2種類の「超高層雷放電」を同時に撮影…ハワイのジェミニ天文台

ハワイの上空で、2種類の発光現象が同時に見られた。

ハワイの上空で、2種類の発光現象が同時に見られた。

International Gemini Observatory/NOIRLab/NSF/AURA/A. Smith

  • 雷雨のとき、空に赤や青の稲妻が見えることがある。
  • レッドスプライトブルージェットと呼ばれるこれらの発光現象「超高層雷放電」は、写真に捉えるのが非常に難しい。
  • ハワイのジェミニ天文台は、一つの画面に両方を捉えたすばらしい写真を撮影した。

2017年7月のハワイ上空では、赤と青の稲妻が白い光のベッドで出会ったように見えた。

マウナケアのジェミニ天文台にあるジェミニ北望遠鏡のカメラが、色とりどりの光のショーを見事に捉えている。この写真は、アメリカ国立光学赤外線天文学研究所(NOIRLab)が2月24日に公開したものだ。

この写真について、NOIRLabは「特殊効果と見間違えるほどで、まるで別世界のようだ」と述べている。また、拡大可能なバージョンも公開している。

これらのカラフルな発光現象は「超高層雷放電」と呼ばれるもので、何種類かあり、「レッドスプライト」「ブルージェット」などがよく知られているが、実際にはこれらを写真に撮影するのは非常に難しい。発光の持続時間はわずか10分の1秒で、通常は雷雲に隠れて地上から見えないからだ。

NOIRLabの教育エンゲージメント・マネージャー、ピーター・ミショー(Peter Michaud)によると、ハワイ島のヒロ近郊にいる天文学者は、望遠鏡のカメラを使って、天文台付近で発生している悪天候を監視しているという。そのカメラは30秒に1枚、空の写真を撮る。

「同様の現象をいくつか見てきたが、これは上部大気での発光現象の最高の事例だった」とミショーは述べた。

赤、白、そして青

通常の白い稲妻は、いくつかの重要な点でレッドスプライトやブルージェットとは異なる。通常の稲妻は帯電した空気、雲、地面の間で発生するのに対し、スプライトやジェットはそれとは異なる場所で発生し、宇宙に向かっていく。また、独特の色合いもそれを際立たせている。

レッドスプライトは、大気の上層部(高度50kmから80km)でパチパチと音を立てて宇宙に向かって移動する超高速の電気バーストだ。クラゲのような形をしたジェリー・スプライトや、ジェミニ天文台の画像のように、赤い光の垂直の柱が細く伸びているキャロット・スプライトなどがある。

マクドナルド天文台のダークスカイの専門家であるスティーブン・ハンメル(Stephen Hummel)は、2020年7月にテキサス州西部のロック山からジェリー・スプライトの壮観な画像を撮影した(下)。

2020年7月2日、マクドナルド天文台のスティーブン・ハンメルは、赤いジェリー・スプライトの写真を撮影した。

2020年7月2日、マクドナルド天文台のスティーブン・ハンメルは、赤いジェリー・スプライトの写真を撮影した。

Stephen Hummel

「スプライトは通常、非常に短時間で、薄暗い灰色の構造物として目に映る。カメラの画像を確認するまで、実際に見えたのかどうかわからないことがよくある」とハンメルはInsiderに語っている

赤い発光現象に「スプライト」という名前を付けたのは、アラスカ大学フェアバンクス校で物理学の教授を務めていたデービス・セントマン(Davis Sentman)だ。彼は、この言葉がこの現象の妖精(スプライト)のような儚さを連想させることから「それを表現するのに適している」と述べた。セントマンは2011年に亡くなった。

一方、ブルージェットはレッドスプライトより地球に近いところで発生する。この円錐形の放電はスプライトよりも明るく、雲の頂上から上方に向かって噴出する。雷雲の山は地表からおよそ20kmの高さにあり、ブルージェットはそこから約50kmの高度に達するまで上に向かっていき、消滅する。これらのジェットは時速3万5000km以上の速さで動く。

宇宙から撮影されたブルージェット。

宇宙から撮影されたブルージェット。

Andreas Mogensen/ESA/NASA

スプライトとジェットは宇宙からも見える

通常の雷が地面に落ちると、プラスの電気エネルギーが放出される傾向があり、どこかでプラスとマイナスのエネルギーのバランスをとる必要がでてくる。つまり、スプライトやジェットは、バランスを整えるための放電であり、それがこれらのカラフルな発光現象が起こる理由だ。

「強い嵐によって多くの雷が発生すればするほど、スプライトが発生する可能性が高くなる」とハンメルは述べている。

宇宙飛行士は、地球の上空400kmにある国際宇宙ステーション(ISS)からスプライトやジェットを発見することがある。

2015年8月、国際宇宙ステーションから撮影されたレッドスプライト。

2015年8月、国際宇宙ステーションから撮影されたレッドスプライト。

NASA

欧州宇宙機関(ESA)の宇宙飛行士、アンドレアス・モーゲンセン(Andreas Morgensen)は、2015年に初めて、ブルージェットをカラーで撮影した。彼はインドのベンガル湾上空の嵐を撮影している最中にジェットを発見した。その後、科学者たちはこの映像を2017年の研究論文に役立てた。

モーゲンセンが見つけた現象は、「この種のものの中で最も壮大だ」と研究論文の著者たちは述べている。

[原文:A stunning photo shows both red-sprite and blue-jet lightning in the skies above Hawaii

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

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