”お金がもらえる”お買い物、そんな「ちょっとした魔法」のような体験を目指したい——。
レシート買い取りアプリ「ONE」で知られるWEDは2月17日、連携する買い物サイトで商品を購入すると、最大で15%が現金で還元されるショッピングサイト「C」を開始すると発表した。
ショッピングサイトCは、ファッション/お出かけ/ギフト/グルメ/家具・家電の5つのカテゴリーで31のブランドと提携。 Cを通じて買い物するたびに、ポイントではなく現金で「お金が貯まる」仕組みになっているという。
WEDのCEO、山内奏人さんは、現金が溜まる買い物の発想についてこう話す。
「ユーザーのデータを用いて収益化したのならユーザーに還元しなければ、という動きは世界的に起きている。ポイントサイトやキャッシュバックモールもいろいろあるが、現金にしてできるだけシンプルに使いやすく届けようというのがCです」
「贈り主にもいいこと」体験として美しい
「マーケットプレイス(電子市場)のマーケットプレイス」と山内さんが表現するようにC上には、JEANS MATE(ファッション)、カタール航空(おでかけ)、TANP(ギフト)、cake.jp(グルメ)、FLYMEe(家具・家電)——などの各ジャンルに応じた、マーケットプレイスが乗り入れている。
ユーザーはサイトにアクセスすると、使用にあたって電話番号の入力を求められる。Cを通じて買い物をした場合だけ、購入金額の2〜15%が、C上のウォレットに貯まっていく仕組みだ。キャッシュバックの比率は、提携するマーケットプレイスによって幅がある。
WEDはそれぞれのマーケットプレイスから送客手数料として数%から最大20%程度を受け取るという。そもそもC上のマーケットプレイスで扱う商品は、雑貨やプチプラコスメから、家具や海外への航空チケットまで、商品の価格も多様だ。商材の利益率に応じて幅を持たせたという。
また、サービスはアプリではなく、あえてWebサイトの形をとった。
「検索によるトラフィックを狙いたいのもありますが、そもそも今の時代はアプリをいっぱいスマホに入れて使う感じではない。いちいちアプリを入れるのではない体験にしたかった」(山内さん)。
それゆえドメインもc.appと短くシンプルなものにこだわったという。
「ぜひ、プレゼントを贈ってもらいたい相手に、ドメインを送りつけて欲しいですね(笑)。『これでギフト贈ってください』と。ギフトを贈ったらその人もお金がもらえるというのは、体験として美しい」
ギフトやプレゼントは山内さんが好んでプロダクトに注入する消費の概念だ。そこには、WEDが目指す世界観が象徴されるかもしれない。
「小さな喜びとか、幸せみたいなものを、どれだけ世の中に作れるかみたいなところが、僕らの存在価値かなと思っていて。それこそ(レシート買い取りアプリの)ONEは、そういう思想でできたプロダクトだったりするので。それをいろんなところでやっていければいいなと」
プロダクトは仮説検証そのもの
2021年、山内さんは「できることなら1年に12個ぐらいプロダクトを出していきたい」勢いで開発を進めているという。理由は、プロダクトやサービスは、山内さん率いるWEDにとって、世界の真理や法則に対する仮説の検証そのものだからだ。
「文脈の検証をし続けなければいけないな、と思っています。この文脈でこんなサービス作ったら当たるかな、というのをひたすらテストしていく。仮説検証なんですよ、WED(という企業体の存在)は。それをやり続けることが大事なんじゃないかなと」
山内さんが注目する消費のジャンルは現在、3つに集約されている。
「キャッシュバック、エシカル、積み立て消費です」
今回ローンチするCは、まさにキャッシュバックを体現したサービス。乱立するポイントサービスよりもシンプルさを重視する。
エシカルは昨今、「(WEDの)パートナー企業がより重視しているのを感じる」という。積み立て消費は「古くから使ってくれているユーザーが積み立ててきたものは大事。その分、古くからいるユーザーがいいサービスを受けられてもいい」という考え。
それぞれに紐づくプロダクトが2021年以降、WEDから送り出されていく。その動向と反響が、2021年も注目だ。
(文・滝川麻衣子)