上海汽車の宏光ミニEVのは1月、約2万6000台売れたと報じられている。
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- BBCによると、中国では1月、国内ブランド上海汽車の低価格EVが、テスラのモデル3の約2倍売れたという。
- 4人乗りの「宏光ミニ」は、最高速度100km/h、価格は約47万円だ。
- 世界最大の自動車市場である中国は、テスラの将来にとって極めて重要であると見られている。
中国国有の自動車メーカー、上海汽車集団(SAIC Motor)はわずか2万8800元(約47万円)のEV(電気自動車)によって、中国における販売台数でテスラに大差をつけていると報じられている。
中国乗用車協会(CPCA:China Passenger Car Association)のデータをもとにBBCが報じたところによると、上海汽車は1月、中国で「宏光ミニ(Hong Guang Mini)」を2万5778台販売した。一方、テスラ(Tesla)の「モデル3(Model 3)」の販売台数は1万3843台だった。
世界最大の自動車市場であり、テスラの収益の5分の1以上を占める中国は、汚染問題に取り組むためEVの販売促進を強化している。
宏光ミニは4人乗りで、最高速度100km/h、航続距離は約193キロメートル。上海汽車と柳州五菱汽車(Liuzhou Wuling Motors)、アメリカのゼネラル・モーターズ(General Motors)によるジョイントベンチャーが製造している。
宏光ミニは全4色。
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宏光ミニは、EVとしてはテスラ・モデル3に次いで、世界第2位の販売台数となる可能性がある、とBBCは報じている。
中国では、テスラのモデル3は最も低価格のモデルでも、宏光ミニのエントリーモデルの8倍以上する。テスラは2019年12月に、24万9900元(約410万円)で上海で製造したモデル3の販売を開始した。
テスラはさらに手頃な価格のEVを製造しようとしている。同社CEOのイーロン・マスク(Elon Musk)は9月、2万5000ドル(約270万円)の「完全自動運転」EVを、3年以内に製造すると述べた。
テスラ中国支社のトップによると、同社の上海研究開発センター(Shanghai research and development center)は2021年中に開設予定で、そこでEVが開発されるという。
テスラは上海製モデルY(Model Y)予約価格を30%引き下げた後、1月から納車を開始している。
中国におけるテスラのライバルは、宏光ミニだけではない。
中国ではEVの需要が高まるにつれ、政府による手厚い補助金もあり、国内のスタートアップ、上海蔚来汽車(Nio:ニーオ)、理想汽車(Li Auto:リ・オート)、小鵬汽車(Xpeng:シャオペン)は揃って、2020年に売り上げが急増したと発表した。
ニーオとシャオペンはいずれも、2020年の売り上げが2019年の2倍になったと述べ、2020年が初の通年販売となったリ・オートは、3万2624台を販売した。
テスラは中国政府から監視もされている。政府高官は2月、バッテリーからの出火、思いがけない加速、ソフトウェア更新失敗の報告を受け、同社の代表者と会談している。
ウェドブッシュ(Wedbush)のアナリスト、ダニエル・アイブス(Daniel Ives)によると、テスラの車は2022年、中国で100万台売れる可能性があるという。「目を見張るほど需要のある」中国が、世界の売り上げの40%を占めることもあり得る。
中国はテスラの需要成長の「肝」だ、とアイブスは付け加えた。
テスラは、2020年の中国における同社の売り上げは2倍以上の66億6000万ドル(約7100億円)になり、収益の約21%が中国でのものだったと、SECへの報告書に記載している。
[原文:This $4,500 electric car is reportedly outselling Tesla's Model 3 in China by almost two to one]
(翻訳:Ito Yasuko、編集:Toshihiko Inoue)