Shopify、2020年売上高は驚異の「86%増」。ECシェアは米国2位“巨人”アマゾンの4分の1規模に

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ECプラットフォーム大手Shopify(ショッピファイ)は2020年第4四半期(10〜12月)および通期の決算を発表した。

Shopify/Business Insider Japan

カナダの電子商取引(EC)プラットフォーム大手Shopify(ショッピファイ)が2020年第4四半期(10〜12月)の決算を発表した。

投資家向けのカンファレンスコール資料がとても分かりやすいので、核心部分をかいつまんで見ておきたい。

EC市場でのシェアはアマゾンに次ぐ2位

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ShopyfyのEC市場におけるシェア。アマゾンとウォルマートに挟まれる激戦区で奮闘中。

出所:Shopify Investor Deck Q4-2020

2020年のEC(小売り)売上高シェアは、アマゾン(39.0%)に続く2位で「8.6%」。3位のウォルマートは「5.8%」。2019年は5.9%なので、1年でシェアを3%近く広げた計算。2019年の3位はイーベイ(eBay)だった。

2020年通期の売上高は驚異の「86%増」

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Shopifyの売上高。左が通期の推移(2016〜20年)、右が2020年10〜12月期。

出所:Shopify Investor Deck Q4-2020

2020年通期の売上高は29億2950万ドル(約3080億円)、前年比「86%増」だった。10〜12月だけで見ても、売上高は前年同期比「94%増」の9億7770万ドル(約1030億円)と躍進した。2019年の47%という成長率で十分驚異的だが……。

取扱高も応分の「99%増」

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Shopifyの流通取引総額(GMV)。左が通期の推移(2016〜20年)、右が2020年10〜12月期。

出所:Shopify Investor Deck Q4-2020

ECの取扱高も当然大きく伸びた。流通取引総額(GMV)は、2020年通期が前年比「96%増」の1196億ドル(約12兆5600億円)。10〜12月だけで見ても、前年同期比「99%増」の411億ドル(約4兆3200億円)。同じ10〜12月の楽天の国内EC取扱高は約1兆4100億円、比べると規模感が分かる。

加盟店が増え続けて「継続収入が右肩上がり」

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Shopifyの月次経常収益(MRR)の推移。2020年下半期で段違いの増加を記録。

出所:Shopify Investor Deck Q4-2020

ソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS)企業としてのShopifyを考えたとき、大事なのがマーチャント(ECストア出店者)に毎月課金する出店料。加盟店数の増加が如実に反映される「月次経常収益(MRR)」は、7〜9月に続いて大きな伸びを示し、8260万ドル(約86億7300万円)と過去最高を更新。

出店したユーザーがしっかり定着

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Shopifyのコホート(=特定の対象集団、ここでは出店年次)別の売上高推移。マーチャントの定着率の高さが伺い知れる(グラフの単位は100万ドル)。

出所:Shopify Investor Deck Q4-2020

コロナ禍でECが伸びた、というのはもはやよく聞く話。しかし、Shopifyの場合、一過性の伸びではない。

ユーザーの出店年ごとに見た売上高の推移を見ると、2018年より前に出店したマーチャント(濃いグリーン)が今も売り上げを伸ばし、貢献している。撤退したマーチャントの売上高(=Shopifyにとっては損失)を新規出店の売上高が大幅に上回っている状況だ。

コロナ禍で営業費用が激減

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Shopifyの営業レバレッジの推移。新型コロナウイルス感染拡大と外出自粛令の影響が大きいとみられる。

出所:Shopify Investor Deck Q4-2020

営業レバレッジ(=売上高などの変動費に対する、営業費など固定費の割合)はコロナ禍の他企業と同様、移動制限の影響を強く受け、濃いグリーンで示された営業・マーケティング費用が10%以上減っている

どんな理由にせよ、営業費用を抑えられたのは業績にプラスだ。あとは、研究開発費まで16%から12%に減っているが、2021年にポジティブな投資に向かえるかがポイントになるだろう。

2021年はどんな年になるか

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Shopifyが2月17日(現地時間)に発表した2020年第4四半期および通期決算に関するプレスリリースより。2021年の見通し記述を抜粋。

出所:Press Release 'Shopify Announces Fourth-Quarter and Full-Year 2020 Financial Results'

決算発表に伴うプレスリリースで、Shopifyは2021年の集中投資分野として、以下を挙げている。

  • フルフィルメント(=受注から配送までの業務)ネットワークの強化・最適化
  • 購買者向けアプリ「ショップ(Shop)」(=配達状況追跡+近隣店舗検索+決済機能)の機能充実
  • 非英語圏も含めた国際展開の強化
  • 実店舗とオンライン販売を統合する「Shopify POS(ポス)」システムの導入範囲拡大
  • エンタプライズ(大企業)マーチャント向けプラン「Shopify Plus(プラス)」の拡充

2021年の世界小売り市場については、以下のように展望。

「新型コロナワクチンが世界中に供給され、人々の行き来が多少自由になり、世界経済も改善に向かい、同時に(行動制限などのために)オンラインに流れた小売りの需要がオフラインに幾分戻るが、それでもECはコロナ以前のペースで成長していく」

上の市場展望をもとに、Shopifyの2021年業績見通しは、多少控えめな内容になった。

  • マーチャントは世界中で増加を続け、売上高もそれに応じて増えるが、新規出店数は2020年の増加分を下回る。
  • 売上高成長率は近年と同水準が想定されるものの、2020年のような流通取引総額(GMV)の大幅増は期待できない。
  • 上記をまとめると、「売上高の急速な成長は2021年も続くが、成長率は2020年より低下する」という全体像が想定される。

Shopifyの2020年通期決算そのものは大躍進と言える内容だったが、2021年の業績見通しが弱含みかつ具体的な数値が示されなかったため、発表直後に一時大幅下落している。

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Shopifyの株価推移。2月17日の決算発表後に大幅下落(チャート中央右)。

Markets Insider

(文・訳責:川村力)

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