フェイスブックに対する最初の集団訴訟は2015年に米イリノイ州で起こされた。
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- 6億5000万ドルは、アメリカでのプライバシー訴訟の中でも、最大の和解金額の1つだ。
- 訴訟で原告は、フェイスブックが同意なしの生体認証データの収集を禁止するイリノイ州法に違反したと主張した。
- 約160万人の請求者が少なくとも345ドルの支払いを受け取ることになる。
連邦判事は、フェイスブック(Facebook)がタグ付け機能を巡って同社を訴えたユーザーに6億5000万ドル(約700億円)を支払うという和解案を承認した。
この和解はアメリカにおけるプライバシー訴訟の中でも最大級のもので、カリフォルニア州北部地区連邦地裁のジェームズ・ドナト(James Donato)判事は2月26日、「画期的な結果」と述べた。訴訟に参加した約160万人は、それぞれ少なくとも345ドル(約3万7000円)の支払いを受けることになるという。
ドナト判事は「今回の和解は、デジタル・プライバシーという論争の的になっている分野における、消費者の大きな勝利だ」とした。
「フェイスブックや他の大手テック企業がプライバシー侵害は悪であるという訴えと戦い続けている中で、この和解は価値のあるものだ」
この集団訴訟は2015年にイリノイ州で起こされた。フェイスブックのユーザーは、同社がイリノイ州の生体認証情報プライバシー法(BIPA:Biometric Information Privacy Act)に違反していると主張していた。この法律は、事前の通知や書面による同意なしに、民間企業が生体認証データを収集、保存、使用することを禁じている。
訴状によると、フェイスブックは、例えば集合写真の中の個人へのタグ付けを促進する機能の一環として、2011年6月から顔のテンプレートを作成し、保存していると訴えている。「原告は、フェイスブックが事前の通知や同意なしに、彼らの生体情報データ、すなわち顔のデジタルスキャンを収集し、保存したと主張している」と和解命令書に書かれている。
フェイスブックは、和解についてのコメント要請に応じていない。ソーシャルメディアの巨人は、顔認識技術は常に公開していると言って、この訴訟を戦ってきた。また、ユーザーはその機能をオフにすることができると主張した。
フェイスブックが顔認識機能に対して反発を受けたのはこれが初めてではない。2019年、フェイスブックは以前Insiderが報じたように、ケンブリッジ・アナリティカのプライバシー侵害に関与したとしてアメリカ連邦取引委員会(FTC)が同社に50億ドル(約5400億円)の罰金を科した後、顔認識ツールの使用についてユーザーに同意を求めるようになった。
フェイスブックは当初、この訴訟を5億5000万ドル(約590億円)で解決しようとしていたが、判事はその申し出を却下していた。
[原文:Judge approves $650 million settlement of Facebook privacy lawsuit linked to facial photo tagging]
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)