三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)がアメリカ市場の人材補強を加速している。
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国内金融最大手・三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)がアメリカ市場での事業規模拡大を目指し、ハイイールド(ジャンク)債部門の幹部人材を「また」補強した。
MUFGが今回招き入れたのは、直前までゴールドマン・サックスのバイスプレジデント(レバレッジドファイナンス・シンジケートローン担当)を務めたライアン・ムンロ。
今年1月のInsiderによる既報通り、投資銀行RBCキャピタル・マーケッツから引き抜いたトッド・ボンディがハイイールド債部門のトップに就任し、ムンロはレバレッジド・シンジケート部門(いずれもアメリカ市場)のトップを務める。
シンジケートローン……複数の金融機関がシンジケート団を組成し、同一条件同一時期に協調融資を行う。
レバレッジドローン……シンジケートローンのうち、債務が多く信用格付が低い企業への融資を指す。
ムンロの着任は4月の予定。直属の上司は債券シンジケート責任者(アメリカ市場)のブライアン・コリアンドロになる。
ムンロは2001年に米投資銀行JPモルガンでキャリアをスタートさせ、英銀行大手ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドの証券部門やスイス金融大手UBSの証券部門を経て、2018年からゴールドマン・サックス。天然資源、ESG、グリーン、ミドルマーケット(中堅企業市場)を対象とするレバレッジドファイナンスを担当した。
MUFGでは、レバレッジドローンおよびハイイールド債を含むキャピタルマーケット(=資本市場を活用したファイナンス)業務とシンジケート関連業務のマネジメントを担当する。
一方、RBCからジョインしたボンディは、ミクロトレーディング(=為替などを対象とする取引)責任者兼クレジットトレーディング(=社債取引やクレジットデリバティブ、証券化などを通じた商品組成)共同責任者のスティーブン・ファインバーグの下につく。ファインバーグも2020年にドイツ銀行から移籍したばかり。
4月からはアメリカ部門のトップも交代
ROSLAN RAHMAN/AFP via Getty Images
ムンロやボンディの引き抜きは、MUFGが成長のドライバーと位置づけるアメリカ市場での事業規模拡大の一環だ。
レバレッジドファイナンス営業のトップとして、ドイツ銀行のハイイールド債部門のベテラン、ティム・フィッシャーが2020年1月に加入。同年春には、フィッシャー直属のディレクターにマーク・ラヴィーンとダイアン・ライトが就任。
2020年7月には、フロー商品部門の共同責任者として、前出のスティーブン・ファインバーグがミクロ/クレジットトレーディングのトップに、モルガン・スタンレー出身のミッチェル・ネーデルがマクロトレーディングのトップに、それぞれ就任。
さらに、2021年1月にはキャピタルマーケット部門のグローバル責任者にラジェシュ・カパディアが就いている。カパディアはJPモルガンで25年以上活躍したベテランで、MUFGへの移籍前はマネージングディレクター(レバレッジドファイナンス担当)を務めていた。
なお、MUFGは2月、アメリカ部門およびMUFG100%出資の商業銀行MUFGユニオンバンクなどを含む金融持株会社・米州MUFGホールディングスコーポレーション(通称MUAH)のトップ人事を発表。
2021年3月末で退任する意向を発表したスティーブン・カミングス氏に代わり、ケビン・クローニン氏がリージョナルエグゼクティブに就任することを明らかにしている。
クローニン氏は(MUFG傘下入り前の)ユニオンバンクでキャリアをスタートさせ、米銀大手バンク・オブ・アメリカのコーポレートバンキング部門などで20年以上活躍。2011年にMUFGにジョインし、現在はコーポレート&インベストメント・バンキング部門のトップを務める。
[原文:MUFG's US hiring spree continues with senior junk-bond hire from Goldman Sachs]
(翻訳・編集:川村力)