2019年11月、ニューヨーク市内を歩く米連邦捜査局(FBI)のメンバーたち。
REUTERS/Brendan McDermid
特務工作員(スペシャルエージェント)からコンピューターサイエンティスト、アドミンアシスタント(秘書業務)まで、米連邦捜査局(FBI)の仕事は謎に包まれている。
Insiderはいま出ているFBIの人材募集について徹底調査を行い、求人情報の詳細、必須要件、給与待遇などを明らかにした。
調査の結果わかったのは、アドミンアシスタントや人事部、コンピューターサイエンティストなど一部のポジションはその名の通り、トップシークレットを扱う政府機関での仕事というだけで、特殊な業務ではないということ。
一方、特務工作員やカウンターテロリズムアナリストのようなポジションは、映画にもそのまま出てきそうな記述が目立った。
特務工作員(スペシャルエージェント)
FBIの対テロ特殊部隊・人質救出チーム(HRT)。米バージニア州クワンティコでの訓練後。
FBI
映画にもよく出てくる最も有名なポジション。同じ特務工作員でも、さまざまなポジションと専門分野がある。ただし、特務工作員になるためには、身体能力テスト、数度にわたる筆記試験、徹底した身元調査などきわめて厳しい選考プロセスをクリアする必要がある。
また、そうした能力テストや筆記試験のほかに、アメリカの市民権を持つ23歳から36歳の学士号取得者で、該当する専門分野について2年以上の経験が必要とされる。
給与は、他のアメリカ連邦公務員と同様、あらかじめ法律で定められた規定に従って支払われる。訓練期間中も、グレードとステップに応じた給与が支給され、その金額は最新の同表によれば年額5万ドル強(約525万円)程度。
訓練終了後は、配属される任地に応じて給与額が調整される。配属後5年以内の特務工作員の典型的な相場は、8万ドル(約840万円)程度。
コンピューターサイエンティスト
FBIの採用情報サイト。画像はSTEM(科学・テクノロジー・工学・数学)関連の求人。
Screenshot of FBI Jobs
FBIはコンピューターサイエンティストについて複数の求人を出している。募集要項によれば、職務内容は、システムに関する調達から各種導入、メンテナンスまでのハンドリング。
特務工作員ほど徹底した内容ではないものの、コンピューターサイエンティストは身元調査をクリアする必要がある。応募者の評価はシンプルで、分析的思考力、コミュニケーション能力、課題解決能力などさまざまなコンピテンシーをもとに決める。
給与は経験と学歴による。応募するには最低でも学士号と1年の実務経験が必須。給与は50860ドルから6万6120ドル(約534〜694万円)。なお、博士号を持ちなおかつ実務経験もある場合、給与は10万940ドルから13万1223ドル(約1060〜1378万円)となる。
セキュリティ担当
アメリカの首都ワシントンにあるFBI本部のロゴ。
Photo by YURI GRIPAS/AFP via Getty Images
FBIのセキュリティ担当官は、職員の出張に関する計画・管理、海外のセキュリティ状況の把握、セキュリティリスクに関する情報収集などを担う。セキュリティ関連のポジションはその多くがFBI職員を対象にしたものだが、一部民間からの応募を受けつけているポジションもある。
現在(3月1日時点)募集中のポジションについて、給与レンジとともに以下に紹介しよう。
- リード・セキュリティ・スペシャリスト:12万2530〜15万9286ドル
- スーパーバイザリー・セキュリティ・スペシャリスト(ニューメキシコ州アルバカーキ・フィールドオフィス最高セキュリティ責任者):10万9571〜14万2439ドル
- セキュリティ・スペシャリスト(サウスカロライナ州コロンビア・フィールドオフィス):6万4649〜8万4049ドル
- セキュリティ・スペシャリスト(ノースカロライナ州シャーロット・フィールドオフィス):7万8484〜12万1326ドル
(※フィールドオフィスはFBIの現地事務所。ディビジョン=部門と呼ばれることも)
アナリスト
FBIのアナリストは、各フィールドオフィスごとのテーマや課題を深層分析する役割を担う。サイバー攻撃のリスクやテロ、資金調達から予算まで、各部署の運営に影響を与えそうな事象をレポート・分析する。
例えば、サイバー部門のアナリストは、(FBI内の)ソフトウェア開発チームのマネジメントや「サイバーテクノロジーレビュー委員会(CTRC)」向けの分析レポートを準備するのが仕事。一方、インテリジェンス部門のアナリストはテロのリスクや発生時の対応に関する調査・分析・報告を担う。
現在(3月1日時点)募集中のアナリスト職には以下のようなものがある。
- マネジメント&プログラム・アナリスト(サイバー部門):12万2530〜15万9286ドル
- マネジメント&プログラム・アナリスト(テロリストスクリーニングセンター):同上
- スーパーバイザリー・バジェット・アナリスト(ファイナンス部門):11万2548〜14万6309ドル
- インテリジェンス・アナリスト(ナショナルカウンターテロリズムセンター):7万2030〜15万7709ドル
HR(人事)担当
人事部門は目下、FBIのなかで最多の人材募集を行っている。ただしそのほとんどは、応募にあたってFBIが運営する人材データベース(タレントネットワーク)に登録する必要がある。
人材データベースのサイトには、必ずしもすぐに応募できる空きポジションが表示されているわけではないが、いつでも応募書類を送ることができるようになっており、適合すればFBI側から説明会への正式な招待が届く仕組み。応募を考えている求職者にとっては、正式応募前に詳しい情報を収集しておく手段となる。
特務工作員、フォレンジック(=電磁的記録に関する収集・分析)調査官、エレクトロニクス技術者などの職種についても、人材データベースが存在する。
人事部門については、人材データベースを経由する以外に、以下のような求人情報も掲載されている。
- 従業員サポートカウンセラー:5万5756〜10万3309ドル
- アドミン・スペシャリスト:3万7301〜7万1764ドル
- スーパーバイザリー・アドミン・スペシャリスト:5万5204〜8万6021ドル
(翻訳・編集:川村力)