転職者の年齢はコロナ禍の2020年、過去最高の「32.0歳」だった。
出典:doda転職成功者の年齢調査(2020 年版)
コロナ禍で転職年齢が上がっている。
転職サービス「doda」の調査によると、2019年に転職を成功させた人の平均年齢は31.7歳だったが、2020年は32.0歳に上昇した。調査を始めた2008年以降、最も高くなった※。
コロナ禍で景気が悪化し、未経験の求人が減少、即戦力を求める傾向が強まったことが背景にある。
(※2016年の転職成功者の平均も32.0歳ではあるものの、小数点以下を比較すると2016年は32.00歳、2020年は32.01歳で、2020年が最も高かった)
「40代以上の転職」が増加
年齢別にみると、若い世代の転職の割合は2020年には減少した。
出典:doda転職成功者の年齢調査(2020 年版)
dodaでは2008年以降、同サービスを使って転職した利用者の年齢や業界を調査。
調査を始めた2008年の転職成功者の平均年齢は29.0歳だったが、その後、転職年齢が高まる傾向が続いてきた。
転職者の割合を年代別にみると、「24歳以下」の転職者は、2019年から0.9ポイント減少し全体の9.4%だった。一方で「40歳以上」は、2019年と比べて1.2ポイント増加し15.5%だった。
調査では「コロナ禍で企業側は専門スキル・経験を重視する傾向がある。またテレワークに代表されるウィズコロナの働き方を支える、IT人材へのニーズが高まっている」としている。
業種別でみると、「技術系(IT・通信)」での転職が急増。29歳以下では、「営業系」への転職が最も多いが、30代以上は「技術系(IT・通信)」への転職が最も多かった。
技術系(IT・通信)への転職者は、年齢が上がるほど増える傾向があり、「40歳以上」では2019年より4.1ポイント増加し28.1%。全体の3割近くが技術系(IT・通信)に転職していた。
職種をまたいだ転職に難しさも
doda編集長の喜多氏。2020年6月に撮影。
撮影:横山耕太郎
doda編集長・喜多恭子氏は、転職の年齢が上がっていることについて、「今後、転職成功者の年齢が極端に上がることはない」と分析する。
「2021年度の景気は緩やかに回復する。回復とともに未経験職種や若手の採用が各業界で増えると予測している」
一方で、即戦力を求める企業も多く、経験の少ない若い世代にとっては、転職が難しい状況が続いている点については、次のように話す。
「IT企業や金融系(特に保険・証券など)の企業ではコロナの影響も少なく、採用ニーズは引き続きある。一方で飲食や小売業の接客から、IT企業のエンジニアへの転職など職種をまたぐ転職は難しい状況が続いている。業種をまたいだ転職の場合、これまでの経験を別の業界・職種でどう活かすかが重要になっている」
(文・横山耕太郎)