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外食大手を飲み込む“ショック”の正体…マクドナルド絶好調、すかいらーく赤字172億円はなぜ?

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撮影:横山耕太郎

2020年12月期決算の発表が続いている。コロナの影響をもろに受けた業態として、大手外食チェーンの決算動向は、まさに明暗分かれた結果となった。

外食大手のすかいらーくは2月12日、2020年の通期決算を発表。売上高は前年比23%減の2884億円、営業損益ベースで赤字に転落し、本業のもうけにあたる営業損失は230億円、最終損失172億円の赤字で着地した。

これらは通期で246億円におよぶ「キャッシュアウト抑制策」(各種コスト削減)を講じた上での結果であることを思うと、外食産業への影響の大きさが相当なものであることがわかる。

一方、同じ週に決算発表した日本マクドナルドホールディングスの決算は対照的だった。最終利益約20%増、全店売上高が過去最高となるなど「コロナ追い風」とも言える内容だ。

この違いは一体どこからくるのか。

すかいらーくの「今」を伝えるたった1枚のスライド

もちろん、すかいらーくはファミリーレストラン、日本マクドナルドはファストフードと、同じ外食産業でも業態が違う。それでも、ここまでの差は気にかかる。

すかいらーくは決算のなかで、2020年度の売上高増減分析として、1枚のスライドを用意している。これが興味深い。

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すかいらーくの売り上げに2020年、何が起こったのかが分析されている。自粛・時短要因で1000億円以上の売り上げ減。右はオンライン決算説明に登壇した執行役員財務本部マネージングディレクターの相澤拓也氏。

出典:すかいらーく決算会見より

2020年通期で、自粛や時短で客足が遠のいたことによる直接的な売り上げ影響は、2019年比で1000億円以上に及び、デリバリー、テイクアウト、新店舗などを積み上げるも力及ばず、という構図だ。

なぜレストラン業態がここまで厳しいのか。

同じ2月に発表された「すき家」のゼンショーの第3四半期決算と見比べると、その理由が浮かび上がる。

ゼンショーは、傘下の企業の事業として、「すき家」を主力事業とする牛丼業態、「ココス」や「ビッグボーイ」などのレストラン業態、「はま寿司」などのファストフード業態を抱えている。

各セグメントの売上高は次の通りだ。

  • 牛丼業態 前年比3.1%減(売上高 約1627億円)
  • レストラン業態 前年比21.3%減(同 約722億円)
  • ファストフード業態 前年比9.8%減(同 約1030億円)

ゼンショーは第3四半期までの累計で、通期決算ではない。とはいえ傾向として明確に「レストランが厳しい」のだ。一方、売上高ベースでは牛丼、ファストフードは、そこまでの影響はない。ここから類推できるのは、「スグ食べ」「ヒトリ食べ」が難しい業態ほど、大きな影響を受けているということだ。

業態ポートフォリオを分散できていることで、ゼンショーは、2021年3月期の連結業績予想も最終黒字を見込む。通期で売上高前年比0.8%減の6254億円、営業利益88億円(同57.7%減)、最終利益10億円(同91.7%減)の予想としている。

デリバリー・テイクアウト強化。イートインに頼らぬ売上が鍵

すかいらーくは始まったばかりの2021年の業績予想として「黒字」着地の見通しを発表している。その内容は営業利益280億円増の50億円、最終利益4億円、というものだ。

ただし、その内訳はまだ厳しさがにじむもので、下図のとおり、140億円のコスト削減で黒字に転じるというシナリオになっている。

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イートインの大幅減少は2021年も続く。そのほかの売り上げをのばし、コスト削減140億円で営業黒字に転じて営利で50億円、という見通しだ。本業の厳しさは継続している。

出典:すかいらーく決算資料

収益基盤の再構築を問われるすかいらーく。その2021〜2022年を目処とした「高収益体制確立のための戦略」のリストの一番上にあるのが、「デリバリー・テイクアウトの強化」だ。

すかいらーくは従来から独自のデリバリー網の構築をすすめており、2020年度を支える源泉の1つとなった。

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デリバリー売り上げの大半を自社網でつくっているのは特徴の1つ。成長率では、テイクアウトが2倍以上になるなど2020年度は大幅な伸び代があった。

出典:すかいらーく決算資料

2020年のデリバリー・テイクアウト売り上げは約500億円。そのうち、グラフで目視できる300億円強がデリバリーで、その大半は自社網によるものだ。

すかいらーくは決算の質疑のなかで、デリバリー強化に関するBusiness Insider Japanの質問に対して、

「デリバリーの(成長に関する)数値目標は用意できていないが、デリバリー対応店舗数をさらに拡大し、(利用可能地域の)カバレッジを広げる。またデリバリー専用商品の開発も進めている」

と説明している。

また2月末にはデリバリー・テイクアウト専門店を新中野にオープンさせる。「業態転換をしても埋まらないデリバリー空白エリア」の解消をねらうほか、エリア内の複数業態で配達員を共有するシステムの構築も進める。

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客席のない、デリバリー・テイクアウト専門店もオープン。配達員リソースの共有化も進める。

出典:すかいらーく決算資料

いずれも「やらねばならない施策」であるのは間違いない。一方、それでもなお、イートインで失われた営業利益が非常に大きなものであることに変わりはない。

イートインに依存しない売り上げをどう拡大するか?

すかいらーくは決算のなかで、2025年以降までをにらみ「食の総合型企業」への転換を掲げている。

ワクチン接種が国内でも始まろうとしているとはいえ、外食産業の冬の時代を「ただ耐える」という選択肢は、先行きが見通せない以上考えにくいのだから、当然の決定だ。

険しい道だろうとも変わろうとしなければ、縮小均衡に陥る未来しかない。外食大手の次の一手がいま、試されている。

(文・伊藤有

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