アメリカのモバイルバンキング競争力比較。2020年、顧客から支持された企業は?:eMarketerレポート

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  • この記事はインサイダー・インテリジェンスによる調査レポート「アメリカのモバイルバンキング競争力比較2020(US Mobile Banking Competitive Edge Report 2020)」のプレビュー版。レポート完全版(有料)はこちらから

インサイダー・インテリジェンスが毎年実施している「アメリカのモバイルバンキング競争力比較調査」。4回目となる2020年、アメリカの大手金融機関が提供するモバイルバンキングで「最も機能が充実している」と評価されたのはUSAAだ。

アメリカ人口の半数以上がモバイルバンキングを利用

グラフ

2020年に「最も機能が充実している」と顧客が評価するモバイルバンキング。総合評価ではUSAAが首位。

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新型コロナウイルスのパンデミックの影響で、アメリカではモバイルバンキングの普及が拡大し、利用者にとってますます頼りにされるバンキング・チャンネルとなっている。インサイダー・インテリジェンスの予想では、2020年にモバイルバンキングの利用者数が初めてアメリカの人口の半分を超える(55.1%)。多くの人にとって、モバイルバンキングは「支店」や「コールセンター」の代わりとして応急的に利用するものではなくなっている。インサイダー・インテリジェンスによる「2020年アメリカのモバイルバンキング競争力比較調査」の対象者の79.5%が「メインで使っている銀行サービス」としてモバイルバンキングを挙げている。

本レポートでインサイダー・インテリジェンスは、ユーザーを引きつける革新的なモバイルバンキングの機能やサービスに光を当て、大手金融機関が現在どのようなサービスを提供しているのかを解説する。アメリカの成人2324人を対象にした調査の結果をまとめた本レポートでは、各金融機関のサービスを比較したランキングを提示。42種類のモバイルバンキング機能を「セキュリティとコントロール」「アラート・通知」「口座管理」「送金」「デジタル資金管理」「カスタマーサービス」の6つのカテゴリーに分け、回答者に評価してもらった。

総合1位:USAA(United Services Automobile Association)

USAAロゴ

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USAAは個別カテゴリーでは1位を逃したものの、複数のカテゴリーで高評価を得て、昨年の総合2位からトップの座についた。USAAのモバイルバンキングは次のような機能を取り揃えている:「デビットカードやクレジットカードの利用限度額が設定可能」「カードの支払いキャンセルの処理状況を確認できる」「店舗からの返金完了時に通知を受け取れる」。

2位以下は、USバンク(U.S.Bank)、シティ(Citi)、バンク・オブ・アメリカ(BofA)、ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行(BBVA USA)と続いている。USバンク以外の4行は2019年もトップ5にランクインしていた。ここ数年、アプリに多くの投資をしていたUSバンクは、2019年の11位から2位へと、大きくランキングを上げた。

カテゴリー別の1位は以下の通りとなっている。

「セキュリティとコントロール」:バンク・オブ・アメリカ(Bank of America)

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バンク・オブ・アメリカがパーフェクトなスコアでこのカテゴリーのトップとなった。2019年の10位から首位を獲得するまで、いくつかの改良を経ている。ひとつが「2要素認証」(今年度の調査から評価対象となる機能として加わった)を取り入れたこと。そのほか、これまで欠いていた2つの機能「アプリ内で支払いキャンセルを申請できる」「キャンセル後、返金処理状況を確認できる」を追加したことも貢献した。

「アラート・通知」:バンク・オブ・アメリカ

「アラート・通知」カテゴリーではバンク・オブ・アメリカが僅差で首位。同行は評価対象となっている機能を1つを除きすべて提供している。2019年にカテゴリー8位だった同行が他をリードできた理由のひとつが「顧客が応答できるプッシュ通知」という、他行があまり提供していない機能を追加したことだ。カテゴリー2位の「ウェルズ・ファーゴ」「NFCU」「フィフス・サード」も、それぞれ機能を1つ欠いている。ただ、それらの機能(例えば、店舗からの返金完了時に通知を受け取れるなど)は、バンク・オブ・アメリカが欠いている機能よりも需要が高いものだ。

「口座管理」:NFCU(Navy Federal Credit Union)

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NFCUは「口座管理」カテゴリーで単独の1位。需要が高いが提供する銀行が少ない「一時利用デジタルカード」を含む、7つの機能をすべて提供している。NFCU は2019年も、他の3行とともにこのカテゴリーでトップだった。

「送金」:チェース(Chase)

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7つの機能すべてを網羅する唯一の銀行であるチェースが「送金」カテゴリーで2年連続のトップとなった。これらには、今年になって登場した「P2P送金の予約」「自動送金の一時停止」「支払い停止の依頼」「電信送金」などの新機能が含まれている。

「デジタル資金管理」:シティ(Citi)

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シティはデジタル資金管理カテゴリーで競合他社を凌駕。評価対象となっている7 つの機能のうち 5 つを提供していることが首位獲得につながった。これには「定期的な支払いの可視化」や「ファイナンシャル・ウェルネス・スコア」などの機能が含まれている。

「カスタマーサービス」:USバンク(U.S.Bank)

USバンク

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USバンクは今年、カスタマーサービス機能を一新したことで、4位から1位に躍り出た。また、同行は評価対象となっている7つの機能のすべてを提供している。これには、需要のわりに提供する銀行が少ない以下の2つの機能が含まれている:「アプリ内で人間の担当者と会話ができる」「アプリ経由で認証を得てカスタマーサービスに電話が繋がる」。USバンクの下にUSAAとウェルズ・ファーゴが僅差で続いている。この2行は、「カスタマーサービス」カテゴリーで最も需要の少ない機能(会話型SMSアシスタント)を除く、すべての機能を提供している。

本レポートで評価対象となった金融機関25社:

Ally, Bank of the West, BB&T (now Truist), BBVA USA, BMO Harris, Bank of America (BofA), Capital One, Chase, Citi, Citizens, Fifth Third, HSBC, Huntington, KeyBank, M&T, Navy Federal Credit Union (NFCU), PNC, Regions, Santander, SunTrust (now Truist), TD Bank, Union Bank, U.S. Bank, USAA, Wells Fargo

本レポートで示されているデータは、2020年の8〜9月に、2324人の成人を対象に実施された「アメリカのモバイルバンキング競争力比較調査2020」に基づいている。性別、年齢、収入を基準に米国の人口構成比に合わせ選出されたモバイルバンキング・ユーザーを調査対象者とした。

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[原文:USAA offers the most sought-after mobile banking tools among the largest US financial institutions in 2020

(翻訳・野澤朋代)

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