トランスジェンダーのアスリート、テリー・ミラー(左から2番目)とアンドラヤ・ヤーウッド(左端)。
AP Photo/Pat Eaton-Robb
- ミシシッピ州は、トランスジェンダー・アスリートの女子競技への参加を禁止することを決議した。
- 同州の上院は34対9で法案を可決した。事前の議論はほとんどなかった。
- この法案は、アメリカ全土で議員たちがトランスジェンダーの若者に制限を課そうとしているときに提出された。
AP通信によると、ミシシッピ州は、トランスジェンダーのアスリートが、公立学校や大学で女子スポーツをすることを禁止する法案を可決した。
共和党が多数を占める同州上院は、法案を34対9で可決したが、事前の議論はほとんどなかったという。
この法案はこの後、同じく共和党が多数を占める同州下院で採決されることになる。
法案を提出したアンジェラ・ヒル(Angela Hill)同州上院議員は投票前に同僚の議員に対して「州全土の多数の指導者から電話がかかってきた。彼らはミシシッピ州における政策の必要性を感じている。この問題に対処しなければならないという懸念を持ち始めている」と述べたという。
ミシシッピ州はトランスジェンダーの権利に関連した法案を審議した最初の州ではない。LGBTQへの支援を行っている団体、Freedom For All Americansによると、2021年の最初の2週間に、モンタナ州やノースダコタ州など、少なくとも14州の議員が、LGBTQの市民の自由を制限する法案を提出した。これらの法案のほとんどは、トランスジェンダーのスポーツ選手に影響を与えるものだ。
規制に賛成する人たちは、元々の性別が男子の選手が女子選手と競い合うことは、彼らに不当な優位性を与えると主張している。一方、反対する人々は、規制は差別的で、有害で、トランスフォビアだと述べている。
CNNによると、ヒューマン・ライツ・キャンペーンのミシシッピ州責任者、ロブ・ヒル(Rob Hill)は「この法案は、トランスジェンダーの若者をいじめ、排除の危険にさらすだけでなく、トランスジェンダーの人々に対する差別と暴力の水準が過去にはない高さにあることを示している」と述べた。
「議員たちが医療専門家やトランスジェンダーの運動選手の意見に耳を傾ければ、そもそもアスリートが競争優位のためにトランスジェンダーになるのは非現実的だということがわかるだろう。トランスジェンダーのアスリートが優位性を獲得できるという考えもそうだ」
2021年1月、ジョー・バイデン大統領は、学校スポーツ、職場、その他の環境における性同一性や性的指向に基づく差別を禁止する大統領令に署名した。
「すべての人は尊敬と尊厳をもって扱われるべきであり、彼らが誰であるか、誰を愛しているかに関係なく、何も恐れることなく生きることができなければいけない」と大統領令には書かれている。
2020年4月、アイダホ州はトランスジェンダーのアスリートが女性のスポーツに参加することを禁止した最初の州になった。法案は、テストステロンの利点はホルモン治療によって減らすことはできず、元々の性別で区別することは性の平等を促進すると主張していた。
[原文:Mississippi bans young transgender athletes from competing on female sports teams]
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)