東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗・前会長の女性蔑視に反対する署名が約15万人に達したことを受け2月16日、共同立ち上げ人のNO YOUTH NO JAPAN代表理事・能條桃子さん(22)らが同委員会と対面し、同署名を提出した。
森氏は2月3日、日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会で「女性がたくさんいる会議は時間がかかる」などと発言し、国内外で批判が殺到。12日に発言の責任を取り、会長職を辞任した。署名は辞任前となる4日に始まり、同氏の処遇を検討することや具体的な再発防止策などを求め、1週間で約15万7400筆の賛同を集めた。
「組織委員会として、あの発言を差別だと認識してもらえていたことが、まずは良かった」(能條さん)
森氏は辞任を表明した際、「(メディアの切り取りによる)意図的な報道があった」と釈明していた。能條さんがこのことについて委員会に質問すると「発言は女性蔑視であり不適切だった」と明確な回答を得られたという。
能條さんらは署名とともに、公開質問状を提出。2021年6月の理事改選に際し、女性理事の割合4割をどのように達成するのかなど、8つの質問を投げかけており、回答の期日は2月23日としている。
「 森氏個人の問題に矮小化するのではなく、あの発言を許してきてしまった日本社会をこそ変えるべき。 だからこそ、拘束力を持つ具体的なルールを早急に策定してほしい、と伝えました」(能條さん)
一方で、JOCが目標としている女性理事の割合4割は次の理事改選までに達成されるのか、との質問に対しては、具体的な回答は得られなかったという。
「私は今22歳ですが、同年代にもジェンダー・ギャップは存在しており、あのような発言は若者への影響も大きい。だからこそ(女性差別は)許されないという前例を作りたかった」(能條さん)
組織委員会への回答を求めている質問は以下だ。
- 組織委員会として、森氏の2月3日の評議委員会での発言は、女性蔑視的な差別発言だと認識していますか?それともメディアの切り取り方の問題と認識していますか?
- 森氏から「うちの恥を言いますが、ラグビー協会は今までの倍時間がかる。女性がなんと10人くらいいるのか今、5人か、10人に見えた」との発言が出た際、評議員の方々から笑い声が上がったのはなぜですか?組織として問題があったとの認識はありますか。ある場合、どういった点が問題でしたか。
- 森氏の発言があった背景を含む事実関係把握のため、森氏の発言だけでなく、2月3日の評議委員会における会議の議事録を公開してください。
- あらゆる差別的言動に対処するためのゼロトレランスポリシーの策定予定はありますか?
- 今年6月の理事改選の際、女性理事の割合を最低4割を達成は目標設定されていますか?また、目標設定がされている場合、女性理事の割合を向上するための具体的な施策はありますか。施策の 内容についても教えてください。
- 新たな会長を選出する際、その選考過程や選考基準、選考委員、議事録を公開し、組織運営の透明化を図りますか?
- 日本のジェンダー不平等の改善に対し、本東京オリンピック・パラリンピックが果たす役割はあると思いますか?あると思う場合、組織委員会として考えている自分たちの役割を教えてください。
- ジェンダー平等プロジェクトチームの設置を始め、今回の組織委員会におけるジェンダー平等実現、差別を許さないための取り組みは、今後東京オリンピックのレガシーとしてJOCや各スポーツ協会に引き継ぐための働きかけをするつもりはありますか。
(文・西山里緒)