アップルvs.フェイスブック「プライバシー戦争」の敗者は誰か【尾原和啓×シバタナオキ】

サムネ vol3

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IT批評家の尾原和啓さんと、『決算が読めるようになるノート』著者のシバタナオキさんの不定期対談。

アップルが導入を発表したトラッキング防止機能が大きな波紋を呼んでいる。強く反発するフェイスブックとの論争はどちらに分があるのか。バイデン政権はGAFAにどう対峙するのか。2人の見方はいかに。


——アップルは今後のiOSに「App Tracking Transparency」という、トラッキング防止機能を導入を発表しました。この動きをどうご覧になっていますか。

シバタナオキ氏(以下、シバタ):今に始まった話ではなく、数年前からアップルは進めています。サードパーティのアプリ開発企業がユーザーの端末識別子を(ユーザーの同意を得ない限り)取得できないようにすると発表したことが始まりです。

これまでアップルは、IDFA(Identifier for Advertiser)という端末の識別子をアプリ開発会社や広告主に提供してきました。これを取得すれば、広告主はユーザーの属性や閲覧履歴を把握できます。今回の変更によって、広告主はIDFAを取得できなくなります。

どういうことか。例えば僕が、Business Insider Japan(以下、BI)のウェブサイトを訪問して、BIが僕のブラウザをトラッキングするのはいい。自分の意思でBIのサイトを訪問しているので。でもBIのサイトに出稿している広告主が僕を特定できてしまうのは、ちょっと気持ちが悪い。僕が自分の意思でBIに表示されている広告を見ているわけではないからです。

そこをトラッキングできないようにして、ユーザーのプライバシーを守るというのが今回アップルの趣旨です。

アップルは広告ビジネスの比率が低いので、ビジネス上のダメージはほとんどありません。一方、フェイスブックやグーグルは、いろいろなサイトに広告やトラッキングを埋め込んで、収集したユーザーの行動履歴データに基づいてアルゴリズムをつくったり広告を出したりするのがビジネスですから、困ったことになる。

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