フェイスブックが豪州メディアをブロック…グーグルと対応が正反対なのはなぜか

グーグルとフェイスブック

Carsten Koall/Getty Images; Alex Wong/Getty Images

  • オーストラリア政府は、フェイスブックとグーグルがニュースパブリッシャーにコンテンツの代金を支払うことを義務付ける法律を制定しようと考えている。
  • これに応えて、フェイスブックは同国内でニュースコンテンツの共有と禁止し、グーグルはパブリッシャーと取引を行った。
  • しかし、状況ははるかに複雑だ。 知っておくべきことがいくつかあるので紹介しよう。

フェイスブック(Facebook)は2月17日、オーストラリアのユーザーに対するすべてのニュース・コンテンツをブロックし、オーストラリアのニュースパブリッシャーが発信する世界中のユーザーに向けたコンテンツをブロックして、大きな波乱を巻き起こした。

フェイスブックは、オーストラリアで最近提案された 「ニュースメディアとデジタルプラットフォームの契約義務化法(News Media and Digital Platforms Mandatory Bargaining Code)」 を避けるために行動を起こしたと述べた。この法案が成立すれば、フェイスブックやグーグル(Google)のような企業は、パブリッシャーに対して、ニュースコンテンツをソーシャルメディアや検索結果に掲載するための料金を支払うことになる。

一方でグーグルは、ルパート・マードック(Rupert Murdoch)のニューズ・コープ(News Corp)や大手メディアコングロマリットのナイン・エンタテインメント(Nine Entertainment)、セブンウエスト・メディア(Seven West Media)といったパブリッシャーと事前交渉をするのが最善の選択肢だと判断した。

オーストラリアの国会議員たちは、この法案を、デジタル広告(過去20年間でニュースパブリッシャーの収入が減少している主な原因)に対する大手テック企業の支配力を抑制するためのものだと述べている。一方、フェイスブックは、この法律は自分たちとニュースパブリッシャーとの関係を誤解していると主張している。

しかし、状況は単にデジタルメディアの競争を公平にしようとする試みよりも複雑であり、その結果は世界中に影響をもたらす可能性がある。

ここでは、誰がニュースに金を払うのかをめぐるオーストラリア、フェイスブック、グーグルの戦いについて知っておくべきことを解説する。


ここに至る経緯

ニュースパブリッシャーは長い間、フェイスブックやグーグルを広告収入を奪い取って(その結果、ジャーナリズムの仕事も奪い)、一方で、アルゴリズムを通じてパブリッシャーをコントロールし、金を払うことなくニュースコンテンツをユーザーに見せることで利益を得ていると非難してきた。。

近年、フェイスブックはジャーナリズム・プロジェクトニュース・タブ、グーグルはニュース・イニシアティブニュース・ショーケースなど、ジャーナリズムに投資し、ニュースコンテンツを盛り上げるための様々な取り組みで行ってきたが、その効果は限定的であり、業界は苦戦を続けている

各国の規制当局による、フェイスブックやグーグルに対してパブリッシャーへ報酬を払わせようとする動きは強まっていて、オーストラリアは、EUやフランス、ドイツスペインなどの国とともにその先頭に立っている。

オーストラリアの公正取引委員会にあたるオーストラリア競争・消費者委員会は、同国のテック大手を取り締まるための広範な動きの中で、約3年前から論争の中心となっている法律の制定に向けて取り組んできた。


法案は、どのような内容なのか

現在提案されている法律は、フェイスブックやグーグルなどの企業が、自社のサイトに表示されたり、リンクされたりするニュースコンテンツに対してオーストラリアのパブリッシャーに直接支払いを行うことを義務付けるとともに、アルゴリズムを変更する前には28日前までに通知を行うことを義務付けるものだ。

具体的には、3カ月以内にテック大手がパブリッシャーと個別にコンテンツの価格交渉を行うか、あるいは政府が設置した委員会の調停に委ねるかを選択することになる。


法案は成立するのか

オーストラリア下院はすでにこの法案を可決していて、この後、上院で審議され、そこでも可決され、成立する見込みだ。

ただし、グーグル、フェイスブックとオーストラリア政府との協議はまだ続いている。


誰が勝ち、誰が負けるのか

シドニー・モーニング・ヘラルド紙が報じたように、中小のパブリッシャー出版社はこの法案では支払いの対象外となるため、ニューズのような大手が最も恩恵を受けることになるだろう(ニューズはオーストラリア政府にこの法律の施行を求めている)。

記者のケイシー・ニュートン(Casey Newton)は、法案はパブリッシャーに対して新たな収入を記者やその取材活動に費やすことを求めておらず、その金を経営陣や投資家に支払う可能性があると指摘した。

フェイスブックやグーグルと競合する企業も、彼らの市場シェアが低下すれば有利になる可能性がある。マイクロソフト(Microsoft)のブラッド・スミス(Brad Smith)社長は、この法律を支持すると述べている。

この法律は意図せずフェイスブックとグーグルの支配をさらに強化する可能性もあるが、最終的にニュース・パブリッシャーやより広範なメディア・エコシステムにどう影響するかは不透明だ。


フェイスブックの反応

フェイスブックはブログ投稿で、この法律はパブリッシャーとプラットフォームの関係を「根本的に誤解している」と述べ、今もパブリッシャーの方が利益を得ていると主張した。フェイスブックは、ニュースコンテンツは「人々が見るコンテンツの4%未満」であり、それは2020年にオーストラリアのパブリッシャーに約3億1500万ドルをもたらしたとしている。

失うものがないと判断して、フェイスブックはコンセントを引き抜いた。

2月17日(オーストラリアでは18日)、フェイスブックはオーストラリアのパブリッシャーによるコンテンツの共有や投稿をブロックし、オーストラリアのユーザーが(海外のパブリッシャーのコンテンツを含めて)ニュースコンテンツを一切閲覧できないようにブロックした。また、世界中のユーザーがオーストラリアのパブリッシャーのコンテンツを閲覧できないようにブロックした。

ニュース以外のページでも、誤ってフェイスブックの網にかかってしまい、表示されなくなったものがある。


グーグルの反応

アルファベットの子会社であるグーグルは、ニュース・パブリッシャーとより公平な取引を行っていると思われるが、これまではこの法律案に対して積極的に戦ってきた。2021年1月、同社はその検索結果からいくつかのオーストラリアのニュースサイトを排除したとして非難を浴びた。

しかし、グーグルは、オーストラリアの大手メディア企業のセブン・ウエストナイン・エンターテインメント、さらには同社がこれまで何度も言い争ってきたニューズとの大規模な契約を行い、この地域でのニュース・ショーケースの拡大を進めている。

[原文:Why Facebook blocked all news content in Australia - and why Google didn't

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

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