老後資金のために広さ19平方メートルの家に住み始めた女性、"極小住宅の村"を作ってビジネスに

ミシェル・ボイル

ミシェル・ボイルさん。

Blueline Studios

  • リタイア後の生活に備えて貯金をするため、ミシェル・ボイルさんは2015年に広さ204平方フィート(約19平方メートル)の極小住宅に引っ越した。
  • 極小住宅の暮らしに惚れ込んだボイルさんは、今では自分で建てた4軒の賃貸物件を含む"極小住宅の村"を所有している。
  • 極小住宅の暮らしは自身の生活と未来を変えたと、ボイルさんは話している。

離婚をした後、ミシェル・ボイルさん(54)には貯金が全くなかったという。しかし、今では自分で建てた4軒の極小住宅と、自分でリノベーションした4台のティアドロップトレーラーを貸す"経営者"だ。

2000年代の初め、ボイルさんは2人の子どもを抱えてギリギリの生活を送る、離婚したばかりのシングルマザーだったとInsiderに語った。リタイアなんて一生できないのではないかと怯えていたという。

「当時のわたしには、リタイア後の生活のための貯金が一切ありませんでした。2人の子どもを食べさせるのがやっとで、養育費もなく、リタイアなどという選択肢はありませんでした」

この生活は12年間続いた。しかし、子どもたちが大学に入るとすぐに、ボイルさんはこれを変えなければと決心した。

自らをリモートで働く「デジタル・ノマド」だというボイルさんは、極小住宅で生活すれば生活費を大幅に減らし、リタイア後の生活のために貯金を始めることができると考えた。

「今、抱いているような経済的な安心感を、わたしはこれまで感じたことがありませんでした。2014年には銀行に10セントもなかったんです。それが今では2つの事業を営むまでになりました。短期間で大きな変化です」

極小住宅に引っ越した時は、これがビジネスになるとは想像もしなかった

極小住宅

2015年に引っ越したボイルさんの極小住宅。

Michelle Boyle/My Tiny House Village

極小住宅で生活をしようと決めた時、ボイルさんには十分なお金はなかったものの、力を貸してくれそうなスポンサー探しのアイデアはあった。最終的に24のスポンサーを見つけ、極小住宅を手に入れることができたという。スポンサーたちはしばしば「ソーシャルメディアのコンテンツと引き換えに傷や汚れがあったり、余っている在庫」をくれたと、ボイルさんは振り返った。

「NASCARみたいなものです」とボイルさんは語った。2015年にこの家を建てた時は、"極小住宅"はまだ新しく、人気が出始めたところで、企業は彼女にソーシャルメディアで話題にしてもらいたがっていたのだという。

キッチン

ボイルさんの自宅キッチン。

Michelle Boyle/My Tiny House Village

ボイルさんによると、「My Tiny Empty Nest」と呼んでいる彼女の極小住宅を建てるのにかかった費用のうち、自分のお金でまかなったのは4分の1以下。そして、作業の約7割はボーイフレンドの助けも借りつつ、自分でやったと語った。

経験はなかったものの、「ものすごく自信があったし、リスク許容度も高かった」と話すボイルさんは、自分の限界とプロを呼ぶべきタイミングも分かっていたという。

「根性のアプローチという感じでした。動画を見て、人に聞いて、試してみて、失敗して、もう一度やってみる、と」

寝室

ロフトの寝室で。

Michelle Boyle/Blueline Studios

広さ204平方フィート(約19平方メートル)のボイルさんの極小住宅は、3エーカー(約1万2000平方メートル)の土地に建っている。メインフロアの前にはU字型のキッチンがあり、その上が来客用のロフトと収納スペースに分かれるモダンなスプリット・ロフトになっている。

真ん中のリビングは、上がロフトになっていないので家の中で一番天井が高い。

後ろには、洗濯機と乾燥機付きの小さなウォークインクローゼットと、シャワー付きのバスルームがある。ボイルさんの寝室はバスルームの上のロフト部分で、クイーンサイズのベッド、ナイトテーブル、テレビがある。

生活は「ちょっとシンプルになった」けれど、必要なものは全て揃っている

ディナー

サンクスギビング(感謝祭)のディナーも楽しんだ。

Michelle Boyle/My Tiny House Village

極小住宅での生活は「意図的な選択なんです」とボイルさんは言う。

「キッチン家電も、何でも揃っているわけではありません。ミキサーは持っていないし、パン焼き機や炊飯器もありません。でも、わたしには必要ないんです。この上なく幸せなんです。包丁とまな板でできることにあなたはきっと驚くでしょうね」

ボイルさんによると、極小住宅での生活に対する人々の最大の誤解の1つは、自分が持っているものの全てを事実上、諦めなければならないと考えていることだという。

「(極小住宅での生活は)全てを諦めるというより、自分の好きなものを優先させることなんです」

階段

階段が収納スペースをうまく隠している。

Michelle Boyle/My Tiny House Village

例えば、靴が大好きなボイルさんは、階段の中といった家じゅうのさまざまな場所に秘密の収納スペースを確保しているという。

極小住宅の場合、「平方フィートごとにデザインするのではなく、平方インチごとにデザインするんです」とボイルさんは語った。食器棚の下のたった数インチのスペースにも、収納用のバスケットが隠されているという。

メディアの特集で自身の極小住宅が取り上げられたことで、新たな世界が見えてきた

最新の極小住宅

広さ165フィート(約15平方メートル)の「My Tiny Wine Wagon」は、ボイルさんの"極小住宅の村"に加わった一番新しい家だ。

Mark Sharley Photography/My Tiny House Village

ボイルさんは、2016年に『House Beautiful』がその年の最も人気のある家10軒のうちの1つとして彼女の極小住宅を挙げたことが、この業界でキャリアをスタートさせるきっかけになったと話している。

2017年には、アメリカ各地で開かれた14もの極小住宅関係のイベントにスピーカーもしくはモデレーターとして出席し、それ以降、極小住宅に関するブログとポッドキャストを始めたという。

これがきっかけとなって、ボイルさんは極小住宅での生活を収益化する方法を考え始めた。

「わたしには数千ドルで売れる極小住宅をデザインして建てることができるし、1軒あたり四半期ごとに数千ドル儲かり続ける賃貸用の極小住宅をデザインして建てることもできる…… といった風にです」

「My Tiny Hideout」のキッチン

3人が寝泊まりできる極小住宅「My Tiny Hideout」のキッチン。

Mark Sharley Photography/My Tiny House Village

ボイルさんは2018年、2軒目の極小住宅を建てた。「すぐに大ヒット」したという。

「エアビーアンドビー(Airbnb)からは"スーパーホスト"のステータスをもらって、最初の夏は予約がほぼ100%埋まりました。半年以内に元は全て取れました」とボイルさんは振り返った。

それ以来、ボイルさんは7軒の極小住宅をデザインして建てている。このうち4軒(まもなく5軒)はオレゴン州シェアウッドにある元クリスマスツリー農場で貸し出している。

My Tiny Birdhouse

「My Tiny Birdhouse」は広さ48平方フィート(約4.5平方メートル)のホームオフィス・スペースだ。

Mark Sharley Photography/My Tiny House Village

ボイルさんはおしゃれで特別感があるという自身の"極小住宅の村"について、その雰囲気を維持しつつ「可能な限り大きくなるでしょう」と話している。

2019年にはティアドロップトレーラーのリノベーションを始め、今ではこれを2つ目のビジネス「Oregon Teardrop Rentals」の一環として貸している。

ティアドロップトレーラー

自らリノベーションしたティアドロップトレーラーも貸している。

Mark Sharley Photography/Oregon Teardrop Rentals

ボイルさんによると、極小住宅もトレーラーも2020年は特に忙しかったという。その稼働率は、65%を下回ることはまれで、夏を中心に大体95%前後だったと明かした。

「ティアドロップトレーラーは結果的に、"キャビン人気"へのちょっと思いがけないソリューションとなりました。極小住宅の村もティアドロップトレーラーも2020年はとても好調でした」

モノより経験という人々の志向が極小住宅での生活を前進させた

ティアドロップトレーラー

ティアドロップトレーラーは、結婚式用に借りることも可能だ。

Mark Sharley Photography/Oregon Teardrop Rentals

「今、人々はモノより経験を求めています」とボイルさんは自身のビジネスがうまくいっている背景を説明した。

「ホテルの部屋に泊まることもできるし、オレゴンのシェアウッドの森の真ん中にある元クリスマスツリー農場にある極小住宅に泊まることもできます」

ただ、極小住宅での生活を本格的に志す人たちに対しては「生活様式の縮小はラクじゃありません」とも付け加えている。

My Tiny Wine Wagon

「My Tiny Wine Wagon」の室内の様子。かつてはパンケーキショップとして使われていた。

Mark Sharley Photography/My Tiny House Village

「ミニマリズムは大変です」とボイルさんは言う。自分が下した決断について考えさせられ、なぜそうしたのか考えさせられる「内省的なプロセス」だからだ。

夢は大きく、努力を惜しまないことが成功のカギ

My Tiny Hideout

「My Tiny Hideout」は3人が寝泊まりできる。

Mark Sharley Photography/My Tiny House Village

「これを目指す、これが心地良い、これができるというのがわたしのストーリーです。(極小住宅での暮らしが)わたしの生活と未来を大きく変えました」とボイルさんは語った。

これまで自分が起業したり、事業主になるとは思いもしなかったという。

My Tiny Perch

2人が寝泊まりできる「My Tiny Perch」は広さ148平方フィート(約14平方メートル)。

Mark Sharley Photography/My Tiny House Village

「わたしにはこんなことができる、わたしには何でもできる、何にでもなりたいものになれるともっと早く誰かが言ってくれていたら、わたしはずっと前にこれを始めていたでしょう。一大帝国を築いていたかもしれませんね」

ボイルさんは、自身がやってきた仕事とたった数年でゼロから立ち上げたビジネスを誇りに思っている。

「とても誇らしいし、幸せです。そして、とっても疲れているわ」

[原文:A woman built a tiny house village after moving into a 204-square foot home post-divorce to save for retirement

(翻訳、編集:山口佳美)

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