“EC特需”のBASE、コロナ禍で「売上2倍」黒字決算で勢い…社外取に元SMAPマネージャーも就任

BASE ロゴ

ECプラットフォームを提供するBASEはこのコロナ禍で大きく伸びた企業の1つだ(写真は2020年7月当時のb8ta 新宿マルイ店内のBASEポップアップスペース)。

撮影:小林優多郎

ECプラットフォームや決済サービスを提供するBASEは2月10日、2020年通期決算を発表した。

通期での売上高は82億8800万円(前年同期比115.3%増)、営業利益は8億300万円、最終利益5億8400万円。同社初の通期の営業黒字決算となった。

通期黒字を達成した理由は、コロナ禍で起こった“EC特需”にある。

売上高の推移

2020年はBASE事業の売上が大幅増加。決済事業のPAY事業もあわせて成長している。

出典:BASE

2020年を通して事業者による新規出店数が増加。第4四半期の新規ショップ開設数は前年同四半期比で+88%、2020年12月には累計開設数は130万ショップを超えたという。

鶴岡裕太氏

決算説明でマイクをとるBASE代表の鶴岡裕太氏。

出典:BASE

また、消費者による“巣ごもり消費”や“応援消費”も相まって流通額増につながった。とくに1回目の緊急事態宣言が発令された4月、5月は急激に伸びており、BASE代表の鶴岡裕太氏は同日の決算会見で「(6月以降は)落ち着いたが、秋ぐらいにも力強く成長し始めている」とコメントしている。

インスタ連携など出店事業者の獲得および継続施策に注力

流通量の推移

GMV(流通額)の推移。新規ショップが増えただけではなく、既存店舗の売り上げも軒並み伸びている。

出典:BASE

同社のビジネスはBASEとB2Bの決済サービス事業の2本柱だが、いずれもサービスの利用毎に発生する手数料が同社の収益となる。

つまり、BASE事業で言えば、「いかに新しい事業者に出店してもらうか」「いかに出店中の事業者に継続してもらうか」「いかに消費者を呼び込むか」がカギになる。

会見では今後リリースする機能や施策の具体例は発表されなかったが、2020年の取り組みとして、スマホ1つでリッチなECを構築できる新機能や、インスタグラムと連携した投稿・広告機能を紹介。

また、鶴岡氏はBASE内ショップの「約72.1%がおひとりで運営されている」と触れたほか、「ひとり(で経営している方)の手間を省く。それを土台に、集客・販促の支援、コミュニティーの広がりを支援する機能を提供できればと思う」(同社COOの山村兼司氏)と話している。

初の黒字化達成も2021年は“慎重姿勢”。社外取締役に元SMAPマネージャー

BASE KPI

BASE事業のKPI。

出典:BASE

競争環境を見てみると、ECプラットフォーム大手のShopify(ショッピファイ)が2020年9月に「BASEショップ情報移行アプリ」をリリースするなど、コロナ禍の競争環境は激化していくと予想できる。

同社が経営指標の1つとしている月間売店数では、第4四半期の平均値が前年同期比80.7%増となる約5100ショップで好調に推移。だが、鶴岡氏はこれを「2019年以前と比べて高い成長」と評価しながらも、「このトレンドが今年以上続くとは考えていない」と、中長期的な利益を生み出すための施策に力を入れる方針。

投資を続けていく方針は今までかわりない。

2021年通期予想では、売上高97億5000万円 ~105億3600万円(前年同期比+17.6〜27.1%)、営業損益は9億2900万円〜14億3300万円の営業赤字予想と発表した。

なお、同社の共同創業者で社外取締役だった家入一真氏が3月25日に、自身の経営するサービスに注力するため退任。同日には、ジャニーズ事務所でSMAPのマネージャーを務めていた飯島三智氏が社外取締役として着任するなど、経営体制も強化・見直しを図る。

(文、撮影・小林優多郎

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