脱炭素とはなにか
2021年2月15日、テキサス州スプリングで。
David J. Phillip/AP
- テキサス州ダラスの地元紙によると、大寒波で一部の住民は1日に1000ドルの電気代を請求された。
- 需要が増加したため、電力の卸売価格は約百倍になった。
- 自宅やオフィスの電気代が卸売料金に連動する契約になっている場合がある。
大寒波に襲われて、電力が途絶えた生活にも耐えたテキサス州の住民は、新たな困難に直面している。1週間で5000ドル（約53万円）の電気代だ。
州が運営する電気網の顧客の中で、電力卸売市場の価格と連動する契約をしている人々は、目が飛び出るような電力料金を請求されている。ダラスのフォートワース地区では、1日あたり1000ドル（約10万円）の電気料金を請求されているとダラス・モーニング・ニュースが報じた。約5日間で5000ドルを請求されたとソーシャルメディアなどに投稿した住民もいる。KSATが報じたところによると、同州サンアントニオの電力会社CPSエナジーは、一部の契約者は今後数週間以内に｢法外な｣請求書を受け取るかもしれないと述べた。また、最大10年間にわたって料金を分散させることで料金の急騰を最小限に抑える可能性もあるという。テキサス州のグレッグ・アボット（Greg Abbott）知事は2月20日、この危機に対処するため、地元の議員と会談した。
｢我々はこの問題を緩和するために迅速に行動しており、テキサス州の住民を支援し、急増する光熱費に悩まされないようにするための解決策について、協力して取り組んでいく｣とアボット知事は声明で述べた。
固定料金で契約していた住民は打撃を受けることはない。問題となるのは、家庭や企業で電気料金が卸売市場の価格に応じて変わるプランの契約者だ。この契約の場合は請求額は下がることもあるが、卸売価格が高騰すれば当然、請求額も上がる。
2月15日、テキサス州などを大寒波が襲ったため、電力の卸売価格は百倍以上になった。電力網の管理者であるテキサス州の電気信頼性評議会（ERCOT）のデータによると、価格はメガワット時あたり約50ドル（5300円）から上限の9000ドル（約95万円）にまで上昇した。
この価格上昇は、ガス火力発電所のような電力供給源が氷点下の気温で停止したことに起因している。一方で、温暖な同州としては異例の寒さが続いたため、人々が暖房器具の温度を上げ、エネルギー需要が大幅に増加した。ERCOTは、電力網にさらなる被害を与えないよう、計画停電で対応したという。ピーク時には数百万人の住民に影響を及ぼしたこの停電は、アメリカ史上最大級のものだった。
ジョー・バイデン（Joe Biden）大統領は20日、テキサス州の被害について、連邦政府による支援が可能になる｢大規模災害｣を宣言した。
Insiderは卸電力価格や消費者への請求額が急増していることについてERCOTにコメントを求めたが、まだ回答は得られていない。
テキサス州の住民のうち、どれだけの人が卸売価格と連動した電気料金プランで契約しているかはよくわかっていない。テキサス州では、電力の小売は自由化されている。同州の電力会社の1つであるGriddyは、卸売価格に連動した価格で電力を提供している。ダラス・モーニング・ニュースによると、同社は3万人近い顧客に対し、高騰する料金を支払う余裕がなければ別の供給業者を探すよう促したという。
州議員の中には、自分たちの電気料金について理解していない住民がいるかもしれないと危惧する人もいる。
ダラス・モーニング・ニュースによると、ヒューストン選出の民主党の州下院議員ジーン・ウー（Gene Wu）は｢州は、人々が本当に理解して契約しているのか、最悪の事態に至る可能性があることを理解しているかどうかを調査する必要がある｣と述べた。
2月21日にはテキサス州の大部分で電力が復旧したが、水道管が凍結によって破裂しているため、多くの人々が水の供給が得られていない。数十人が死亡したこの冬の嵐による被害は、500億ドル（約5兆2700億円）に達するとAccuWeatherは予測している。
アボット知事は、今回の停電を｢受け入れ難い｣とし、ERCOTの改革を2021年の議会における緊急検討項目に加えると述べた。
アメリカ連邦エネルギー規制委員会（FERC）も、テキサス州などアメリカの各地で発生している停電を調査するためのタスクフォースを立ち上げた。
［原文：Why some Texas residents are ending up with $5,000 electric bills after the winter storms］
（翻訳、編集：Toshihiko Inoue）
