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ジェンダー平等で決定的に遅れている日本が知るべきこと。ここまできている海外の“常識”

おとぎの国のニッポン

森氏が五輪組織委会長を辞任しても、ジェンダー平等に関する議論は続いている。

ISSEI KATO / REUTERS

森喜朗・前東京オリンピック・パラリンピック大会組織委会長の女性差別発言から1カ月近くが経っても、いまだに関連した報道を日本国内だけでなく海外でも目にする。

五輪というグローバルな大イベントに絡んだものであったことに加え、今回、日本の女性たち(一部男性たちも)が、いつになく怒り、連帯し、声を上げているということの表れだろう。

自民党政治家や経済人の反応が明らかにしたもの

政治家の性差別的発言は、これまでも数え切れないほどあった。あまりにも多いので、女性たちは「またか」と呆れ、やり過ごしてきた。いちいち目くじらを立てず、受け流すのが「わきまえた女」だとされてきたし、実際、男社会で生きていくためには、それが「省エネ」な生き方だ。

2017年にアメリカで始まった #MeToo の流れの中でも、海外から見ていると、日本では伊藤詩織さんや #KuToo運動を除いては、盛り上がりにかけるように見えた。でもこの間、日本でも「差別には声を上げなくては」という意識が浸透していたのだと、このたび実感している。

森氏のような言動があまりにも日常茶飯事になっている社会、年長の社会的有力者がどんな差別的発言をしても苦笑いで済まされ、責任を問われることのない構造、「私の周りにもいっぱいいる」という既視感。森氏の属人的問題以上に、日本の構造的な問題が一気に可視化されたことで、怒りの炎は一気に燃え上がった。

さらに怒りを加速させたのが、自民党や経済界のリーダーたる男性たちの、森氏を擁護し、問題を矮小化するような発言だ。

  • 世耕弘成・自民党参院幹事長:「余人をもって代え難い」
  • 舛添要一・前東京都知事:Twitterで「森会長の女性蔑視発言は批判に値するが、私が都知事時代に競技施設建設費を数千億円節約できたのは森氏のおかげだ」「東京の施設代替を他県に頭を下げ依頼してくれた。肺がんの身で海外出張しIOCとの関係を構築」
  • 二階俊博・自民党幹事長:「(森氏は)撤回したので、それでいいのではないか」。ボランティア辞退をめぐる発言も問題に。
  • 中西宏明・経団連会長:「日本社会というのは、ちょっとそういう本音のところが正直言ってあるような気もしますし、こういうのをわっと取り上げるSNSっていうのは恐ろしいですね。炎上しますから」
  • 桜田謙悟・経済同友会代表幹事:企業で女性登用が進んでいない理由を問われ、「女性側にも原因がないことはない」「チャンスを積極的に取りにいこうとする女性がまだそれほど多くない」

これらの発言の一つ一つに、日本女性たちは「やっぱり……」という思いを一層強くしたと思う。中西氏が図らずもこぼした通り、これが「本音」にほかならないからだ。

一斉に繰り返し報じた海外メディア

橋本聖子、会見

東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の新会長に就任した橋本聖子氏。

Yuichi Yamazaki/Pool via REUTERS

今回は、海外メディアもすぐに反応した。BBC、CNN、ニューヨーク・タイムズ(NYT)、ワシントン・ポスト(WP)、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)、ロイターなどは、森氏の発言を軒並み「Sexist」(性差別的)と報道し、その後の展開についても引き続きフォローしている。

BBC: Tokyo Olympics chief Yoshiro Mori 'sorry' for sexism row

CNN: Top Tokyo Olympics organizing official apologizes for sexist remarks that women talk too much in meetings

NYT: Tokyo Olympics Chief Resigns Over Sexist Comments

WP: Amid uproar for saying women talk too much at meetings, Tokyo Olympic chief apologizes but refuses to resign

WSJ: Japan Olympic Chief Yoshiro Mori to Quit After Sexist Remarks

今回自民党の女性議員有志が「『真の女性活躍』に向けた緊急提言」を二階俊博幹事長に提出したが、「自民党の会議に5人まで女性議員たちの出席を認めるが、発言はできない」という方針を発表すると、これもBBCやロイターなどによって報道された。いずれの記事も日本がジェンダー・ギャップ指数で153カ国中121位であること、女性の社会進出が政界・ビジネス界共に大きく伸び悩んでいることに触れ、ロイターは、経済同友会の桜田代表幹事の発言にも触れている。

BBC: Japan’s LDP party invites women to 'look, not talk' at key meetings

Reuters: Japan’s ruling party invites more women to meetings, as long as they don't talk

駐日大使館の反応も興味深かった。2月5日以降、ドイツ、スウェーデン、フィンランドなどヨーロッパ各国の駐日大使館や欧州連合(EU)代表部が「黙っていないで」や(#dontbesilent)、「男女平等」(#genderequality)といったメッセージを相次いでツイートしたのだ。通常、大使館は内政干渉と見られることを気遣い、政治的なメッセージの発信には慎重になるものだが、今回は言わずにはいられなかったのだろうと推察できる。

MeToo以降、厳しくなった差別への制裁

metoo protest

アメリカで始まった#MeToo運動は、その後世界中に広まったが、日本では盛り上がりに欠けると見られていた。

REUTERS/Lucy Nicholson

2月初頭、ちょうど森発言と時期を同じくして、ニューヨーク・タイムズが2人のジャーナリストの解雇を発表し、ニュースになった。

その1人、ドナルド・マクニールはコロナ報道でも活躍していたベテラン記者だが、2019年に人種差別的発言をしたことが問題になり、内部調査が行われてきた。マネジメント側は一旦、「彼の発言はひどいし、お粗末な判断と言わざるを得ないものの、悪意はなかった。解雇は不要」との結論を出したが、社員たちから非難の声が上がり、解雇に踏み切った。

2人目、アンディ・ミルズは、彼が企画にかかわったポッドキャストの内容に問題があることが2カ月ほど前に判明したのだが、最終的に彼を辞任にまで追い込んだのは、これを機に表面化した、前の職場でのセクハラだった。

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