気象衛星「GOES-East」が2021年2月16日に捉えた画像。紫色は通常、画像の左側にあるような雲を示すが、テキサス州の地面も異常に冷えているために紫色になっている。
- アメリカ・テキサス州を襲った寒波は、気象衛星に誤認させるほどの厳しいものだった。
- 気象衛星「GOES-East」は、厳しい寒さのためテキサス州の地面を雲と誤認した。
- この誤認は、少なくとも20人が死亡したアメリカ南部の異常気象を過酷さを示している。
アメリカ南部を襲った厳しい冬の嵐は、気象衛星を混乱させるほどの低温をもたらした。
2021年2月16日、北極から南に流れ込んだ冷たい空気が陸地を冷やし、気象衛星が地面を雲と間違えた。雲は通常、地表よりもはるかに低い温度だ。
この出来事は、ワシントン・ポストの気象予報士、マシュー・カプッチ(Matthew Cappucci)が最初に報告した。
同様の現象が2月10日にカナダでも見られ、ニューヨーク州ロチェスターのニュースチャンネル、WROC TVが取り上げている。
気象衛星「GOES-East」は赤外線センサーで雲の上部の温度を測定し、マッピングする。通常、雲は陸地より冷たいので、気象衛星のアルゴリズムは、そのことを前提に、夜間でも宇宙から雲に覆われた地域を特定できる。
気象予報士のカプッチは、それを説明する動画をツイッターに投稿した。
信じられない。
南部を覆った紫色の出血のようなものは、雲ではない。夜になって極端な寒さが拡大し、テキサスとオクラホマに雲があると衛星に思い込ませている。
ヒューストンの北にあるリビングストンとコンロー湖にも湖水効果雪が降っている。
「テキサス州からグレートプレーンズ(中西部に広がる平原)にかけての地域で極端な寒さが続いていて、地表は摂氏0度からマイナス10度になった」と彼は投稿した。華氏でいうと14度から32度だ。Soil Temperature Mapによると、テキサス州の過去5年間の平均気温は華氏48度(摂氏9度)だ。
そのため、気象衛星のアルゴリズムが混乱し、陸地を雲と誤認し、通常は雲を示す青と紫でマッピングしたのだ。
2月16日、カナダから寒波がやってくる様子を見てみよう。
北米の寒さが気象衛星GOES-Eastを混乱させた! 2月16日に北からやってきた寒気による冷たい地面を雲として描写したのを見てほしい。
画像:カレッジ・オブ・デュペイジ
異常気象がアメリカ中を混乱に陥れている。
この寒さは30の州に影響を及ぼしており、一部の地域では気温が平年より華氏で50度(摂氏で30度)も低い、とワシントン・ポストは報じた。
また、スカイニュースも、サウスダコタ州スーフォールズなど、いくつかの都市でで記録的な低温が観測されたと報じた。
スーフォールズの住民は、熱い液体を空中に投げてすぐに凍ることを示して、この寒さを伝えた。
とても寒い! 実際、今日のスーフォールズは、過去最低の華氏マイナス26度(摂氏マイナス32度)を記録した。
暖かくしてお大事に!
Insiderは、テキサス州の電力需要の急増で停電が発生し、280万人以上が影響を受けたと報じた。
ジョー・バイデン(Joe Biden)大統領は14日、テキサス州に非常事態を宣言した。また、エネルギー緊急事態が宣言され、アメリカの14の州が計画停電を行っている。
この寒波で、これまでに少なくとも20人の死者が出ている。
現在のテキサス州の状況は、気候変動による北極の温暖化が一因となっている可能性があると、大気環境研究所(Atmospheric and Environmental Research)の予報ディレクター、ユダ・コーエン(Judah Cohen)はガーディアンに述べた。
[原文:Texas winter storms brought such unusual cold that it confused the weather satellites]
(翻訳:Makiko Sato)