今後5年で市場規模5兆円以上。メンタルヘルスを解決する「DTx」に集まる注目:eMarketerレポート

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オピオイド(常習性の高い麻薬系鎮痛剤)依存症を治療する、Pear Therapeutics社の「reSET-O」。

Pear Therapeutics

  • この記事はインサイダー・インテリジェンスによる調査レポート「デジタルセラピューティクス(Digital Therapeutics)」のプレビュー版。レポート完全版(有料)はこちらから

パンデミックに対する不安やうつなど、多くの人々がメンタルヘルスの問題を抱えるなか、デジタルセラピューティクス(DTx:Digital Therapeutics)の重要性が増している。また、遠隔医療プラットフォーム大手テラドック(Teladoc)と慢性疾患モニタリングサービスのリボンゴ(Livongo)の185億ドル(約1兆9000億円)の合併をきっかけに、バーチャルケア分野における競争が激化している。今後5年の間にDTx市場は560億ドル(約5兆8500億円)に達する予想だ。

デジタルセラピューティクス(DTx)とは?

デジタルセラピューティクスとは、モバイルアプリなどのソフトウェアを通じて、エビデンスベースの治療を患者に届ける技術を指す。従来の治療法の代わりとして、またはそれを補完するものとして利用される。広義の「デジタルヘルス」とは、規制当局からの承認が必要だという点で異なる。概念実証は、DTxモデルの中核をなしている。

デジタルセラピューティクス市場

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デジタルヘルス企業への投資額の推移。

Insider Intelligence

DTxは、アメリカの医療費の大部分を占める慢性疾患の治療に用いられている。慢性疾患患者の急増とパンデミックの影響の長期化が、世界のDTx市場の成長を促している。

インサイダー・インテリジェンスによる2019年の予想では、DTx市場は2025年までに90億ドル近くまで拡大するとしていた。今回(2020年12月)のレポートでは、DTxの世界市場は2025年までに560億ドルに達すると見ている。

今後5年の間に、DTx企業間のM&A(合併・買収)は増えていくだろう。また、製薬会社によるDTx企業の買収も増えると予想される。大規模なM&Aは市場の成熟度を反映しており、将来の成長の重要な兆しでもある。

この潮流を座視すれば、大きな機会損失となるかもしれない。製薬会社や医療機器メーカーはDTx企業と提携する機会を逃せば、競合の新興企業に市場シェアを奪われるリスクがある。

DTxに対する規制

DTxプラットフォームへの関心の高まりを受けて規制緩和が進み、ベンチャーキャピタルから関連企業への投資が伸びている。アメリカの食品医薬品局(FDA)はDTxベンダーがこれまで以上に早く製品を市場に出せるよう、環境整備を進めている。2020年4月には、メンタルヘルス関連のデジタル・ツールの承認に関する規制を緩和している。

DTxをめぐるトレンド

テラドックとリボンゴの大型合併で、DTxと遠隔医療市場に注目が集まった。これをきっかけに、遠隔医療分野の他のプレイヤーも自社サービスの価値を高めるため、DTxプラットフォームに目をつけるようになった。

成長著しいDTx市場の一角を占めようと、製薬会社も戦略的にDTx企業に資金を投じている。FDAによる規制緩和が進み、投資回収の確実性が増したことで、製薬会社によるDTxソリューションへの投資はさらに促進されるだろう。

パンデミックの影響で、遠隔医療関連企業はかつてない成長を遂げている。財務が安定したことで、これらの企業はサービスの幅を広げられるようになった。デジタルヘルス・ブームでDTx市場が拡大するなか、資金力をつけた遠隔医療ベンダーのなかには、DTxスタートアップの買収や、DTxソリューションを自社開発をする企業が増えるかもしれない。

主なDTx企業

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主なDTx企業。上段左から右へ資金調達額が多い順に表示。

Insider Intelligence

インサイダー・インテリジェンスによる調査レポート「デジタルセラピューティクス」では、デジタルヘルス分野のなかで注目を集めている、主なDTx提供企業各社にスポットを当てる。「治療内容」「最近の資金調達額や調達先」「FDAによる承認」「提携先」などについて詳しく解説する。

本レポートで言及される企業:

Omada, Virta Health, Biofourmis, Akili Interactive, Pear Therapeutics, One Drop, Lark Health, Propeller health, Cognoa, Kaia Health, Happify Health

DTxとデジタルヘルスの今後

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「DTxの保険適用」について、アメリカの健康保険の種類ごとに示したグラフ。赤は「既に適用対象となっている」。黒は「適用を検討」。

Insider Intelligence

「デジタル医薬品」(とも言えるDTx)の台頭は、ヘルスケアのバリューチェーン全体に影響を及ぼす可能性がある。ヘルスケア分野のあらゆるプレイヤーが「医薬品」と関わりを持つ。多岐に渡るプレイヤーがデジタル技術による治療の可能性に注目し、DTxを取り入れている。

アメリカにおけるメンタルヘルスの危機は、コロナ禍でますます悪化している。保険事業者や、(健康保険プランの一部としてDTxを取り入れている)企業のニーズに応えるために、DTxベンダーは、メンタルヘルス分野に注力する必要がある。

DTxの分野では今後活発な動きが予想されるが、成長の妨げとなるハードルがいくつか残されている。

  • 時代遅れの規制のため、メディケアのような政府系保険事業者によるDTxの保険適用はあまり進んでいない。
  • DTxプラットフォームの開発において、医師が使っている電子カルテやソフトウェアとの連携性が徹底される必要がある。

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[原文:Digital Therapeutics Report: Latest DTx market trends and companies in growing digital health sector

(翻訳・野澤朋代)

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