ホグワーツ魔法魔術学校の教授たち。
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ホグワーツ魔法魔術学校の教授たちは、かなり変わった人たちだ。
ただ、『ハリー・ポッター』シリーズの読者や視聴者は、彼らの人生について知ることがあまりない。
作者のJ・K・ローリング氏は、ツイッターやインタビュー、公式サイトなどを使って、魔法の世界やその登場人物について、7冊の本を超えた新たな情報をシェアしてきたことで知られる。
ホグワーツの教授たちについて、あまり知られていない事実をいくつか紹介しよう。
アンブリッジとマクゴナガルはどちらも半純血
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変身術を教えていたミネルバ・マクゴナガルと、闇の魔術に対する防衛術を教えていたドローレス・アンブリッジはどちらも半純血だ。
マクゴナガルの父親はマグルの牧師で、娘が魔力を示し始めるまで、妻が魔女であることを全く知らなかった。
アンブリッジも半純血だが、その事実を恥じ、怒りを感じている。
マグルの母親、そしてマグル全てを嫌うようになり、それがアンブリッジの非情な振る舞いにつながっている。
組み分け帽子は、マクゴナガルをどこへ入れるべきか分からなかった
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ホグワーツでは組み分け帽子によって入学時に4つの寮 —— グリフィンドール、レイブンクロー、ハッフルパフ、スリザリン —— のいずれかに組み分けられる。
ただ、何でも知っているこの帽子にも時々、どうすべきか迷う時があるようだ。
マクゴナガルがホグワーツに入学した際、組み分け帽子は彼女をどの寮に入れるか決めるのに5分以上かかった —— これは「ハットストール」として知られている。
最終的にマクゴナガルはグリフィンドールに組み分けられ、そこで彼女はのちに監督生、首席となる。組み分け帽子はもう少しでマクゴナガルをレイブンクローに組み分けるところだった。
ホグワーツの外では、マクゴナガルの人生は辛いことが多かった
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2015年、ローリング氏はマクゴナガルのホグワーツの外での人生について、Pottermore(現在のWizarding World)の特集で詳しく書いている。
マクゴナガルの初恋の相手は、マグルの若者ドゥーガル・マクレガーだった。マクレガーは18歳の時にマクゴナガルにプロポーズしたものの、結婚には至らなかった。
その後、マクゴナガルは魔法省時代の上司エルフィンストーン・アーカートと結婚。
ところが、結婚から3年後にはアーカートが亡くなってしまう。
マクゴナガルは再婚しなかった。
ホグワーツの複数の教授がマーリン勲章を受章している
マーリン勲章は、大きな功績を残した魔法使いや魔女に授与される勲章だ。
ホグワーツでは少なくとも3人の教授 —— マクゴナガル、リーマス・ルーピン、ギルデロイ・ロックハート —— がこの勲章を受章している。
ローリング氏は『Short Stories from Hogwarts of Heroism, Hardship and Dangerous Hobbies』の中で、マクゴナガルが不死鳥の騎士団への忠誠とホグワーツの戦いで示した勇敢さによって、マリーン勲章の最高位である勲一等を受賞したと明かしている。
リーマス・ルーピンはホグワーツの戦いで死亡した後、同じく勲一等を受賞している。マーリン勲章を授与された初めての狼人間だ。
また、ファンなら『ハリー・ポッターと秘密の部屋』で、ギルデロイ・ロックハートが闇の生物との戦いでマーリン勲章勲三等を受賞していることを知っているだろう。
ただ、その功績はのちに嘘だったことが分かる。
フリットウィック教授は若い頃、決闘チャンピオンだった
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ファンは、フィリウス・フリットウィックがホグワーツで呪文学を教えるかわいらしい先生であることを知っているだろう。だが、『ハリー・ポッターと秘密の部屋』でハーマイオニーが指摘しているように、フリットウィックは若い頃、決闘チャンピオンだった。
シリーズの中でそのスキルが初めて試されたのは、ホグワーツの戦いだった。そして、フリットウィックはヤックスリーやドロホフを含む複数の死喰い人(デス・イーター)を打ち負かした。
フリットウィックはゴブリンの遠い子孫でもある
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7冊の本を通じて、フリットウィック先生の背の低さには何度か言及があるものの、その理由は明かされていない。
自身の公式サイトでローリング氏は、フリットウィックには「ゴブリンの先祖、ひいひいひいおじいちゃんくらい」がいると書いている。
映画では、俳優のワーウィック・デイヴィスがフリットウィックを演じた。デイヴィスはゴブリンのグリップフックも演じている。
ハグリッドはねこが苦手
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巨大クモから火を吐くドラゴンまで、ハグリッドには苦手な生き物などいないように見える。だが、実はものすごく一般的なある動物が苦手だという。ねこだ。
『ハリー・ポッターと賢者の石』の中でハグリッドは、自分がハリーのペットにフクロウを選んだのは、ねこだと「クシャミが出る」からだとダイアゴン横丁で説明している。
Wizarding Worldは2018年、ハグリッドが猫アレルギーであることをツイッターで認めた。アーガス・フィルチの猫ミセス・ノリスを拒絶していたのもそのせいかもしれない。
ハグリッドは守護霊(パトローナス)を呼び出せない
ハグリッドはさまざまな魔法のスキルを持っているが、ローリング氏は2015年、ハグリッドには守護霊を呼び出すことはできないとツイッターで明かした。
これはハグリッドが3年生の時に、マートル・ワレン殺しの濡れ衣を着せられ、ホグワーツを退学させられたせいかもしれない。
トレローニーとマクゴナガルは意図的に正反対に描かれた
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Wizarding Worldによると、占い学を教えるシビル・トレローニーが「人を操ろうとする、大げさな」人物である一方、マクゴナガルは「ものすごく知的で、厳しく、公正な」人物だという。
ローリング氏はこの2人の登場人物を正反対の人物とし、それは本では映画よりも詳しく描かれている。
2人を唯一結びつけたのは、ドローレス・アンブリッジとの戦いだった。アンブリッジは2人が大切にしているホグワーツを破壊しようとした。
トレローニーの名前は、古い歌から来ている
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ローリング氏によると、トレローニーの名前は古いコーンウォールの歌『The Song of the Western Men』から来ている。
ちなみに、ファーストネームのシビルは古代の巫女「シビル」から来ているという。
ビンズ先生はホグワーツで死んだ
映画には登場しないが、カスバート・ビンズはホグワーツの魔法史の教授だった。
学校の職員室で死んだ後は、ビンズのゴーストが生徒への授業を続けていた。
ホグワーツの人々にはチャリティ・バーベッジを悼む機会がなかった
チャリティ・バーベッジはマグル学の教授で、ヴォルデモート卿に殺された。
『ハリー・ポッターと死の秘宝』で、バーベッジは誘拐され、マルフォイの館に連れて来られていた。そこでヴォルデモート卿に拷問、殺害された。
しかし、当時はホグワーツも魔法省も死喰い人が支配していたため、人々はバーベッジが突然ホグワーツを辞め、隠れていると聞かされていた。
ホグワーツの戦いを前に命を落とした教授を悼む機会が、人々には全くなかった。
スプラウトとマクゴナガルは学生時代、親友だった
ホグワーツの教授たちの若い頃をイメージするのは難しいかもしれないが、ローリング氏がPottermoreに追加で書いてくれた情報のおかげで、わたしたちはマクゴナガルとスプラウトがホグワーツに同時期にいたことを知っている。
2人はホグワーツで2年被っていて、素晴らしい友情を築いた。それは2人がホグワーツに教師として戻った時も続いていた。
スプラウト先生は植物を世話するために、工夫を凝らしていた
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ポモーナ・スプラウトがネビル・ロングボトムのような苦労しながらも頑張っている生徒を忍耐強く励ましていたことをファンは知っているだろう。だが、スプラウトはホグワーツの温室で育てているたくさんの植物に対しても思いやりにあふれていた。
薬草学の教授だったスプラウトは、マンドレイクが長い冬の間に凍ってしまわないよう小さなマフラーや靴下まで用意していた。
闇の魔術に対する防衛術を教える前、クィリナス・クィレルはマグル学の教授だった
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『ハリー・ポッターと賢者の石』では、クィリナス・クィレルはハリーの闇の魔術に対する防衛術の先生として登場した。だが、前年までクィレルはマグル学を教えていた。
以前から闇の魔術に魅了されていたクィレルは、ヴォルデモート卿を探すために、長期休暇を取ってアルバニアに行っていた。
クィレルがヴォルデモート卿を見つけると、ヴォルデモート卿はホグワーツに入り、闇の魔術に対する防衛術の教授の座を手に入れるために、クィレルのからだを乗っ取った。
ダンブルドアがロックハートを雇ったのは、彼がペテン師だと暴きたかったから
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闇の魔術に対する防衛術の先生の中でも最悪の1人であることに間違いはないが、ギルデロイ・ロックハートは少なくとも、数えきれないほどの英雄的な経験(盗んだもの)を持つ楽しい人物だった。
ダンブルドアはそもそもなぜ彼を雇ったのか、疑問に思うファンもいるかもしれない。だが、2015年のPottermoreの特集によると、ダンブルドアはロックハートがペテン師であることを暴きたかったようだ。
リーマス・ルーピンを狼人間に変えた襲撃は"復讐"だった
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ホグワーツで最も有能かつ人気のあった闇の魔術に対する防衛術の先生の1人であるリーマス・ルーピンは、『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』の終盤で狼人間であることが明かされる。
2015年のPottermoreの特集でローリング氏は、リーマスを狼人間に変えた襲撃は父ライアルへの復讐の一環だったと書いている。
リーマスが子どもの頃、ライアルは魔法省に対し、フェンリール・グレイバックが狼人間だと証明しようとした。
ライアルは魔法省を説得できなかったが、グレイバックは復讐を誓い、ルーピン家に押し入り、ライアルの5歳の息子リーマスを襲った。
ルーピンは自身の守護霊の形を明かすことに慎重だった
狼人間をめぐる悪いイメージのせいで、ルーピンは自身の「体調」を隠し続けた。
狼である自身の守護霊の形もできる限り隠していた。
『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』でルーピンが守護霊を呼び出した時のことをファンは覚えているかもしれないが、その時も無形の一筋の光だった。
アラスター・ムーディは目と足を呪いで失った
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本物のアラスター・ムーディが教授だったことは一度もないが —— ハリーが4年生の時、バーティ・クラウチ・ジュニアがなりすましていた —— ムーディの外見は多くのホグワーツ生を怖がらせた。
第一次魔法戦争で不死鳥の騎士団のメンバー、魔法省の闇祓いとして活躍したムーディは、片目と片足を失った。
ハリーと出会った時には、魔法の義眼と木製の義足を使うようになっていた。
吸魂鬼(ディメンター)によるハリーとダドリーの襲撃は、アンブリッジが仕組んだ
『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』は、ダーズリー家の近くでハリーとダドリーが吸魂鬼に襲われ、ハリーがホグワーツの外で守護霊を呼び出さざるを得なくなるところから始まる。
ホグワーツの外で未成年が魔法を使うことは禁じられているため、ハリーは魔法省で裁判にかけられた。
裁判後まもなくホグワーツの闇の魔術に対する防衛術の先生に任命されるアンブリッジは、ハリーがこの件について嘘をついていると糾弾する。ところが、ハリーを吸魂鬼に襲わせたのはアンブリッジ本人だったことがのちに分かる。
本では、マダム・フーチとクィレル教授にはファーストネームがなかった
シリーズ前半を中心に、闇の魔術に対する防衛術の先生だったクィレル教授と飛行訓練の教師でクィディッチの審判も務めていたマダム・フーチは何度も物語に登場する。
だが、2人のファーストネームを本の中から見つけることはできない。
それぞれのファーストネーム「クィリナス」「ロランダ」は、2001年の「ハリーポッター・トレーディングカードゲーム」の中で初めて判明した。
ローリング氏はのちに、クィレルのファーストネームをPottermoreで認めたが、マダム・フーチのファーストネームは認めていない。
アンブリッジ、ハグリッド、ロックハートは実在の人物をモデルとしている
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ローリング氏は『ハリー・ポッター』の登場人物の名前やキャラクターを決める際、自身の人生を含め、さまざまな情報から着想を得てきた。
2015年には、ドローレス・アンブリッジは自身が出会った「一目でものすごく嫌い」だった教師からヒントを得たとPottermoreに書いている。少女っぽいピンクのアクセサリー好きなアンブリッジを書いている時は、特にこの教師を思い浮かべたという。
2004年のエディンバラ国際ブックフェスティバルのインタビューでは、ギルデロイ・ロックハートが実在の人物をモデルにしていると明かした。ただ、その人物について、詳細は明かさなかった。
『ハリー・ポッター映画大全』によると、ハグリッドもローリング氏が知っている「ヘルズ・エンジェルス」のあるバイカーからアイデアを得たものだという。
[原文:22 little-known facts about the Hogwarts professors even diehard 'Harry Potter' fans may not know]
(翻訳、編集:山口佳美)