折りたたみスマホになって復活したrazrの5G対応第2世代モデルがついに日本上陸。
撮影:小林優多郎
モトローラは、2020年9月にグローバルで発表した折りたたみ型スマホ「motorola razr 5G」の日本展開を発表した。
発売予定日は3月下旬以降で、SIMフリー版がモトローラ直販サイトや各種EC、家電量販店などで販売予定。直販価格は17万9800円(税込)。
さらに、国内キャリアではソフトバンクが独占で販売。発売予定日は同じく3月下旬以降で、一括購入価格は19万8000円。48回払いの「トクするサポート+」の対象で、支払い25カ月目でrazrを返却すれば実質半額の9万9000円の負担となる(いずれも税込)。
開いて縦長、たたんでコンパクトな5Gスマホ
中央を軸に縦に折りたたむタイプのrazr。ヒンジ部は20万回(1日100回を5年間以上に相当)開閉しても壊れないという。
撮影:小林優多郎
razrの最大の特徴は、特徴的な折りたたみ機構と折りたたみ時に利用できる背面の「クイックビューディスプレイ」にある。
本体を開いた際のディスプレイサイズは6.2インチで、縦横比は21対9と非常に縦長だ。
同様の比率のディスプレイはソニーのXperiaシリーズも採用しているが、映像作品をワイドに表示できる以外にも、Twitterやニュースサイトなど縦長のコンテンツを見る際や、アプリケーションを2つ同時起動させた際の操作性が高い。
写真左からXperia 5II SO-52A、motorola razr 5G。
撮影:小林優多郎
加えて、razrの場合は使用しないときは折りたたみ、非常にコンパクトな状態でポケットにしまえる。2.7インチの「クイックビューディスプレイ」では、通知や時間の確認、カメラ、アプリの起動といった操作もできる。
クイックビューディスプレイではさまざまな操作が可能。写真は、背面カメラの画質でセルフィーを撮ることもできる。
撮影:小林優多郎
なお、日本向けに発売されるrazr 5Gはハードウェア自体はグローバル準拠で、例えばFeliCa(おサイフケータイ)には対応していない。
ただし、日本向けモデルの初期出荷時のOSはAndroid 11(グローバルモデルはAndroid 10)、またクイックビューディスプレイで日本語のフリック入力ができるよう調整(ローカライズ)されている。
背面の「M」マークは指紋センサーになっている。
撮影:小林優多郎
また、ソフトバンクモデルはシングルSIM仕様で標準ではSIMロックがかかっているが、SIMフリー版は物理SIM+eSIMのデュアルSIM仕様となっている。
そのほかの基本性能は以下の通り。
- ディスプレイ:6.2インチ 2142×876ドット+2.7インチ800×600ドット
- プロセッサー:Snapdragon 765G
- メモリー/ストレージ:8GB/256GB
- カメラ:4800万画素(背面)、2000万画素(正面)
- ネットワーク:2G/3G/4G/5G(Sub6のみ)
- バッテリー:2800mAh
- カラー:ポリッシュグラファイト
8年以上ぶりの「キャリアモデル」
motorola razr 5Gは、日本で初めての5G対応モトローラ製スマートフォンだ。
撮影:小林優多郎
razrの日本上陸はモトローラの日本法人にとっては、重要な一手を担ったモデルだ。
1つは“razr”という歴史あるブランドが最新の技術で復活するという点。しかも、razr 5Gは日本では初のモトローラ製5G端末にもなる。
もう1点はビジネス的な部分で、長らくSIMフリースマホ市場で活動してきた同社にとって久しぶりのキャリア採用端末となる点だ。
motorola razr 5Gは、国内キャリア(MNO)では、ソフトバンクが独占販売する。
撮影:小林優多郎
ソフトバンクがモトローラ端末を扱うのは、「RAZR M 201M」(2012年10月26日発売)からは約8年4カ月ぶり。モトローラがグーグル傘下時代に製造を担当した「Nexus 6」(2014年12月11日発売)から数えても、約6年3カ月ぶりとなる(販売はワイモバイル)。
NTTドコモもKDDIも2014年以降にモトローラ製端末をコンシューマー向けの携帯電話を扱ったことはない。
その分、モトローラ日本法人としても非常に慎重に扱ってきた製品のようで、モトローラ・モビリティ・ジャパン社長の松原丈太氏は、日本での展開が遅れた理由について以下の様に述べている。
「周波数帯の関係もあり、ローカライズに時間をかけた。ソフトバンク向けのプリインストールアプリなどの動作検証などの関係もありやや遅れたが、ようやくこぎつけた」(松原氏)
クイックビューディスプレイで、PayPayを起動したところコードは表示された。これはPayPayがrazr 5G向けに特別に対応したわけではないらしいが、手元でサッと起動するような使い方は便利そうだ。
撮影:小林優多郎
また、ソフトバンクのプロダクト&マーケティング統括 モバイル事業推進本部 副本部長の郷司雅通氏も「iPhone、Pixel、LG(の2画面)端末に続き、挑戦的な立ち位置の製品」と語っている。郷司氏は「今後これを皮切りにソフトバンクとしては特徴的な端末を出していきたい。(そのために)レノボとモトローラとパートナーを組んだ」と、razr 5G以外の機種の採用の可能性についても触れた。
モトローラ・モビリティーの親会社であるレノボは、同日に発表済みのフォルダブルPC「ThinkPad X1 Fold」のソフトバンク5G版を発表している。PCでもモバイルでもネットワークを整備するキャリアと深く関係をもつことで、同社は5G時代のスマートデバイスメーカーの足場を改めて築こうとしている。
(文、撮影・小林優多郎)