橋本聖子氏が東京オリンピック組織委の新会長に。「男女平等」の組織目指すと抱負(全文)

東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の新会長に選出され、抱負を述べる橋本聖子氏。

東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の新会長に選出され、抱負を述べる橋本聖子氏。

出所:Tokyo 2020公式ライブ配信

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の理事会は2月18日午後4時過ぎ、橋本聖子氏(56)を新会長に選出した。女性差別発言の責任を問われ、辞任した森喜朗前会長の後任となる。

橋本氏は第二次安倍内閣、菅内閣で五輪相を務めていたが、新会長に就任することを受けて同日午後に辞表を提出した。後任の五輪相には自民党の丸川珠代参院議員が再登板する見通しだ。

橋本氏は新会長に選出されたことを受け、理事会で発言。「身の引き締まる思い」と述べた一方、「会長を引き受けた背景には、男女平等の問題があったと思っている」と強調した。発言全文は以下の通り(※読みやすさを考慮し一部整文しています)。


こんにちは。このたび、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長に選任されました橋本聖子でございます。

組織委員会の会長という大変大きな重責を担わせていただくことになりました。身の引き締まる思いでいます。

先ほど、菅総理に対しまして、官邸に行き国務大臣の離職願を出させていただきました。今まで国務大臣の立場で皆さまに支えていただきましたことを、あらためて感謝申し上げます。

このたびは、大臣を離職するというのは、私とりましても、大変大きな決意でありましたけれども、その思いをしっかりと胸に抱きながら、この東京大会の成功に向けて、尽力したいという思い一心で、今日はこの場に立たせていただいております。

5カ月後に迫りましたこの東京大会は、安心安全に開催しないといけないと思っておりますし、何よりもコロナ対策が最重要課題であります。

これまでオリンピック・パラリンピック担当大臣という立場で東京都、組織委員会、IOCなど、さまざまな団体の皆様をサポートをする立場で、私自身、力を尽くさせていただいておりました。

その立場から、今度はいままで育てていただいたスポーツ界、そして組織委員会の皆さま方のもとに戻ってきた私といたしましては、国そして東京都とともに、さらに連携を加速して、国民の皆さん、そして海外の皆さま方にも、これであれば安心と安全の東京大会だというふうに思ってもらえる体制を、しっかり整えていきたいと思っております。 

また、このたび私自身が会長をお引き受けさせたいただいた背景には、男女平等という問題があったと思っております。

そのことにつきましては、先般行われた組織委員会の評議委員会理事会合同懇談会で、理事会で女性比率の向上に取り組むこと。そして、男女平等を推進するチームを立ち上げることが決定したと承知しておりますが、まずスピード感を持ってやらなくてはいけないと思っております。

私としては、今月内にしっかりとその体制を打ち出していく。そしてその結果を出していくことが重要だと思っておりますので、ご理解いただきたいと思います。

私の後任になられる大臣は、丸川(珠代)大臣の名前が、先ほど、まだですけど内定ということになっていました。まだ決まったわけではありませんが、これからしっかり、連携を密にしながら、国内外の皆さまに信頼される組織委員会にしていかなければいけないと思っております。

また、東京大会の大きなビジョンであります、多様性と調和ですが、組織委員会全員でまずはしっかりと確認させていただきたいと思います。

性別、障害の有無、人種、性的指向などに関わらず、あらゆる人を認め合い、共生できる社会を築いていくきっかけとする、そのレガシーを作り上げていきたいと思っております。

もう一つは、この東京大会は史上初めて経験する延期ということです。

いままで誰もが、歴史的な、東京オリンピックパラリンピックにおいて、一度も延期ということだけは経験したことのないことであります。

その経験をこれからどのように生かしていくのか、多様性ということも含めながら、新たなオリンピック・パラリンピックの改革案というのも、引き続きこの組織委員会の中で、ワーキングチーム等を作って、IOCやIPCに対して、そして政府に対しても、組織委員会としての新たな大会に向けてのビジョンを提案する力をつけていかなければ、東京大会の持つ意味、そして使命がないのではないかと思っております。

そのためにも、いままでの経験を活かしながら、組織委員会の会長という立場で、全力で東京大会の成功に向けて、まい進していきます。そのことをお誓い申し上げ、就任のご挨拶に代えさせていただきます。


橋本聖子氏の経歴は、2014年に「セクハラ疑惑」報道も

橋本氏は1964年生まれの56歳。前回の東京五輪開会式の5日前に誕生。聖火の姿に感動した父によって「聖子」と名付けられたという。

元オリンピック選手でスピードスケートと自転車で7大会に出場。アルベールビル冬季五輪のスピードスケートで銅メダルを獲得している。政治家としては現職の参議院議員で、自由民主党副幹事長、外務副大臣などを歴任。自民党では森氏の出身派閥の細田派(清和会)に所属し、森氏とも近い。

1995年に政界入りした後、2000年8月に出産し、国会議員の「産休制度」がつくられるきっかけに。現職の国会議員の出産は、園田天光光氏以来51年ぶり2人目だった。

2014年には打ち上げパーティーの席上でフィギュアスケートの男性選手に対してキスを迫った「セクハラ疑惑」を『週刊文春』が報道。女性差別発言で辞任した森氏の後任として適任なのか、懸念する声もある。

(文・吉川慧横山耕太郎

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