LIXILが狙う「DIY以上リノベ未満の市場」……ベンチャー協業で折り畳み宅配ボックス販売へ

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玄関ドアにマグネットや両面テープで取り付けるボックスと、置き配収納袋がセットになっている。

出典:LIXIL

LIXILは2月16日、置き配バッグ「OKIPPA」を展開するYperと協業し、ドアに取り付けてOKIPPAを収納できるコンパクトな宅配ボックス「ATMO(アトモ)」を発表。同日から応援購入サイト「Makuake」での販売を開始した。

企画、開発を手がけたのはLIXIL Housing Technology Japan ビジネスインキュベーションセンター。同センターでは2020年、玄関ドアの開閉をリモコン操作で可能にする「DOAC(ドアック)」、猫用のキャットウォークを壁面に自由にレイアウトできる「猫壁(にゃんぺき)」を発表している。

「猫壁」は、DIYからリノベーションまでの間の領域を埋める「House Re-touch」というコンセプトに基づく製品の第一弾として、現在「Makuake」にてテストマーケティングを実施中。今回の「ATMO」は「House Re-touch」製品の第二弾と位置づけられる。

なぜLIXILは「House Re-touch」製品といった新規領域に手を広げるのか?

住宅設備大手LIXIL×スタートアップ協業の狙い

「House Re-touch」製品を手がける理由を、LIXIL Housing Technology Japan ビジネスインキュベーションセンター長の羽賀豊氏は、

「LIXILは新築市場を中心に事業を展開しているが、さらにリフォーム、リノベーション市場へと事業を拡大していくにあたり、同時にそのひとつ手前のDIY以上リフォーム未満の新領域にも取り組むことにした」

からだと説明する。

「ATMO」の開発にあたり、Yperとの協業を選択したのは「高い認知度と、16万セットの販売実績を評価した」と同センターの伊東純平氏。

「OKIPPAはコンパクトに折りたためる置き配専用バッグとして、宅配便の配達員の方にも認知が広がっている。また配送状況の確認から再配達依頼までできる独自開発のアプリや、盗難補償サービスも提供されている。EC市場の急拡大や、コロナ禍での置き配需要増など、ニーズの高まりにスピーディーに対応するためにもコラボレーションを決めた」(伊東氏)

プロジェクトは2020年4月、LIXILがYperにアプローチする形で企画がスタート。それから約10カ月で、企画から発売までを実現した。

Yper代表取締役の内山智晴氏によると、「OKKIPA」はこれまで宅配事業者、EC事業者、自治体等と実証実験を重ねており、再配達の削減効果は6割に達しているという。荷物を収納するポリエステル製の袋は、収納時は13cmに折りたため、玄関に簡単に吊り下げられるのがメリット。一方で「日焼けによる褪色や、汚れて見た目が悪くなるといったことを懸念される声もあった」という。「ATMO」に「OKKIPA」を収納することで、「そうした声に応えられるのではと期待している」と語る。

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ATMOのデモの様子。玄関ドアに設置したケースから「OKKIPA」を取り出して、ファスナーを開け、荷物を収納して南京錠をかける。配達状況は専用アプリで確認できる。

出典:LIXIL

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玄関ドアに簡単に取り付けられる宅配ボックス「ATMO」。中には「OKKIPA」ともに印鑑なども収納できるようになっている。ボックス部分のサイズ感は両手で抱えるようなサイズだ。

出典:LIXIL

「ATMO」は工事不要で、マグネットや両面テープにより、ドアに簡単に後付けすることが可能。従来の宅配ボックスに比べて省スペースに設置できるため、戸建てだけでなくマンションなどでも導入しやすい。「玄関ドアの市場シェアナンバーワンの知見を生かした、玄関に溶け込むデザイン」(伊東氏)が特徴だ。

配達員に詳しい使い方を示せるシールも同梱するなど配達員への使いやすさへの配慮もある。

Makuakeでの価格は収納ボックス部分「ATMO」と、置き杯バッグ「OKIPPA」のセットが1万3800円、すでに「OKIPPA」を利用しているユーザーなどに向けた「ATMO」単体が8900円。目標額は100万円に設定されているが、すでに目標金額は達成している。

「売り切りではなく、エンドユーザーとつながり続ける中で認知を広げ、リフォームやリノベーションにつながるような相乗効果もあると考えている。

(House Re-touchは)新しい事業でありこの先どうなるかはわからないが、手応えを感じれば大きく張り出す可能性もある」(羽賀氏)と、新規市場開拓への自信も覗かせた。

なお「ATMO」はMakuakeでのテストマーケティング後、特設サイトやECサイトでのエンドユーザーへの直販や、マンション管理会社、オーナーへの販売も検討されている。まもなくテストマーケティングを終了する「猫壁」とあわせて、次なる販売展開にも注目が集まる。

(文・太田百合子

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