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VAIOの最上位機種「VAIO Z」が復活。世界初のカーボン技術で北米・中国・アジアでも同時展開

VAIO Z

VAIOはフラグシップモデル「VAIO Z」の新モデルを発表した。

出典:VAIO

VAIOは2月18日、同社のノートPCのフラッグシップ製品「VAIO Z(VJZ1411シリーズ)」を発表した。既に直販サイトやソニーストアでの予約は始まっており、最速での商品出荷日は3月5日。直販価格は27万2580円(税込)からとなっている。

VAIO ZはVAIOが2014年7月にソニーから独立する前から、同ブランドのハイエンドPCに付けられてきた一種の称号だ。しかし、Zは2016年1月発表のVJZ13B1/VJZ1311シリーズを最後に、5年にわたってメジャーアップデートがなかった

久々のフラッグシップモデル「VAIO Z」は同社として、製品としてもビジネスとしても1つのマイルストーンとなる重要な製品だ。

“ノートPCのジレンマ”を解消したVAIO Z

VAIO Z

タブレットや2in1形式など、さまざまな形状・機能のあるPCが出てくる中、VAIO Zは王道の形状をしている。

出典:VAIO

今回のVAIO Zは、14インチのディスプレイを搭載、回転ヒンジを搭載したりタッチやペン操作を採用することのない、形状としてはかなり“王道”なノートPCだ。

最大のポイントは「軽量」「高性能」「長時間駆動」という要素のすべてを両立させている点にある。

VAIO Zの主なスペック

  • CPU+メモリー……最小:Core i5-11300H+8GB、最大:Core i7-11375H+32GB
  • ディスプレイ解像度……フルHD(1920×1080ドット)もしくは4K(3840×2160ドット)
  • ストレージ……最小:256GB、最大:2TB
  • ワイヤレス……Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1、オプションで5G対応も選択可
  • インターフェイス……HDMI出力、USB Type-C×2(Thunderbolt 4、USB Power Delivery 、USB 4、DisplayPort 1.4、5Vアシスト充電に対応)
  • 重量……フルHDモデル:約958~1013グラム、4Kモデル:約1002~1065グラム
  • バッテリー駆動時間……フルHDモデル:約34時間、4Kモデル:約17時間(JEITA Ver.2.0に基づく)

一般論として、上記3つの要素はトレードオフの関係にある。バッテリー駆動時間を長くしようとたくさんバッテリーを積むと重くなり、軽さを重視すると今度は部材やバッテリー容量が犠牲になる。性能を高めると、軽量(薄型)を維持するのが難しくなりやすい……とジレンマ的な構造になっている。

立体成型フルカーボンボディ

VAIO Zは立体成型フルカーボンボディを採用する。

撮影:小林優多郎

VAIOは新型VAIO Zに関してこのジレンマについて「ブレイクスルーを果たした」としている。その理由は複数あるが、中でも大きいのはボディーの素材に、ノートPCとしては世界初となる「立体成型フルカーボンボディ」を実現しているところだ。

VAIOに限らずノートPCのカーボン採用は今までも行われてきた。ただし、天板などに板として入れて強度を高めると言った使い方が多い。これは強靱なカーボンを変型させ量産する技術が確立されていなかったからだ。レーシングカーやスペースシャトルなどでは一体成形のカーボン部品はあるが、量が必要なノートPCには向かなかった。

しかし、VAIOは東レとの協業でこの技術を確立。VAIO Zを技術活用することで、軽くて強靱なボディーの量産品への採用ができた。そこに、同社独自のノウハウを詰め込むことで、軽くて性能もバッテリー駆動時間も、現在最高水準のモバイルノートPCを実現した。

VAIO 展示

VAIOの展示の一部ではM1チップ搭載のMacBook Proを意識したものがある。写真は1.5台分のVAIO Zで1369グラム(公称値1.4キロの13インチMacBook Proより軽い)というもの。

出典:VAIO

同社は同日の発表会では数回、PC/ITの業界で非常に評価の高いアップルのM1チップ搭載MacBook Proとの性能比較などを提示した。VAIO執行役員の林薫氏は「アップルさんはイノベーティブで先進的でリスペクト」「お互いに切磋琢磨していきたい」と発言するなど、VAIOのエンジニアとしての肝入りの製品であることを伺わせた。

VAIO Zはまさに海外展開の“旗艦(フラッグシップ)”

VAIO 経営陣

写真左から執行役員の林薫氏、社長の山本知弘氏。

出典:VAIO

VAIO Zのもう1つの見所は、新型VAIO Zが北米、中国、アジア、日本の4エリアでのグローバルフラッグシップモデルである点だ。

VAIOはソニーからの独立後、一旦海外展開を停止した。2015年から各地域でのパートナーと契約を結び、日本から生まれたVAIO PCの販売および各地のパートナーから立案された商品の企画・開発・販売をするスタイルを続けてきた。

VAIOは未上場のためビジネス状況の詳細を公開していないが、海外展開のビジネス規模は「販売台数は(VAIO PC)全体の5割に占める」(VAIO執行役員の宮入専氏)と、彼らにとって比較的大きなものになってきたことを匂わせている。

一方で、VAIO社長の山本知弘氏は現時点で「グローバル販売の具体的な販売目標は設けていない」と慎重な姿勢だが、「(今後)改めてグローバルの数量目標を意味を持った形で設けていきたい」と、同社にとって重要なビジネスの柱に成長しつつあるという認識を示した。

VAIO 限定モデル

天板にあえてカーボン模様を残した「VAIO Z | SIGNATURE EDITION」。

出典:VAIO

今回のモデルは、最低でも27万円強、最高スペックにすると50万円を超えるものになる。決して「安価」なモデルではない。言ってみれば、1分1秒でも無駄にしたくない、モバイルでもできる限り高速な処理性能が必要だというビジネスプロ向けのモデルだ。

そのため、今回のVAIO Zによって「販売台数が急上昇、海外でも爆売れ」とは簡単にはならないだろう。それでも、VAIO Zという、ブランドにとって象徴的なデバイスが国内外に送り出されることは、PCメーカーとしてのVAIOの存在感を高める上で重要な一歩と言える。

(文、撮影・小林優多郎

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