招待制音声SNSアプリ「クラブハウス(Clubhouse)」。日本でのローンチが大きな話題になった一方、早くも「飽きた」「Clubhouse疲れ」といった声もあがっている。今後どんな使われ方をしていくのか。
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- 話題の音声SNSアプリ「クラブハウス(Clubhouse)」は500万ダウンロードを突破、評価額は10億ドルに達している。
- ただし、アプリを運営するアルファ・エクスプロレーション(Alpha Exploration)はまだ従業員10人超の小所帯だ。
- 同社は近い将来スタッフを倍増させる計画で採用を進めている。
2月9日の夜。ミスタービースト(MrBeast)の名で知られる人気YouTuber、ジミー・ドナルドソンはベンチャーキャピタリストのスリラム・クリシュナンとクラブハウスで対談。
ところが、技術トラブルが発生してドナルドソンがはじき出されてしまったため、アプリを運営するアルファ・エクスプロレーションのスタッフが彼をオンラインに復帰させようと大至急の作業にあたる一幕があった。
クリシュナンはルームでこんなことを口にしている。
「ちなみに、クラブハウスは採用を強化してる。(我こそはと思う人は)売り込むならいまが絶好のタイミングなんじゃないかな」
クラブハウス創業者のポール・デイビソンが米公共ラジオNPRで人気司会者のガイ・ラズに語ったところによれば、同社の従業員は現在のところ10人程度ながら、アプリは偉業と言っていいほど急速な広がりを見せているという。
その成長は驚異的で、WIREDの記事によれば、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が1月31日(現地時間)に初めて姿を見せたあと、アプリのインストール数はわずか数日で300万から500万に跳ね上がった。
その数日後の2月4日には、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOも特別ゲストとして参加(マスクもザッカーバーグも前述のクリシュナンがホスト役のルームにジョイン)。アクセスが集中し、障害が発生する事態に及んでいる。
ポール・デイビソンともう1人の創業者ローハン・セスはこの10年間、別々にソーシャルアプリ開発に関与し続けてきた。
デイビソンは、クラブハウスのリリース前、むしろ位置情報シェアアプリ「ハイライト(Highlight)」のクリエイターとして知られていた。また、セスのほうはグーグル社員としてグーグルマップの機能改善・向上に取り組み、その後ソーシャルアプリに特化したスタートアップを立ち上げている。
失敗してはまた立ち上げのくり返しのなかで、デイビソンとセスはクラブハウスの青写真あるいは構想を育んだわけだ。とはいえ、今日の時点で成功が確約されたわけではまったくない。
ビジネス特化型SNSのリンクトイン(LinkedIn)で確認できる限り、アルファ・エクスプロレーションで働いている(とプロフィールで宣言している)従業員は、共同創業者のデイビソンとセス、それにエンジニアが3人。ほかにコミュニティサクセス(=利用者の満足度向上など)とコンテンツ担当が2人。従業員のリンクトイン投稿によれば、2月にリクルーターが1人加わった程度。
Insiderはクラブハウスの広報担当に取材を申し込んだが、コメントも詳細な従業員数も得られなかった。
「フルスタックエンジニア」を急募
アルファ・エクスプロレーションは今年1月に調達した1億ドル(約105億円)を採用強化に充てる計画だ。
同社の採用ページを見ると、アンドロイド/iOSエンジニアやトラスト&セーフティアナリストなど7件の求人が現在公開されている(2月14日時点)。
求める人物像は、ユーザーの動向に細心の注意を払ってサポートを提供し、そのニーズを見抜くための優れた技術と経験を持っていること。また、高いコミュニケーションスキルと「結果重視の」マインドセット、起業家精神を持ち合わせたセルフスターターであること、という。
2月9日夜、冒頭でも触れたベンチャーキャピタリストのスリラム・クリシュナンがホスト役を務めるクラブハウスのトーク番組「グッドタイム・ショー」で、クリシュナンはルーム参加者に対して、クラブハウスは大きな成功への階段を駆け上がるところで、ジョインするならいまがチャンスだと発言している。
クリシュナンによれば、(クラブハウス共同創業者の)デイビソンとセスはとくに「ファンタスティックなコーディング」で問題を解決できる「フルスタックエンジニア」(=設計から開発、運用まで全般的なスキルを持つエンジニア)を求めているとのこと。
(翻訳・編集:川村力)