進む「遺伝子検査企業」のヘルスケア分野進出。「予防医学」に期待が集まる:eMarketerレポート

遺伝子検査キット

Shutterstock/Southworks

  • この記事はインサイダー・インテリジェンスによる調査レポート「遺伝子検査企業のヘルスケア分野進出(The Rise of Genetic Testing in Healthcare)」のプレビュー版。レポート完全版(有料)はこちらから

ヒトゲノムの塩基配列の解読が2003年に完了して以来、消費者の間で「自分の遺伝子構成が健康に及ぼす影響」への関心が高まった。それとともに、遺伝子検査市場が急速に発展してきた。

アメリカ国立衛生研究所(NIH)などによるヒトゲノム計画は、20年以上の歳月と50億ドル(約5300億円)に迫る予算をかけ、2003年にヒトゲノムの塩基配列の解読を完了。これは、遺伝子や遺伝子の相互作用が病気の発生や進行にどのような影響を与えるかを科学者や医学研究者が理解するための大きな一歩となった。その後、主にDNAシークエンシング技術のコストが急速に低下したことから遺伝情報はヘルスケア分野で広く用いられるようになった。

2010年代に遺伝子検査キットが普及

遺伝子検査サービス提供企業

自分のルーツや健康リスクについて知りたい消費者に人気のAncestryや23andMeなどの遺伝子検査サービス提供企業。これらの企業は医療分野への進出を深めようとしている。

Insider Intelligence

ダイレクト・ツー・コンシューマー (DTC) 検査を提供するアンセストリー(Ancestry)やトゥエンティースリー・アンド・ミー(23andMe)のようなDNA 検査会社は、自らの健康リスクを把握したい消費者の人気を集めた。2社とも検査内容を限定した製品をラインアップし、100〜200ドルの低価格で提供している。ゲノム全体、あるいはその大部分についての情報を得られる本格的な検査よりも、平均的な消費者にとっては魅力的である場合が多い。

2019年には世界全体で2600万人の消費者が遺伝子検査を受けており、そのうち2500万人がアンセストリーかトゥエンティースリー・アンド・ミーの検査キットを利用していた。2015年における検査サービス利用者は世界全体で150万人以下だったことを考えると、2010年代に急速に普及したことが分かる。

遺伝子情報は「予防医学」や「精密医療」にも活用できる

ポピュレーション・ヘルスの重要性アンケート

近年注目される「ポピュレーション・ヘルス(ある特定の集団に対し、データ収集を通して健康増進や予防医療に注力する取り組み)」の重要性を医療機関の幹部に尋ねたアンケート結果。回答者の大多数がこれを重要視していることが分かる。

Insider Intelligence

遺伝子検査が低コスト化したことで、予防医学での活用が期待されるようになった。アメリカでは年間の医療費が3.7兆ドルを超えており、その90%を慢性疾患が占めている。医療関係者たちは特定集団の健康リスクを洗い出し、早めに対策を打つための方法を模索している。また、遺伝子検査によって患者一人ひとりの健康リスクをより精密に把握して、発症を押さえたり症状の悪化を防いだりと個々人に合わせた医薬品開発も可能となる。

本レポートでインサイダー・インテリジェンスは、消費者の好奇心を捉えることで普及した「遺伝子検査サービス」が、変革的な技術として医療分野に進出してきた経緯を説明する。遺伝子検査業界のいくつかの主要なプレイヤーは、「コンシューマー向け」のビジネスモデルから、医療機関や製薬会社を含む「ヘルスケア分野」へとターゲットを広げてきた。レポートではこれについて解説し、ヘルスケア分野における遺伝子検査活用の今後を予想する。遺伝子検査会社の新規顧客獲得を阻んでる障壁や、新型コロナウイルスのパンデミックが業界の成長に与える影響についても触れる。

本レポートで言及される企業:

23andMe, Almirall, Ancestry, Apple, Calico, Color, Diploid, Genelex, GlaxoSmithKline, Google, Helix, Illumina, Invitae, Jungla, LunaPBC, Mayo Clinic, Microsoft, MyHeritage, NorthShore University Hospital , Novartis, Ochsner Health, Pfizer, PWNHealth, Salesforce, Stanford Medicine, TrialSpark, Verily, Veritas, YouScript

本レポートのキーポイント:

スクリーンショット

  • ダイレクト・ツー・コンシューマー (DTC)の遺伝子検査キットは2010年代に急速に普及したが、ここ2年ほどは人気に陰りが見えている。
  • ダイレクト・ツー・コンシューマー市場の低迷を受け、遺伝子検査会社は新たな顧客としてヘルスケア分野に着目。保有している豊富なデータを医療機関や医療関連企業に提供し、治療などに役立ててもらおうと考えている。
  • 「医療機関」は遺伝子検査を導入することで、より包括的に患者の健康リスクを把握できる。「保険会社」は検査費用を負担することで加入者の病気を未然に防ぎ、長期的なコストを抑制できる。「製薬会社」は膨大な遺伝子データを手に入れることで、より効果的な薬を開発できる。
  • 一方で、遺伝子検査会社がヘルスケア分野で地位を確立するには、「プライバシーと正確性の問題」「医療従事者が遺伝子データを運用できない」「消費者の関心の低下」など、乗り越えるべき障壁がいくつもある。
  • 新型コロナウイルスの流行とそれに伴う経済の減速は、遺伝子検査会社にとってさらなる痛手となるかもしれない。人々は「遺伝子検査キット」のような不要不急の消費を控える可能性が高く、ヘルスケア関連企業も損失を回収するため、より緊急性の高いコロナ関連事業にリソースを集中させるものと考えられるからだ。

本レポートの完全版では:

  • 米国の主な遺伝子検査会社が自社製品を使い、どのようにヘルスケア分野への進出を深めようとしているのかを示す。
  • 医療提供者、保険者、製薬会社などのヘルスケア分野の既存プレイヤーが、遺伝的変位について理解を深めるために、遺伝子検査会社の製品をどのように活用しているのかを明らかにする。
  • 遺伝子検査会社の製品の普及や、事業成長の妨げとなる障壁について解説する。

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[原文:THE RISE OF GENETIC TESTING IN HEALTHCARE: How leading genetic testing companies like Ancestry and 23andMe are carving into healthcare with the promise to fuel more personalized care

(翻訳・野澤朋代)

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