2月25日の衆院予算委員会で答弁する山田真貴子・内閣広報官。(2021年2月25日)
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【UPDATE】政府は1日、山田真貴子内閣広報官の辞職を発表した。山田氏はこの日の衆院予算委員会に出席予定だったが、前日にかかりつけ医を受診し入院。杉田和博・官房副長官に辞意を伝えていた。政府は1日朝、持ち回り閣議で山田氏の辞職を承認した。(2021/3/1/9:30)
総務省の幹部が放送事業会社「東北新社」に勤める菅義偉首相の長男・正剛氏らから接待を受けていた問題で、2月25日の衆院予算委員会に内閣広報官の山田真貴子氏が参考人として出席した。
総務省は2月24日、国家公務員倫理規定における「利害関係者」から供応接待などを受けたとして、谷脇康彦総務審議官ら11人の処分を発表。
一連の問題が明るみになる中、山田氏も総務審議官だった2019年11月に正剛氏ら東北新社幹部と都内で会食していたことが発覚。国家公務員倫理規定に抵触する接待だと指摘されている。
山田氏は「総務省在職中の国家公務員倫理法違反にあたる行為」と認めた上で、「公務員の信用を損なうことになったことを深く反省しております。本当に申し訳ございませんでした」と謝罪した。
「牛肉のステーキ、あるいは海鮮料理だった」
加藤勝信官房長官は2月24日の内閣委員会で、山田氏が菅正剛氏ら東北新社の幹部との会食で和牛ステーキや海鮮料理などを供され、その単価が7万4203円だったと明らかにしている。
山田氏も25日の衆院予算委員会で「牛肉のステーキ、あるいは海鮮料理であったと記憶している」「(接待場所は虎ノ門の)和食レストランというカテゴリだと思う」と接待内容を認めた。
一方で、東北新社側との会食は「一回のみだった」と主張した。
菅氏の息子と認識していたか? 山田氏、曖昧な答弁
総務省幹部らの接待が問題視されたが、22日に接待事実が発覚するまで、山田氏は「記憶がない」として東北新社との会食を否定していた。
立憲民主党の今井雅人氏は「2019年11月、東北新社との会食の場に行った時、正剛氏がいると認識していたのか」を山田氏に問いただした。
山田氏は「交流がなかったため、事前に認識していたかというと、そうではなかったのではなかったのではないか。曖昧で恐縮でございますが……」と、当時の記憶が不明瞭であると認めた上で答弁した。
ここで今井氏は「会食時には菅正剛氏がいたと認識していたのか」と改めて質問。
山田氏は「会食していた時点では、認識していたのかなと思う」と証言する一方、「当時は名刺交換もなかったと思う。横並びだったので、お話もしていない。恐縮だが、その場でどういう人がいたかは、にわかに思い出せなかった」と述べた。
今井氏は「官房長官(当時)の長男だと認識していたか」と重ねて質問。山田氏は「認識はしていたんじゃないかなと思う」と答えた。
ここで今井氏は「(菅首相の)息子だと認識していたのに、そこに(正剛氏が)いたかどうか覚えていないということがあるのか。5人の会食で、わからないことがあるのか」と再質問した。
山田氏はこれに対し「どういった方のご子息であるかお付き合いに関係ないと思っている。菅様がいらっしゃったかは、こういう言い方が適当かどうかわからないが、私にとって大きな事実かどうかというと必ずしもそうでもない」と釈明した。
山田氏はすでに総務省を退官しており、現在は内閣官房の特別職の身分にある。そのため法律上、総務省の処分対象とはならないが、月給の10分の6を自主返納するという。処分された総務官僚11人の中で最も重い処分となった「減給」と一致させたかたちだ。
菅首相は山田氏を続投させる意向だ。
「飲み会断らない女」発言、今の心境は……
国会では、山田氏は2020年に収録された若者に向けたメッセージ動画で「飲み会を絶対に断らない女としてやってきた」「飲み会を断ったら二度と誘われない」と述べていたことも話題になった。
立憲民主党の黒岩宇洋氏は「飲み会への出席強制はパワハラにあたる。いまも信念か」と質した。
これに対し山田氏は「若い方々にとって仕事の上で人脈を作ることは大変重要なことだと思って申し上げた」とする一方、「私自身は二度ほど大病もしており、最近そういったことはなかなか難しい状況。そういう意味では、若い方に言っていることと、私が今やっていることとは若干ズレがある。そこはご容赦いただきたい」と述べた。
(文・吉川慧)