テスラは2月に15億ドルのビットコインを購入したと発表した。
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- ある調査によると、主要企業の財務責任者の84%がビットコインを保有することはないと答えた。
- 2月17日、ビットコインの価格は史上最高値を記録した。
- 多くのCFOは、暗号通貨のボラティリティを懸念している。
多くの企業の財務担当幹部は、テスラを真似てビットコインに投資しようとは思っていないようだ。
ガートナー(Gartner)が50人の最高財務責任者(CFO)を含む77人の財務幹部に行った調査によると、84%がビットコインを保有するつもりはないと答えた。2021年に購入する予定だと答えたのは、わずか5%だった。
ビットコインは2月17日に過去最高の5万1700ドル(約546万円)まで急騰した。
調査対象となった大多数の経営幹部が、ビットコインに対する3つの懸念事項のうちの1つとしてあげたのは、ボラティリティ(価格変動性)の高さだった。その他、会社の取締役会がリスクを避けようとすることや、ビットコインが決済手段として普及しないことも、CFOの懸念事項だった。
しかしながら、いずれはビットコインを採用するとした回答が16%、2024年以降には採用するとした回答が10%近くあった。
「会社の資産としてビットコインを利用するとなると、まだ未解決の問題が山積している」とガートナー・ファイナンス・プラクティスのリサーチチーフ、アレクサンダー・バント(Alexander Bant)は述べた。
「問題の解決策がより明確になるまで、利用が急激に増えることはないだろう」
テスラが2021年1月に15億ドル(約1600億円)相当のビットコインを購入したことが2月になって明らかとなり、ビットコイン価格の急騰を引き起こした。
ビットコインへの投資で大きな成功を収めたビジネスインテリジェンス企業のマイクロストラテジー(MicroStrategy)は2月16日、6億ドル(約635億円)相当の転換社債を発行し、その資金でビットコインを買い増す予定だと発表した。
しかし、ガートナーの調査によると、ビットコインに関する規制やサイバーリスクなど、CFOらはさまざまな懸念を抱いていることが明らかになった。企業の財務担当役員は、通常、MMF(マネー・マーケット・ファンド)や銀行預金などのより安全と見られている資産を選択する。
しかし「これは会社資産の長い時間軸の中での初期の現象であることを覚えておくことが重要だ」とバントは言う。
「財務の安定性の確保を任務とする財務リーダーは、未知の領域に飛び込むようなことはしないものだ」
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)