡まることがある。だからといって、飼い主がはさみで切るべきではない。
「もじゃもじゃになった毛をとかしたり、ブラッシングするのは難しいため、飼い主の中には自分ではさみを使って切ろうとする人がいます」と獣医師で Modern Animalの獣医学の責任者クリスティー・ロング(Christie Long)氏はInsiderに語った。
「これはダメです。どこまでが毛でどこからが耳か見分けるのは、簡単ではありません。耳を切ってしまいます」
一番良いのは毛先の柔らかいブラシでやさしく毛をとかすことだが、もしそれが難しいようなら(ペットが協力的でない場合も含め)プロに任せるのが良いだろう。
子犬は早めに社会生活に順応させること
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新しい子犬を迎えると、全て独り占めしたくなるかもしれないが、できるだけ多くの人や動物に会わせることが彼らの成長には不可欠だ。
「ワクチン接種をきちんとしているかどうか分からない犬のいる場所から、新しい子犬を遠ざけることは重要ですが、社会にきちんと適応するためには、子犬は知らない人や犬と会う必要があるのです」とロング氏は言う。
犬がきちんと社会に適応できないと、人や他の動物を怖がったり、攻撃的になる可能性があると、ロング氏は説明する。
ワクチン接種済みの犬と子犬を遊ばせることは、正しい交流の仕方を学ぶ良いきっかけになるし、しつけ教室などもペットと飼い主の絆を育て、重要な命令を学ばせる役に立つだろう。
ねこには十分な数のトイレを用意すること
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多くのねこの飼い主が、十分な数のトイレを用意できていないかもしれない。
「ねこは、排せつできる清潔な場所をたくさん必要とします。専門家は飼っているねこの数プラス1のトイレを用意することを勧めています」とロング氏は言う。
汚れていないトイレがないと、ねこはしばしば別の場所 —— 床や飼い主の持ち物など —— を見つけるとロング氏は指摘している。そして、一度悪い習慣がついてしまうと、それを変えさせるのはものすごく難しくなるという。
そのため、飼い主はペットにできるだけ早く複数のトイレを用意し、毎日きれいにしておくよう習慣づけることが必要だ。
頻繁に吐き戻しているのを無視してはダメ
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草を食べるのが好きな犬や毛玉をよく吐く猫などを飼っていると、ペットが嘔吐してもあまり気にしていない飼い主もいるかもしれない。
だが、動物が頻繁に吐き戻しているのを無視することは大きな誤りだと、ロング氏はInsiderに語った。
「ねこは時々毛玉を吐くものだからと、ねこの飼い主の中には、愛猫が食べ物を吐いても大丈夫だと考える人がいます。しかし、嘔吐はどんなペットにとっても"普通"ではありません。ペットの様子がおかしくなくても、調べるべきです」とロング氏は言う。
ペットを専門家のところに連れて行くことで、嘔吐を防ぐための食生活の改善方法を教わったり、治療が必要な病気を抱えていることが分かることもあるだろう。
犬の爪のお手入れを忘れてはダメ
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獣医師でGallantの医務担当のバイスプレジデントでもあるシェリー・ザカリアス(Shelly Zacharias)氏は、放置され、伸び過ぎた爪は痛みの原因や健康問題になることもあるとInsiderに語った。
「伸び過ぎた爪はさまざまな問題の原因になり得ます。足の裏に刺さって強い痛みや感染症の原因になったり、折れて大量出血したり、一部が折れて直すのに鎮静剤の使用が必要になることもあるのです」とザカリアス氏は言う。
さらに悪いことに、爪が伸び過ぎの状態が長く続くと、犬の立つ姿勢がおかしくなったり、関節炎の原因となることもあるとザカリアス氏は説明している。
屋内で過ごすことの多い、あまり活動的でない犬は爪が伸び過ぎになりやすいので、定期的にチェックすることが大切だ。
初対面の犬と正面から会わせるのは必ずしも適切ではない
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初対面の犬同士を初めから鼻と鼻で挨拶させるのは、ペットにとっても飼い主にとっても危険があると、ザカリアス氏はInsiderに語った。
「どちらかの犬が相手を気に入らなければ、犬は一瞬で相手の顔に噛みつくでしょう。どんなに反射神経のいい人でもこれを止めることはできません」
こうした危険な出会いを避けるためには、まずは相手の飼い主に十分離れた場所から犬同士を引き合わせても大丈夫かどうか、声をかけることが大切だ。
「相手の飼い主がOKしたら、自分の犬を相手の犬のお尻の方へガイドし、顔と顔を突き合わせる前にお互いを知るようにさせましょう。鼻と鼻でいくよりも、これが犬にとっては自然な出会い方なのです」とザカリアス氏は言う。
あなたのペットがもし見知らぬ犬と出会った時に、耳を後ろにしたり、毛を逆立てるようなら、あなたとあなたのペットはその犬から静かに離れるべきだ。
飼い犬の糞を拾うのは、交渉の余地のない飼い主の責任
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DogLabの獣医師サラ・オチョア(Sara Ochoa)氏は、犬の糞を片付けることは人とペットを幸せにし、健康を守る役に立つとInsiderに語った。
犬の糞にはジアルジアやサルモネラ菌、大腸菌といった危険なバクテリアが含まれていることがある。それが置き去りにされていると、人や動物が直接または水を介して感染する可能性がある。
そして、犬の糞をそのままにしておくのは他人に対して失礼でもある。
「歩いている途中、誰かの犬の糞を踏んで喜ぶ人はいません。近所を散歩したら、きちんと拾いましょう」とオチョア氏は言う。
年に1度のワクチン接種を怠ってはダメ
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ペットにきちんとワクチン接種を受けさせることが、高額な治療を必要とする病気を防ぐ近道だと、オチョア氏はInsiderに語った。
「ワクチンはペットの間でよく見られる病気を防ぐ役に立ちます。ワクチン接種をしないことで、あなたは自分のペットと他の人々のペットをリスクにさらすことになるのです」
からだの小さな動物は飼いやすいと考えるのは間違い
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今すぐ犬や猫を家族に迎えるのは難しくても、トカゲや熱帯魚を飼えば、ペットの飼育にだんだん慣れるだろうと考える人もいるかもしれない。
だが、実際はペットのサイズと世話のしやすさは必ずしも比例しない。例えば魚も、種類によっては厳密な水温とえさやりの時間を守らなければならないものもいる。
「多くの珍しい動物たちには、健康を保つためのさまざまな約束事があります。専門の獣医師を近所で見つけ、実際に飼い始める前にその世話の仕方について聞いておきましょう」とオチョア氏は言う。
人間用の薬をペットに与えてはダメ
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ネットで何を読もうと、獣医師に相談することなく、飼い主はペットに人間用の薬を与えてはいけない。
「市販されている多くの人間用の薬は、犬や猫にとって飲んで安全なものではありません」とオチョア氏はInsiderに語った。
中にはペットに与えても大丈夫な薬もあるが、それは獣医師の管理の下、適量を与えた場合のみだ。
犬用の薬を猫に与えたり、猫用の薬を犬に与えるのもダメだ。害を及ぼすだけでなく、命に関わることもある。
[原文:Veterinarians reveal 10 of the most common mistakes pet owners make]
(翻訳、編集:山口佳美)